「成長戦略を実現しながら株価が上昇し、投資家が良かったと思えるようになってほしい」と期待を示した。(19日付日経電子版;日証協会長、ソフトバンクの新規上場「タイミング悪かった」 )ソフトバンクの上場初日の終値が売り出し価格を15%も下回った根本的原因は、「タイミングが悪かった」「強気の値決め」というところにあるのではない。ソフトバンク株の売り出しで調達された約2兆6000億円が、ソフトバンクではなくソフトバンクGの懐に入り、ソフトバンクには「成長戦略を実現」するための資金が一円も入らないことが問題なのだ。
例え今回のソフトバンク株売出によって調達した資金で親会社のソフトバンクGが成長したとしても、子会社であるソフトバンクには直接的なメリットはない。要するにソフトバンク株の売り出しと、ソフトバンクの成長とはほとんど無関係で、単純に言えばソフトバンク株を購入する必要性がほとんどなかったということ。
ソフトバンク株の売り出しが、9割が国内向け、かつ個人投資家中心となったのは、国内での知名度と配当利回りが高く人気沸騰したからではなく、Index 連動運用以外に外国人や機関投資家に需要がなかったからに他ならない。
残念なことは、親会社の保有株売り出しという歪な IPOに対して、懸念したり止めようとする動きが全く見られなかったこと。メディアの大スポンサーである企業に対して大きな忖度が働いたのだとしたら、とても残念なことだ。