来年度の税制改正で、未婚のひとり親への支援をめぐって、自民、公明両党の議論が紛糾していましたが、住民税が非課税になる条件を緩和するとともに、来年度に低所得のひとり親に1万7500円の給付金を支給することで、合意した、と報じられています。
両党合同の与党税制協議会で合意内容を確認し、延期されていた与党税制改正大綱を今日14日、決定しました。婚姻暦のないひとり親は、現在、16歳未満の子ども1人を育てる場合、年間所得が91万円を超えると住民税がかかります。
一方、配偶者と死別したり、離婚したりした婚姻歴のあるひとり親の場合は、所得が125万円以下なら住民税がかからない優遇措置があります。
今回、両党は、児童扶養手当を受けているひとり親を、この優遇措置に加えることで合意し、婚姻歴がないひとり親の一部は、年間所得125万円まで住民税が非課税になります。
現在は、婚姻歴のあるひとり親は、所得税や住民税の負担を軽くする「寡婦(寡夫)控除」の対象ですが、婚姻歴のないひとり親は法律上「寡婦」とみなされず、対象外になっています。
公明党は、この点について、格差の是正を強く求めていましたが、今回は寡婦控除の改正は見送り、引き続き協議することになった、とのこと。
自民党は、伝統的な家族観を重視し、「未婚の出産を助長しかねない」などの反発が強いそうです。その代わりに、格差を埋めるために年収365万円以下の婚姻歴のないひとり親に、来年度は年額1万7500円の給付金を支給することにしました。
ひとり親が増えていることが、子どもの貧困が増えていることの最大の要因となっています。その原因のひとつとして、男女の賃金格差によって女性の賃金が低いことがあります。
そうした中で、婚姻歴があるかないかでの格差を是正することは必要なことです。この優遇措置のあるなしで、婚姻するかどうかを決める人が増減するとは考えられません。
多様な生き方を認めるのが豊かな社会だと思いますが、選択的夫婦別姓を認めると、伝統的な家族のあり方が壊れるといったことと同様の古い考え方を自民党側が主張したことは、残念に思います。
今年は、非課税の緩和で合意しましたが、税制改正の中で、正面から取り組んでもらいたいと思います。
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- 2018年12月15日 08:13