記事

「オッサン政治」が広げる日本の男女格差 自殺率にも2.4倍の開き~「働いて家族を養う」という強いプレッシャーがかかる日本人男性たち

[ロンドン発]世界の政財界のリーダーが集うダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が18日、毎年恒例の2018年版男女格差(ジェンダーギャップ)報告書を発表した。

日本の男女機会均等ランキングは149カ国中110位。世界で一番、男女格差がない国は10年連続でアイスランドだった。

調査が始まった06年以降、日本でも男女格差は徐々に解消されているものの、世界の改革スピードからは随分取り残されてしまっている。

103位の中国より下、115位の韓国より上なのが唯一の救い

報告書は(1)経済活動の参加と機会(2)教育(3)健康と寿命(4)政治参加の4分野14項目について男女格差を指数化してランキングをつけている。まず総合順位から見てみよう。


第1回目の06年、調査対象は115カ国で日本は79位、スコア(1に近づくほど平等)は0.645だった。15年にスコアは0.67まで改善されたものの、101位に転落。17年のスコアは0.657で順位は114位まで落ち込んだ。18年はスコア0.662、順位は110位に戻した。

日本の総合順位はケニヤ76位、ミャンマー88位、中国103位、インド108位より低く、下を見ればアフリカ・中東諸国の名前が並ぶ。唯一の救いはお隣の韓国が115位と、日本より下というぐらいだろう。

「オトコ社会」の政治が男女格差の解消を遅らせている

男女格差が開いている分野から日本の順位とスコアの推移を見ていこう。最もひどいのは「政治参加」の分野だ。

【政治参加】125位


政治参加は06年の83位(スコア0.067)から14年に129位(同0.058)に転落。16年には103位(同0.103)まで改善したものの、18年は125位(同0.081)に再び沈んでいる。

現在、安倍政権の閣僚19人のうち女性は片山さつき地方創生相1人だけ。安倍晋三首相が「女性活躍」を掲げ、16年には女性活躍推進法が施行されたものの、女性の政治参加はまったく進んでいない。

日本の1つ下はアフリカ南部のボツワナである。政治参加の項目を世界一のアイスランドと比べてみよう。

・政治参加 125位0.081(アイスランド1位0.223)
・国会議員の男女比 130位0.112(同20位0.284)
・閣僚の男女比 89位0.188(同10位0.667)
・国家元首の在任年数の男女比 71位0(同2位0.718)

拘束時間が長く、選挙区と国会を行ったり来たりする国会議員の仕事は女性にはタフ過ぎるのだろうか。しかし、政治の世界がオトコ社会であり続けることが男女格差の解消を遅らせている。

女性天皇の容認が日本復活の転機になる可能性

日本国と日本国民統合の象徴である天皇(国家元首)は「男系男子」に限ると皇室典範に定められている。日本で家父長制が根強いのはこのためだ。秋篠宮家の長女、眞子さまと小室圭さんの「ご結婚」騒動を見ていると、日本で女性天皇を認めるのは容易ではなさそうだ。

英国では、出生順に王位継承順位が決まるが、長子が女子で、その後に男子(弟)が誕生した場合、その時点で継承順位に逆転が生じる「男子優先長子継承制」を歴史的に採ってきた。しかし、王位継承順位第2位のウィリアム王子とキャサリン妃の第1子誕生に合わせて男女の関係なく絶対的長子継承制を採用した。

デンマーク、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、ルクセンブルクもすでに絶対的長子継承制に移行している。スペイン、モナコは男子優先長子継承制だ。

日本と同じく男子にのみ継承権を認めている国は中東・アフリカ、アジアの王国で、欧州ではリヒテンシュタインだけ。日本でも少なくとも男子優先長子継承制の検討ぐらいは始めるべきではないだろうか。

1959年(昭和34年)、皇太子・明仁親王(当時)と民間出身の美智子さまのご成婚が日本の高度成長に花を添えたように、女性天皇の容認は日本復活の転機になるかもしれない。

女性活躍には男性の働き方の見直しが必要

次に「経済活動の参加と機会」を見てみよう。

【経済活動の参加と機会】117位


順位は2006年の83位(スコア0.545)から18年は117位(同0.595)まで落ちている。日本では勤労所得や管理職、接門・技術職で大きな男女格差が残っている。

・経済活動の参加と機会 117位0.595(アイスランド16位0.793)
・労働力の男女比 79位0.799(同20位0.939)
・賃金の男女格差 45位0.696(同1位0.82)
・勤労所得の男女比 103位0.527(同26位0.722)
・管理職の男女比 129位0.152(同68位0.479)
・専門・技術職の男女比 108位0.671(同1位1)

女性の管理職や専門・技術職はアイスランドに比べて圧倒的に少なく、日本のペイギャップ(賃金格差)は2倍近く開いている。出産・育児によって女性はキャリアの中断を余儀なくされるからだ。

世界経済フォーラムは世界のペイギャップを解消するのに202年かかると予測しているが、日本のペイギャップはそれまでに解消されているのだろうか。

女性が活躍できる社会を実現するためには、女性だけではなく男性の働き方も改革する必要がある。男性の長時間労働、単身赴任を改めなければ女性の労働参加も進まない。

医学部の入試不正で浮かび上がった高等教育の男女格差

【教育】65位


教育では識字率、初等教育、中等教育の男女格差は完全に解消されているものの、高等教育就学率の格差は他の国々比べて依然として開いている。

東京医科大学が女子受験者の得点を一律に減点していた問題で、文部科学省が全国の大学医学部を調査。その結果、神戸大学、順天堂大学、日本大学、昭和大学、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学、北里大学、聖マリアンナ医科大学でも不適切な入試が見つかった。

過酷な医療現場で女性医師が増え、出産・育児のたびに職場を離脱されると、大学の系列病院の医師を確保できなくなるというのが理由だった。こうした旧態依然たる考え方が男女格差の解消を阻む大きな要因になっている。

【健康と寿命】41位


女性の長生きは日本が世界に自慢できることの一つだ。

「家族を養うプレッシャー」男性の自殺率は女性の2倍以上

英議会での男女格差やセクシャル・ハラスメント、男女間のペイギャップを追いかけている英紙フィナンシャル・タイムズのローラ・ヒューズ政治記者に、「どうして日本の男女格差は解消されないのか」と尋ねてみた。ヒューズ記者はこう答えた。

「私は子供の頃3年間、日本に住んだことがある。その時の経験から言うと、日本の自殺率は世界的に見ても高いが、男性の自殺死亡率は女性よりも格段に多い(17年で約2.4倍)。日本社会では男性には働いて家族を養うという強いプレッシャーがかかっている。女性には別の役割が求められている」

日本の男女格差は自殺率にも暗い影を落としている。男性は外で働き、女性は家で家事と育児という家庭内分業はもはや成り立たなくなっている。こうしたステレオタイプは固定観念として残されているのだ。しかし、遅れているのは日本だけではない。

19日、女性参政権が認められて100年の英議会でこんな大騒動があった。

英国史上2人目の女性首相であるテリーザ・メイ首相が党首討論で、欧州連合(EU)離脱交渉で態度をはっきりさせない最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首を「あなたの後ろを見てみたら。誰も支持していないわよ」と揶揄(やゆ)した。

頭にきたコービン党首は声に出さずに「愚かな女」と口を動かした瞬間をテレビがとらえていたため、議会は紛糾した。男も女も等しく愚かであり、優秀であることを理解しなければ男女の格差は永遠に埋まらない。

あわせて読みたい

「ジェンダー」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    宮川花子の後悔 医師信じず失敗

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    報ステ編集謝罪 印象操作するTV

    かさこ

  3. 3

    アナ雪2騒動 黙秘の電通に苦言

    やまもといちろう

  4. 4

    英語試験批判にキーマンが大反論

    NEWSポストセブン

  5. 5

    桶川事件20年 警察が隠した怠慢

    BLOGOS編集部

  6. 6

    進次郎氏のCOP25演説に「失笑」

    舛添要一

  7. 7

    麻生氏に批判殺到「反社のよう」

    女性自身

  8. 8

    韓国の元徴用工「差別なかった」

    NEWSポストセブン

  9. 9

    野村克也氏 大谷は下半身を磨け

    幻冬舎plus

  10. 10

    大塚家具&ヤマダ電機 提携の行方

    ヒロ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。