記事

伝えない弁護士会の深層

2/2
 こうした日弁連・弁護士会の姿勢は、1990年代に司法改革の議論が本格化するほどに、どんどん強まった観があります。ここで、あえて嫌な推測をすれば、日弁連・弁護士会は臆病になったのではないでしょうか。「改革」議論では、「市民サイド」というこれまでの彼らの意識に反し、弁護士・会は強い自省を迫られ、そして、内部にはこれまでに体験したことがない、会を二分する路線対立を抱えることになりました。「オールジャパン」を標榜する「改革」を推進する側に立った弁護士会には、「上からの」といえる、それまでにない執行部主導体制が姿を現し、会内民士主義の在り方も問われました。

 そのなかで、内外からの批判にさらされる環境を極力回避することに神経を使う、政策的政治的な姿勢を取るようになり、その結果、強制加入団体であればこそ、会内民主主義が担保されなければならない弁護士会にあって、およそ似つかわしくない統制的な空気までもが、徐々に蔓延したのではないか――。

 弁護士会の対外的な意見表明と会員個人の思想信条の齟齬というテーマが、強制加入団体の在り方として、弁護士会批判という観点で延々と言われています。弁護士会の意思表明の内容と、会員個人の思想・信条とは別、要は現実の弁護士会にはいろいろな考え方の人間がいる、という結論は間違っておらず、そのうえで弁護士会の意思表明には、やはり存在意義はある、と思います(「弁護士会意思表明がはらむ『危機』」)。

 ただ、前記のような批判が消えない現実を考えたとき、このテーマへの弁護士会の姿勢として、決定事項だけでなく、さまざま意見の存在、対立的な議論(あるいは執行部方針に不都合な意見を含めて)が現に存在していること、要は一枚岩でない現実があるのならば、正直にそれ伝えることもまた、「価値」があることといえないでしょうか。

 弁護士会主導層に、なぜか、そういう発想がみてとれないことに、ある意味、不思議な気持ちがさせられるのです。

弁護士自治と弁護士会の強制加入制度の必要性についてご意見をお寄せ下さい。司法ウオッチ「司法ご意見板」http://shihouwatch.com/archives/4794

司法改革に疑問を持っている人々ための無料メールマガジン「どうなの司法改革通信」配信中!無料読者登録よろしくお願いします。http://www.mag2.com/m/0001296634.html

あわせて読みたい

「弁護士会」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    GoTo見直し 協力体制みえず幻滅

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    新井浩文が語った「性的武勇伝」

    文春オンライン

  3. 3

    コロナ禍で缶コーヒー離れが加速

    文春オンライン

  4. 4

    よしのり氏「皇女」案に危機感

    小林よしのり

  5. 5

    意見広告は嘘でも許容されるのか

    島田範正

  6. 6

    GoTo停止の是非を論じる無意味さ

    木曽崇

  7. 7

    赤旗は佐藤優氏批判する資格なし

    鈴木宗男

  8. 8

    よしのり氏 コロナの正体見たり

    小林よしのり

  9. 9

    医療崩壊を煽る報道に医師が怒り

    名月論

  10. 10

    トランプ氏が大統領選でついた嘘

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。