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【談話】新たな「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」について

立憲民主党政務調査会長 長妻 昭
安全保障部会長 本多平直

 本日、政府は「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」を閣議決定した。

 我が国を取り巻く安全保障環境については、依然として厳しく不透明な状況ではあるものの、本年に入り米朝交渉の開始や日中関係の改善等、変化を迎えつつある。今回決定された防衛大綱は、これらの状況変化をまったく踏まえていない。また、今回の改定は、安倍総理の指示に基づき、国家安全保障会議(NSC)など官邸主導で進められたとされ、防衛省・自衛隊の現場における議論よりも、政権トップによる対米配慮などに影響された懸念がある。

 そもそも防衛大綱は、概ね10年を念頭に策定されており、2013年に現大綱が決定されてから、まだ5年しか経過していない。これは、前回の大綱策定時において、我が国を取り巻く安全保障環境に関する長期的な見通しが安倍政権に欠如していたことを如実に示すものである。さらに、大きな状況変化があったのであれば、その基礎となる国家安全保障戦略をも改定すべきであるが、行われていない。

 今回の大綱・中期防衛力整備計画に盛り込まれたイージス・アショアの導入については、高額な調達費用やミサイル防衛の実効性、電磁波による健康被害の懸念などにより地元の反対が強い点などを踏まえ、また北朝鮮をめぐる情勢の推移を見極めつつ、従来のイージス艦によるミサイル防衛、とりわけ配備ミサイル数の増強などの対応が可能かどうかも含め、見直すべきである。

 護衛艦「いずも」等の事実上の空母化については、そもそも専守防衛に関する従来の政府答弁を逸脱し、また事実上の敵基地攻撃能力の保有になるなど重大な懸念がある。これらの議論を避けるために「多機能の護衛艦」などの表現を使用している点はきわめて姑息と言わざるを得ない。さらに現行の搭載ヘリによる潜水艦哨戒能力、被災地支援任務の維持、高額の改修費や維持費、護衛のための艦艇がさらに必要になる懸念、戦略上・戦術上の必要性や実効性、等の観点から見直すべきである。

 F-35の105機の追加取得については、現有機の後継として一定の理解はできるものの、財政状況に鑑み、機数の絞り込みなどを検討すべきである。

 また、宇宙・サイバー・電磁波領域など新たな領域における取組みの強化、領域横断のための統合運用については、理解できる点があるものの、財政状況への配慮に加え、専守防衛など憲法上の制約との関係を慎重に検討すべきである。

 なお、第二次安倍内閣以降の防衛予算は、他の歳出項目と比して突出した伸びが継続している。とりわけ、米国からの対外有償軍事援助(FMS)が急増し、後年度負担の残高が年間防衛費に匹敵するなど異常な状態にある。本来、緊急対応に限られるべき補正予算に長期計画が不可欠な防衛費が多額に計上されることが恒常化している点も問題である。また、整備部品、訓練費用、災害対応の自家発電機、自衛隊員の生活・勤務環境など、人的基盤強化予算が不足しており、まずはこれら基礎的な予算の充実を優先するとともに、FMSにかかる調達や維持費のあり方、米国への高額な技術指導料、等の改善を図りつつ、過去の大綱にあった「節度ある防衛力の整備」との方針を復活させるべきである。

以上

2018年12月18日【談話】新たな「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」について.pdf

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