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稀代のネットウォッチャー・Hagexこと岡本顕一郎氏にあっぱれ!

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BLOGOS編集部

「Hagex-day info」のブログで知られるHagexこと岡本顕一郎氏が亡くなってからまもなく半年。6月24日、「ITセミナー講師が福岡で刺殺される」という事件が発生したが、あの事件の被害者である。今年最大の「ネット事件」を挙げよ、と言われればこの件が挙げられるだろう。事件の詳細についてはここでは述べないが、刺殺犯の精神鑑定等も終了し、起訴されることになったほか、遺族の代理人が月命日にあたる10月24日にHagex-day infoを更新し、彼がもし生きていたら9月30日で42歳になったことや、同氏が生前に協力していたNHKドラマ『フェイクニュース』がオンエアされたことなどを報告。

・Hagex-day.infoを読んでくださっている皆様へ
http://hagex.hatenadiary.jp/entry/2018/10/24/132853 

 そして、ライブハウス・阿佐ヶ谷ロフトは、同氏が集めていた世界中のショットグラスを引き取っており、「お店で使ってくださるそうです。お立ち寄りの際はショットグラスで提供されるドリンクを注文してあげてください」と呼びかけた。締めの文章としては、遺族や関係者のプライバシーに配慮してほしい、とのお願いが書かれた。

 これから裁判も続くだろうが、2018年が終わる今、Hagex氏について書いておきたい。当然遺族の了承は取っている。ネット上の諍いから発生した殺人事件としては、恐らく日本では初めてのことだろうと西村博之氏(2ちゃんねる創設者)は事件の直後にツイートしている。


 同氏の仕事はサイバーセキュリティ等に関するもので、それに伴いネットウオッチもしていた。日本ハッカー協会のメンバーでもあり、サイバー攻撃やコンピュータの不正アクセスから身を守る、いわば「ホワイトハッカー」的な活動もしていた。彼のブログは膨大なネットウオッチから得たネタを紹介するほか、ネット著名人をおちょくったりする芸風もあった。

フサフサでイケメンだったHagex氏

 そんな彼と初めて会ったのは2014年5月27日だった。山本一郎氏とともに行っているライブハウス・阿佐ヶ谷ロフトAでの「2014年上半期ネットニュースMVP」にゲスト出演してもらったのだ。同氏はちょうど『2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』(アスキー新書)を発刊した直後だった。

 同書はネット釣り師の技術や特徴、そして「釣り」か否かをいかに見抜くかを事細かに書いた書籍ではあるが、「ネットでウケるもの」「ネットで炎上しがちなもの」を分析した書としての読み方もできる。私は同書発売以後、広報やマーケティング関連のセミナー講師をする場合は必ず参考図書として紹介してきた。それだけ同氏の長年にわたるネットウオッチ活動は鋭い分析をされていたのだ。

 同氏からおちょくられて怒っていた人もそれなりにはいるだろう。だが、そこには対象者への過度な罵倒はなく、矛盾点を突いたりする芸風だったようにも見られる。おちょくられた当人からすれば腹立たしいかもしれないが、彼には優しい面が非常にたくさんあった。彼と出会う前年、『秒速で一億稼ぐ男』として与沢翼氏が大ブレイクした。それにひっかけて「中川淳一郎氏は秒速で断酒していただきたい」というブログのエントリーを書いてくれた。私が酒で大失敗を犯してしまった時の話を取り上げ、断酒を勧めてくれたのだ。
http://hagex.hatenadiary.jp/entry/20130820/p10

 見ず知らずの男に対し、普通はこんなことを言えるものではない。その背景には私の普段からの発言や当時小学館と一緒にやっていたメルマガも購読してくれていたとともに、書籍も読んでくれていたことが伺える。今年9月2日、彼と縁のある場所で「偲ぶ会」を行った。約100人が訪れた会だったが、同氏の膨大な蔵書を来場者には形見分けとして渡した。その中には、彼に対してあまり良い感情は持っていないであろう人の本もあった。それを見てヘンな話ではあるが、「茶化すにしても勉強してから茶化していたんだな……」と思ったのだ。だからといって彼による揶揄を正当化する気は毛頭ないが、そうした相手と胸襟を開いて会話する機会が永遠に失われてしまったのはもったいないと感じてしまう。

(偲ぶ会で配られた形見分けの数々)



 それは、同氏と会ったことがあるからよく分かるのだ。前出のイベントにしても、山本氏と私というクセのある二人組を相手に見事な博識ぶりを発揮し続けてきた。私が次々と繰り出すネット上の珍騒動について、的確なコメントを挟むとともに、補足情報もぶち込んでくれる。イベント終了後の楽屋で山本氏が「Hagexとか言っててハゲのブサイクが来るかと思ったら毛もあってイケメンじゃねーかよ!」と言っていたのを思い出す。その後も何度か同氏とはライブハウスでイベントをさせてもらうとともに、今年初頭は新たなるお願いをするに至った。

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