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「大麻解禁の活動で一緒に日本を変えたい」高樹沙耶さんインタビュー

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BLOGOS編集部

10月、カナダが先進国として初めて嗜好品としての大麻利用を合法化したことが大きな話題になった。医療用大麻に限って言えば、海外では多くの国で利用が認められ、先進国の中にも健康保険が適用される国がある。

日本でも大麻について報道されるケースが増え、大麻解禁についての議論が以前に比べてオープンになりつつある。こうした状況について、元女優で、大麻取締法違反で逮捕された経験を持つ高樹沙耶さんは「今、まさに大きな変化が起こっている」と話す。現在は石垣島でエコスタイルのキャンピングロッジを経営する傍らで、大麻についての情報発信を続ける同氏にインタビューを行った。【取材:島村優】

SNSで大麻の情報を日々発信

—今日はよろしくお願いいたします。高樹さんは、現在どのような活動をしているのでしょうか。

今は執行猶予中なので、自分の経営する宿をやっているというのがメインです。有罪判決が出た後に行った記者会見で「第一線からは退きます」と言ったんですけど、現在の世界の状況を見て、また医療大麻については最後まで見届けたいという気持ちがずっとありました。そこで、合間を見ては大麻の法改正を目指す活動をする方の援護射撃になればとの思いで、日々SNSなどで情報発信をしています。

日本の中では逮捕や社会的な制裁が怖くて、顔を出してはモノも言えません。私は逮捕もされて、あれだけ報道され隠せない立場だからこそ、大きな声で「経験したことがありますよ」と顔を出して、ちゃんと考えを伝えていきたいなと思っています。

—Twitterでの発言が度々話題になっています。

そう。でも、ニュースに取り上げられる時でも、1度も取材はありませんでしたよ。この間のツイート(※)も、私は全く記事について知らなかったんですけど、また何か話題になったのかなって、後でわかって。

※11月18日に投稿した「神よ何故あなたは地上にに大麻草をお与えになったのでしょうか! 私達をエロス、狂乱、錯覚、怠惰に陥らせるためなのでしょうか?」などと綴ったツイート(現在は削除)

なぜわかるかというと、話題になると急にSNSやブログのフォロワー数や閲覧数が増えるんですよ。それで、何かあったなと思って色々ネットニュースを覗いてみると、ああ、そういうことなのね…と。

—SNSとの付き合い方はどのように考えていますか?

SNSというツールを使い始めて、だいたい10年くらいが経ちます。誰でも個人で情報発信ができるようになったこの状況については、良いか悪いかは私の中では結論が出ていなくて、みんなが学習中という感じの状況があると思うんです。だから私もSNSとどう付き合っていくかは研究中というか、楽しみながらやらせてもらっています。

かつてテレビと新聞が中心だった時代は、大麻に限らず、いろんな決め事が国の決めた通りにしか動かなかったと思うんです。大本営発表のまま動かない。でも、世界はすごく変わってきていて、私は良いタイミングで情報発信することができているのかなとも思うんですね。

—良いタイミングというのはどういうことでしょうか。

かつて大麻で逮捕された人たちは、とにかく謝るしかなかったと思うんですよ。私の場合は、もちろん法律を犯したことは申し訳ないと思っていますけど、この法律がおかしいから戦ったんだよ、ということを、TVや新聞などのメディアを使わなくても多くの人に向けて言い続けられる場があるということはすごく恵まれているなと。

なぜ色々な人から攻撃を受けても頑張れるかと言うと、本当に大麻によって助かる人がいるからなんです。多くの人がこの真実を知って声を上げれば、日本の社会が変わっていくんじゃないか、とまだ信じているからですかね。

—SNSなどで様々な攻撃をされることがあるんですね。大麻についてばかり発信していると「大麻が吸いたいだけなんでしょ?」と思われてしまうことはありませんか?

それはあります。「大麻のことしか言ってないから、やっぱり高樹沙耶は大麻中毒だ」とか書かれて。ブログとかで丁寧に説明すれば、きっと理解してもらえると思うんですけど、今は毎日毎日上がってくる世界の大麻の情報を、短い言葉で機関銃のように上げているだけなので、誤解されてしまうかもしれません。

でも100人いて100人全員にわかってもらうことは無理だと思うから、わかってもらえる人だけに届けばいいかなと今は思っています。最初のうちは、Twitterで批判されるたびに嘆いていたんですけど、今は気にしなくなりました。自分でも転びながら傷つきながら学習して、面白がってSNSをやっています。

—そうなんですね。

大麻中毒だ、エロだ、頭がおかしい…と色々なことを言われましたけど、すごい汚い言葉を私に投げかけてくる人は、フォロワーも全然いなくて。大麻について批判する人は、何か大きな変化があればすぐに考えが変わる日和見の人たちなんだと思います。

大麻未経験者の意見だけで結論を出してはいけない

BLOGOS編集部

—大麻に賛成するにしても、様々な立場があります。大麻を研究可能な形に法律改正すべきという立場もあれば、陶酔成分のTHC(※)の数値をコントロールして限られた範囲に抑えたものは医療用として利用可能にさせるべき、などなど。高樹さんの立場はどのようなものでしょうか。

※大麻に含まれるテトラヒドロカンナビノールという物質。大麻の有効成分で陶酔効果があり、多幸感を覚えるなどの作用がある

私たちの親の世代が「葉っぱ」って言っていた時代の大麻と、今の大麻ってもはや別物って言ってもいいほど、品種も摂取方法も改良が進み、効果も何倍も強くなっているんです。だから国や医療関係者がしっかりと研究していかないといけないと思うんですよね。

多くの人が声を上げないまま、理解しないまま「ダメ。ゼッタイ。」というのが今の現状で。でもアメリカやヨーロッパでは医療での利用が当たり前になり、カナダでは国家レベルで嗜好用大麻まで合法化するということが起きている中で、日本がどうするかというのは、国や厚生労働省が国民に見えない場所で一方的に決めるのではなく、今、分かっている情報をキチンと国民に知らせた上で色々な立場の方との議論をできるだけオープンに早急に始めるべきことだと思います。

—議論の必要性を訴えていると。

そう、例えば、てんかんやパーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、現行の医療では治療が難しいとされる病を持っている人の中には、今すぐにでも大麻による治療で救われる人もいるので。

—大麻の医療目的の利用ですね。現行の大麻取締法では、そうした目的があっても大麻の研究は認められていません。

そう。でも、私は一度逮捕されているけど、大麻を全く経験した事のない人の意見だけで今の法律を維持していくというのは危険だと思います。この国では表向きは法律を守っている人、つまり大麻を見たことも触ったことも無い人が法律を決めて、運営している訳でしょ。そんな人達の集まりで「大麻を合法化しよう」なんて言えるわけない。そんなこと言ったら「お前は大麻を吸った事あるのか!」ってなりそうですよね。

現状をしっかりリサーチして、科学的な効果を研究した上で大麻がどんなものであるか、そして実際に体験してきた人の意見も取り入れたその上で、わが国ではどのように大麻を利用していったらいいのかということを真剣に考えるべき時が来ていると思います。厚労省の「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーンのように都合の悪い情報には蓋をして、一切考えることを放棄させるような事ではもう無理があると思うんです。

—大麻を大きく嗜好用、医療用、産業用の3つに分類して考えた時、世界的に医療用大麻を認める流れになっています。医療用大麻については具体的にどのような法改正が必要だと考えているか改めて教えてください。

今、医療用で解禁されている国での大麻の使われ方というのは、鎮痛剤や麻酔の代薬として使われるだけはないんです。大麻には、これまでの薬とは全く違ったシステムで多くの病を治癒したり回復させたりする事が次々に証明されています。

—人の体の中のシステムということですか?

元々、人体にはエンドカンナビノイドシステムっていう体内を健康に保とうとする調節機能があって、大麻を利用することでそのエンドカンナビノイドシステムの働きが活発になり250~300種類の疾患が治癒し、回復する効果があると言われています。実際に海外では重病の患者に使われ、臨床での治癒の報告が次々と出ているんです。

だから、日本でも使い方としてはまず漢方薬のような使い方をするってことだと思います。医療大麻の利用を法制化したカナダやアメリカ、その他の先進国では大麻ディスペンサリー(薬局)という形で、専門家が処方しているんです。日本でも医療用で解禁となれば、専門家を作っていくことになってくると思うんですけど、それを国がどう認めていくか。

医療大麻を自由化するための戦い

—イメージとしてはCBD医薬品(※)だけではなく、大麻草そのものの使用も認めるということですか?

※大麻に含まれるCBD(カンナビジオール)という陶酔作用のない物質を利用した医薬品。陶酔作用がないため、海外では医薬品以外にもこの物質を利用した様々な製品が販売されており、日本でも厚生労働省の許可を得て輸入された幾つかのCBD製品が“合法的”に入手可能である

今、食べ物や化粧品などの製品でオーガニックという分野が注目を集めています。大麻製品の中にもその分野があり、農薬や化学肥料を使わず、種もF1(※)や遺伝子組み換えでなく、原種や固定種にこだわって育成したものを使う。もちろん遺伝子組み換え技術や化学肥料、ハイドロカルチャー技術などを大麻に応用すると、より強力なものが作れてしまいます。

※雑種第一代=異なる形質を持つ親をかけ合わせて生まれた一代目の子孫のこと

しかし、そうではなく、太陽と健康な土壌で育てられた大麻をできるだけナチュラルに漢方のような使い方をすることが大麻を利用する国の中で見直されてきています。その際に大麻草、全草を使うという考え方や使用方法がトータル的な健康という視点でも有効だと認められていますので、大麻草、全てを利用できなければ医療としての効果は半減どころか、とても限られたモノになると思います。

unsplash

—大麻草そのものが薬として認められるには時間がかかりそうですね。

もともと日本でも喘息の薬として薬局で販売されていた時代もありましたし、それもたった70年ほど前の話です。それにカナダやアメリカをはじめ世界での医療大麻への取り組みを知れば、日本での使用承認はそれほど時間がかからないのかもしれません。未来がどうなるかは誰にもわかりませんが、その点について私は楽観的に捉えています。でなければ、「医療大麻にご理解を!」なんてことを公約に選挙に出るなんてできませんよね(笑)。

医学的な効果については、1980年代に「マリファナ研究の父」と呼ばれるラファエル・メコーラムさんが人体にエンドカンナビノイドシステムを発見した時から、現在まで大麻の研究はあらゆる分野で進み、明らかに色々な病に対して効果があるとエビデンスが出てきているんです。そういう海外での活用方法を参考にしながら、日本でもできるだけ早く、新しい形を作っていってほしいなと。

—研究すらできない状況から一歩進んで、海外で出されているエビデンスなども利用しつつ、医療目的の利用が早く可能になってほしいということですね。

そうです。ただ、私は専門家ではないので皆様に理解して頂けるよう正しく説明できないところもあります。今、医療大麻を日本でも使えるように活動しているお医者さんが代表を務めるGREEN ZONE JAPANという団体があって、医療大麻の理解を日本で広めるためにアメリカの医療大麻のドキュメンタリー映画を日本でも上映しようと動いています。

その『WEED THE PEOPLE』という映画を見れば医療大麻の効果や多くの人が救われる凄く可能性を秘めたものだということが理解できると思います。映画を見られる機会はまだ限られていますが、興味のある方はぜひ、ネットなどで調べてみて下さい。

—法制度を整備するのも難しい仕事になりそうです。

一口に大麻医療と言っても、今や大麻の品種だけでも3000種以上あり、症状や病気の種類など、必要なモノも分量も人によって大きく違います。例えば、重度のてんかんを患っている人には効果が強いものを、ただ睡眠不足っていう人にはちょっとだけTHCが入ったものをと個人の症状に合わせていかに処方するか、といった使い方の幅の広さをどう整理するのか、そしてそこに現状の保険を適用するのか、といったことが今、世界で医療大麻を処方している国での課題になっていると聞きます。

わが国でもただ解禁したからOKという訳ではなく、医療での使用が認められてから、やるべきことは沢山あるはずなんです。これは私の個人的な理想なんですけど、ヨーロッパのように販売する大麻自体は国が管理しながら、お医者さんの処方箋や申請などの手続きをすれば自分で育てて使用してもいいという風になればいいなと思います。

—本数を限定した上で、自分で育てることが認められている国もあるようです。

そうすれば、自分の責任で自分に合った品種をそれぞれ栽培し、それを食べたり、ジュースにしたり、お酒に漬けたりといった方法で摂取できます。それによって健康を維持し、自分自身で身体を治すことができればいいなと思います。

—反対する意見の中には健康への悪影響を危惧する声があります。それに関しては、研究して身体に問題がないラインを明らかにして、そこで線引きをするべきだということですね。

もちろん小学生、中学生の若い世代が大麻に手を出すことには賛成できません。でも、現在これだけインターネット上に大麻の情報が溢れていて、NETFLIXを見れば大麻料理の番組まであると。こんな状況で子どもたちに「ダメだ、危険だ」って言うだけではもはや無理があるとは思いませんか? だからこそ、どうやって社会に取り入れていくのかはオープンな議論が必要だと思います。

健康への影響については、海外でこれだけ「悪影響はない」「医療での効果が期待出来る」とう報告があり、なおかつ使用を解禁して何年も経っている国で大きな混乱や副作用などのニュースは何も出てこないのに、どうして日本だけでは危険なのかを考えた方がいいと思います。だから今の段階で大麻を反対している人達って、大麻は麻薬で恐ろしい、「ダメ。ゼッタイ。」っていう洗脳を受け続けていて、頭が固くなっているだけだと思うんです。

—WHOの扱いでは大麻は一番危険なものにカテゴライズされていますが、これも変わる気運があるそうですね。

もしそれが変われば、その世界共通の認識に日本も従えばいいんじゃないかなと思いますけどね。でも本音を言えば、そうなる前に自分たちで調べて、自国の判断で栽培や使用を認めてほしいですけどね。元々、戦前の日本ではいたるところで栽培されていた上に、それまでは薬物乱用で問題が起こるなんて一切なく、それどころか神道や衣食住、日本人の生活全てに密接に関わりのあった大事な農業資源のはずだったんですから。

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