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焦点:株の弱気相場は行き過ぎか、市場対エコノミストの軍配は


[東京 18日 ロイター] - 2019年の世界経済は減速するものの、底堅さは維持する──。エコノミストの予想はほぼ一致するにもかかわらず、世界的な株安が止まらない。

一部の市場は弱気相場入りさえしているが、投資家は悲観し過ぎであり、いずれ株価は反発するのか。正しいのは株式市場とエコノミストのどちらなのか注目を集めている。

<投資家は安全資産に逃避>

弱気相場入りの一般的な基準は、高値からの20%下落とされる。「20%という水準に理論的根拠はないが、このレベルを下回ると、さらに下げるという経験則がある」(みずほ証券・シニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏)という。市場がそう考え行動すれば、実現するのがマーケットだ。

17日の米株市場では、ラッセル2000指数<.RUT>が8月31日に付けた終値ベースの高値から20%超下落し、弱気相場入りした。

ラッセル2000は、小型株を中心に構成されており、大型株よりも景気動向に対して敏感とされる。弱気相場入りまでダウ<.DJI>で4322ドル(17日時点)、日経平均<.N225>で1557円(18日時点)の「余裕」があるが、市場では大型株市場もいずれ弱気相場入りするかもしれないとの警戒感が強まっている。

原油相場<CLc1>や上海総合指数<.SSEC>、MSCI新興国株指数<.dMIEF00000PUS>なども、すでに高値から20%超下げており、弱気相場入りしている。市場では「海外投資家は完全に弱気に傾いており、キャッシュや米国債など安全資産に資金を逃避させている」(外資系証券・営業担当者)との指摘が多い。

<経済データは依然堅調>

エコノミストによる2019年の経済予想は、ほぼ共通だ。ピークアウトはするものの、米経済は減税効果が残り個人消費を中心に底堅さが続くほか、中国経済も金融緩和や財政支出などの政策効果によって、底割れは防がれるというものだ。

実際、経済指標は悪くない。12月NY州製造業業況指数など弱めな指標も出ているが、米ISM景気指数など全体的にみれば、経済指標は依然として高いレベルにある。米利上げの停止など政策対応余地も残されている。

経済協力開発機構(OECD)の2019年世界成長率見通しは3.5%。11月に従来予測の3.7%から下方修正され、18年の3.7%から減速する予想となったが、過去の水準からみれば比較的高い伸びだ。20年の予測は3.5%となっている。

今のところ明らかになっている経済指標で、景気後退(リセッション)を示唆するものはほとんどない。「景気腰折れをリスクシナリオとしては描けても、メインシナリオとしては出せない」(外資系証券エコノミスト)という。

シティグループ証券・チーフエコノミスト、村嶋帰一氏も、米経済を中心に来年の世界経済は底堅いとしたうえで「足元のマーケットは、やや悲観に傾き過ぎではないか」との見方を示す。

<設備投資減速への懸念>

では、何をマーケットは懸念しているのか。

BNPパリバ香港・アジア地域機関投資家営業統括責任者の岡澤恭弥氏は、来年にかけての設備投資減速に対し、海外投資家の懸念が強まっていると指摘する。

「米中の貿易交渉が決まらないと、企業は何をどこに投資していいかわからず、設備投資計画も決められない。投資家は設備投資減速によるグローバル景気の下押しを強く懸念しており、それが今年10月以降の株安の大きな背景だ」と話す。

ブラックロックの分析によると、足元の米国株の下落要因をマクロ要因の推定影響度でみると、経済成長率の鈍化よりも、不確実性の高まりが大きい。具体的には貿易摩擦の激化を巡る懸念が、堅調なファンダメンタルズを相殺しているという。

マクロデータには、まだ表れない経済の動きをマーケットは感じ取っているのか──。

株価は実際の経済に半年程度先行すると言われるが、常に正しいわけではない。長期的には正しいとしても、その間は上下を繰り返しながら動くのが常だ。

市場が正しいのか、エコノミストが正しいのか。投資家もエコノミストも大きな関心をもって、今後の設備投資データをみることになりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

*カテゴリーを修正しました。

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