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松山千春、コンサートの〝原点〟がここにある!

オフィスゲンキ

まさに〝原点回帰〟のライブ映像だと言っても過言ではないかもしれない。

〝フォークシンガー〟にこだわる松山千春(63)が、デビュー42年目となる2019年1月25日に「松山千春コンサート・ツアー2018『弾き語り』」と題したライブ映像を発売する。このライブ映像は今春、全国18都市で繰り広げてきた全国ツアーの中から6月27日に北海道・ニトリ文化ホール(札幌)で行われた公演を収めたものだが、千春にとっては、今年の9月に47年の歴史にピリオドを打った同ホールでのラスト・ステージ、感慨深いラスト・コンサートとなった。

47年の歴史に幕を下ろした北海道厚生年金会館

渡邉裕二

同ツアーはデビュー以来、41年ぶりに全編を〝弾き語り〟で貫き通した。そして、そのツアーのファイナルが千春の出身地・札幌のニトリ文化ホールだった。

ニトリ文化ホールは、71年に「北海道厚生年金会館」としてオープンした。2400人のキャパシティは「北海道最大」のものだった。その後、08年に札幌市が入札、ネーミングライツで10年からニトリ文化ホールの名称に変わった。

千春は、「旅立ち」でデビューした77年8月8日にコンサートで初めて立ったステージが同ホールだった。以来41年間、春と秋のツアーでは欠かさずコンサートを開催してきた。

古くから千春を知る地元のイベンター「ウェス」の小島紳次郎社長によれば、千春は既に2600本を超えるコンサートを行っているが、その中で同ホールの使用回数は150本にものぼるという。

「千春に続く2番目のアーティストは高橋真梨子さんですが、それでも四十数本ですから千春は圧倒的でした。全国各地にあった厚生年金会館が消えていく中で、名称が変わってもこのホールが残って来たのは、何と言っても千春の思い入れに、周りが共鳴したからだったのです」。

北海道が生んだ千春にとってコンサート活動の原点、まさに〝聖地〟ともいうべきホールだったわけだ。しかし、そのホールも耐震問題などもあって今年9月で閉館、取り壊されることになった。

「オレにとっては一番最初に立ったホールだったからな。それは悔しい思いもある。寂しい思いもある。まさか、オレが歌っている間に、こんな日がくるとは思わなかった。そういった意味でも感謝と敬意をもって、ありがとうの気持ちを込めて歌った」。

オフィスゲンキ

今回、ギター1本で全国を回り、そのファイナルを同ホールで締め括ったのは「フォークシンガーとして原点に戻ったものにしたかった」という思いがあったのかもしれない。

全国から姿を消した厚生年金会館

改めて振り返ってみる。厚生年金会館は、かつて全国21施設あったが、その中で多目的ホールを併設していたのは札幌の他、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、そして石川・金沢の全国7カ所だった。社会保険庁が、厚生年金保険加入者の福祉増進を目的に61年4月にオープンしたのが始まりだった。しかし、赤字補填に税金が使われていることなどが問題視され、08年から10年にかけて民間への売却が決まった。

厚生年金会館の〝顔〟的存在だった東京・新宿の東京厚生年金会館は8年前に閉館したが、本館はヨドバシカメラが約120億円で落札(別館は伸和技研)し、ホールは取り壊された。

ちなみに、北海道厚生年金会館は28億円、大阪厚生年金会館と広島厚生年金会館は36億円、愛知厚生年金会館は65億円、九州厚生年金会館は20億円、そして、石川厚生年金会館に至っては、たった9億円で民間に売却された。

その中で、オリックスに落札された大阪厚生年金会館は「オリックス劇場」となり、北陸電力が落札した石川厚生年金会館は「本多の森ホール」として現在でも運営されている。もっとも「愛知厚生年金会館は黒字だったにも関わらず壊された」(地元関係者)という。

当時、次々に民間に売却されることになったことに千春は「厚生年金会館は、それぞれの土地で文化や芸能の交流の場になってきた。我々、歌う人間にとっても、こういった場所はありがたかっただけに残念」とした上で、

「全て政治の力で、こういう形になった。改革、改革っていうけど一体、改革というのは何なのか? 国民に改めて問いたい」
「彼ら政治家は、厚生年金会館の歴史の場面場面を見ることがなく決めてしまった。それで終わってしまった。売ってしまった。ある意味では我々にも責任がある。我々がしっかりしていなかったことが大きな問題かもしれない」。
と語っていたことが思い出される。

ところで、ニトリ文化ホールでのラスト・ステージ。

千春は、初めて同ホールのステージに立った時の1曲目に歌った「君のために作った歌」で幕を開けた。そして、千春作品の中でも名曲と言われる「炎」で41年の幕を下ろした。

同ホールとは話が逸れるが、今年が〝北海道〟と命名されて150年目に当たったことも、今回のコンサートに反映していた。

千春は、今年4月にはカバー・アルバム「北のうたたち」を発売したが、同アルバムには北島三郎の名曲「風雪流れ旅」をはじめ、高倉健が主演作した「網走番外地」、バーブ佐竹の「ネオン川」、さらには、旭川育ちの藤圭子のヒット曲「夢は夜ひらく」、そして、トワ・エ・モアが歌った札幌オリンピックのテーマ「虹と雪のバラード」など「北海道にゆかりのある楽曲」ばかり5作品を千春が選りすぐっていた。コンサートでは、その中から「風雪流れ旅」と「網走番外地」をギターの弾き語りで熱唱した。

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