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「残業が減っても男はテレビ見るだけ」の衝撃データ

 今、日本の働き方が大きく変わろうとしている中で、動向が注目されているのが、「女性活躍推進」、そして「男女不平等の是正」の問題です。

 世界経済フォーラムが発表する男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数(2017年版)」で日本は144カ国中114位になるなど、国際的にも遅れが指摘されています。

 そうした議論について回るのが、「男は仕事をし、女性は家庭を守る」という、いわゆる「性別役割分業意識」です。

 この考え方は、「サラリーマンと専業主婦からなる核家族」という戦後日本の家族のあり方を支えてきましたが、時代の変化とともに「変えなくてはいけない」と言われ続けています。

 この意識は、「長時間労働」の問題とも密接に関連しています。なぜなら、日本において長時間労働を行うのは、「男性」に偏っているからです。私たちの調査で残業時間を見てみても、男性と女性では平均で月10時間程度の差があります。

 一方で、男性が長時間労働をしている間に、女性は家庭において「家事・育児」を行ってきました。国際的に、日本では家事・育児分担が圧倒的に妻へと偏っていることは、様々なデータで示されています。

 しかし、事態はもう少し複雑です。「男は仕事をし、女性は家庭を守る」というのは、「仕事」と「家庭」をトレード・オフと捉え、一方が下がればもう一方が上がる、シーソーのように「バランス」させる発想です。

 ですが、この発想では、現在の仕事と家庭の関係性をうまく表せません。

 残業時間が増えると配偶者、子どもとの交流時間が減ります。しかし、「配偶者」との交流時間は男女でほぼ変わりませんが、女性のほうが圧倒的に「子どもとの交流時間」を確保しているのです。同程度の残業時間であれば、子どもとの交流時間は女性のほうが2倍以上も長くなっています。

 驚くべきことに、月の残業「なし」の男性の子どもとの交流時間は1日94分であるのに対し、月残業「60時間以上」の女性では134分と、残業「なし」の夫よりも遥かに多い時間を子どもに費やしているのです。

 つまり、「仕事」と「家庭」のトレード・オフではなく、単純に「男性は仕事の量にかかわらずあまり育児をしない。一方で女性は仕事が増えてもしっかり育児をする」という、女性へ過剰な負荷がかかった状況なのです。

 気になるのは、仕事量は少なく、かといって「育児」にも時間を割かない男性は、いったいその時間に何をしているのかです。「社会生活基本調査」(総務省・平成28年)をもとにしたデータを見てみましょう。

<男性>

 仕事 -257

 睡眠 +65

 家事・育児 -2

 テレビ・新聞など +101

 休養・くつろぎ +66

 趣味・娯楽 +21

<女性>

 仕事 -164

 睡眠 +31

 家事・育児 +70

 テレビ・新聞など +14

 休養・くつろぎ +11

 趣味・娯楽 -2

 残業「なし層」と「あり層」を比較した時、男性は257分、女性は164分の相対的な「余暇時間」が生まれています。

 女性は浮いた時間から、「家事・育児」が70分、睡眠も31分増えています。一方、男性で増えているのは「趣味・娯楽」「テレビ」「休養」「睡眠」で、「家事・育児」の時間はマイナス2分と、わずかに減っています。

 つまり「男性は残業時間が短くても余暇を全く家庭に振り分けず、女性が家事・育児をしている。むしろ、テレビを見てくつろいでいる」ということになります。

 いかがでしょうか。なかなか衝撃的なデータです。

 今後、働き方とともに「家庭」のあり方も変わっていくはずです。だとしても、男性が余暇時間を家事・育児に振り分けない限り、女性の「働き、かつ育てる」のダブルバインド(板挟み)を強めるだけです。

 このままだと「働き方改革」は「女性活躍推進」どころか「両立に苦しむ女性を増やす」ことにつながりかねません。

 あえてポジティブに考えると、男性が育児・家事へコミットしないのは「仕事時間」によるものではないとすると、意識次第で状況は変えられます。「長時間労働」を言い訳にすることなく、凝り固まった「母親が子どもを育てる」という意識をいかに変えていくかに、日本の家庭の未来はかかっていそうです。

 以上、中原淳、パーソル総合研究所による共著『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』(光文社新書)をもとに構成しました。2万人を超える調査データを分析し、あらゆる角度から徹底的に残業の実態を解明しました。

●『残業学』詳細はこちら

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