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【パリ発】警察官たちが大統領府にデモ 「我々は共和国を守ってるんだ、マクロンを守ってるんじゃない」

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大統領府に向かおうとする警察官たちのリーダー(左)は「通してくれ」と機動隊の隊長に迫った。隊長は「通せない」と断った。デモ隊は「セーエルエス・アベック・ヌー(機動隊も一緒に)」の合唱となった。=日本時間:21日午前7時頃、写真右側がエリゼ宮方面=

 ついに警察官までもが立ち上がった―

 「このままでは共和国を守れない」。治安組織がガタガタになっているのにもかかわらず、それを改善しようとしない政府に危機感を抱く警察官たちが、20日夜(日本時間21日朝)、大統領府のエリゼ宮にデモを掛けた。

 デモを掛けたのは「MPC=怒る警官たちの運動」が中心。MPCは2016年に起きた警察官への火炎ビン襲撃事件を機にできた組織だ。デモには黄色いベストたちも加わった。総勢で約100人。

 警察官のデモ隊は、グランパレ前広場を出てエリゼ宮を目指したが、同僚の機動隊員に阻まれた。針路を変え凱旋門に向かったが、またもや機動隊に阻まれたため、シャンゼリゼ通りに座り込んだ。

 田中は怒れる警察官たちにインタビューした。フランスという一等国の治安組織が、あまりにお粗末であることに、驚きかつ呆れた。

 彼らが口々に語っていたのは、警察予算の不足による機材や装備のひどさだ。ヘルメット、プロテクター、手錠などが満足にないため、自腹を切って揃えなければならない、という。署の車両は故障続きだそうだ。

同僚の機動隊員を背に座り込んだ警察官。写真奥に凱旋門。=日本時間:21日午前7時過ぎ、シャンゼリゼ通り 撮影:田中龍作=

 パリ警視庁に勤務する20代の警察官は「黄色いベストの人数がもっと多かったら危なかった」と振り返った。「このままでは共和国を守れない」と深刻な危機感を言葉にした。

 彼は感情が激したのか、本音を語った。「我々は共和国を守ってるんだ。マクロンを守ってるんじゃないんだ」と。

 手りゅう弾や催涙弾を放つ訓練を3〜4回しただけで、実戦に投入される。未熟なため手加減を知らない。そのためデモ参加者に弾が直接あたって死傷者を出す。

 先月から始まった5波にわたる大がかりなデモで、警察官たちは早朝から深夜まで警備にあたってきた。その残業代が払われていないことにも不満が鬱積している。

 凱旋門と機動隊を背に座り込んだ警察官(30代)は無念そうに語った。「国家が危ない状況にあった時、我々は一所懸命守ったのに、国家は我々に何もしてくれなかった」。

 別の警察官(20代)は「同僚たちは黄色いベストの要求が理解できると言ってる」と明かした。

 マクロン政権は120~150ユーロの賃上げを口約束することで警察労働組合の離反を防いだ。月1万数千円の賃上げでも、労組のトップを裏取引で丸め込むことはできる。だが、警察官のマジョリティーを納得させることは難しい。

 警察組織と黄色いベストが合流した時、マクロン大統領は治安維持を軍に要請するしかなくなる。

黄色いベストのお株を奪って発煙筒を焚く警察官。=日本時間:21日午前7時頃、グランパレ前広場 撮影:田中龍作=

  ~終わり~

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