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仏デモ、社会の不満が根底に

黄色いベスト運動:東フランス・ヴズールでのデモ 出典:Obier (Public Domain)

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

仏で黄色いベスト運動」と呼ばれる大規模な抗議運動が展開中。

・デモ参加者の多くは反マクロンで、高学歴・管理職も参加。

・デモ参加者と一般市民との間に温度差も。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43212でお読みください。】

いまパリを中心にしてフランス全土、2000カ所で「黄色いベスト運動」と呼ばれる大規模な抗議運動が展開している。

これは、マクロン政権が計画した燃料税引き上げに抗議して11月17日に発生した運動だが、フェイスブックなどのSNSを通じて全国に広がった。これらの活動は、車に設置が義務付けられている黄色いベストを、デモ参加者が着て行っていることから「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト運動)」と呼ばれている。しかし、この運動は最初は燃料税の引き上げが問題だったのにもかかわらず、現在はかなり様相が変わってきている。

12月1日には大規模なデモが各地で行われ、パリでは凱旋門内部に設置されていたフランスの象徴ともいわれるマリアンヌ像の破壊をはじめ、暴徒が車を燃やしたり商店を襲い略奪をするなどが起こった。そのため、大きな被害を受けたことを重く見たフランス政府は事態の鎮静化をはかるため、燃料に対する増税案を凍結したのだ。しかし、黄色いベスト達の活動は終息する気配がまったくない。

そんな中、黄色いベストの統率者はいないのにもかからわず、どこからか黄色いベスト運動が要求する項目のリストが出された。そのリストは、42項目ほどあり内容は多岐にわたる。

例えば

・ホームレスをゼロにしろ

・最低賃金の手取りを1300ユーロにしろ

・1200ユーロ以下の年金はだめ

・ローカル鉄道路線、郵便局、学校、幼稚園の閉鎖を中止しろ

・幼稚園から高校3年まで、1クラスの最大人数は25人にしろ

・住宅断熱の大計画(家庭で節約、省エネすることでエコロジーに貢献)

などなど

これらを見ていると、黄色いベストの不満は増税などのマクロン政権に対するものだけではなく、昔から積み重なってきた不満が爆発したものではないかとも考えられる。

また、もともと一部では反マクロンを目的としているグループもいることは確かだろう。フランスのテレビTF1によると黄色いベスト運動に参加している人の42%は、大統領選挙一回目の投票の時に国民戦線党首マリーヌ・ル・ペン氏に投票した人たちであり、マクロン氏に投票した人の割合は5%のみと言うことだ。また、同じく、黄色いベストの人たちは、低所得者の労働者と言われているが、実は、黄色いベスト運動の参加者の13%は高学歴や、管理職だと言うのだ。

写真)マリーヌ・ル・ペン氏 出典)Emmanuel d’Aubignosc (Public Domain)

そのように、黄色いベストの運動と言っても、最終的に何を目的としているのかもはっきりしないまま、12月8日にはまた新たなデモが行われた。デモには10000人参加したとされ、前回の8000人を超える人数が全国から集まったのである。

そして、大規模なデモが開催されることで、便乗して破壊や略奪をする暴徒も集まり、パリでは、また、激しい闘争が繰り返されたのだ。この状況はいつまで続くのかは現在のところ、だれも予測できていない。

筆者も、8日は、パリではないが地方で行われている黄色いベストのデモに参加してみた。そこでは模範的な黄色いベストの活動を行っている人たちが集まっており、フランスが伝統としてきた正統なデモが行われていた。しかし、集まった人たちを見ていると、労働総同盟(CGT)もいるかと思えば、エコロジーのプラカードを持っている人もおり、あらゆる主張が違うグループがより集まっていることが見て取れる

デモの集会の中では、マイクを持っている人が座ること求められる場面があった。すると、先日行われた高校生のデモで、破壊行為をしたため警備隊に頭に手を置いてひざまずかせられた映像が問題になったことをなぞり、同じポーズを取る人もいたのだ。このポーズは現在フランス全体でも、反権力の象徴的ポーズのように扱われている。

小さい街でのデモではあるが、それなりに広場を埋め尽くすほどの人が参加し、音楽隊も参加しているせいか活気があり、集まっている群衆の中に居ると、気持ち的にも盛り上がるのを感じる。

しかしながら、その場から一歩離れてみると、そこには違う世界が広がっていることに気がつく。デモの一画の周りでは、クリスマスの買いものをする人々で溢れているのだ。しかもその人数は黄色いベストのデモ参加数よりも何倍も多い。いそいそと買い物をしながら、黄色いベストの集まりをちらりとは見るものの、そのまま立ち止まることなく通りすぎていく。このような一般の人と黄色いベストの人たちとの温度差に、あたかもマクロン政権が解消したいと考えていた社会の分断が見えたかのようにも感じた。

写真)クリスマスの装飾がされたパリの風景(イメージ) 出典)Wikimedia Commons

この日は大きなクリスマスイベントが開かれる予定だったが、デモがあるということで、不測の事態が起こらないようにイベントは延期になった。黄色いベストの活動に、大多数のフランス国民は3週間もの間、生活を乱されてきている。そしてデモとは少し離れた場所で普段通りの生活を送りながら、破壊される街を見守っているような状態だ。

だいたいデモは、政府がどこまで耐えられるかだけが問題ではない。どこまで黄色いベストの運動に参加しない国民が耐えられるかも関係してくる。破壊された商店や、キャンセル客が増えたホテル、デモの影響で収益が減り、人員を失業状態にしなくてはいけなくなった企業。立ち場が違っても、実際のところ全てのフランス国民がこのデモに関係しているのだ。抗議行動の終息がいつくるのか。デモに参加していない国民が耐える期間が長くなるほどまた他の問題が起きるかもしれない。デモの終息は、政府が今後、的確に対応するかどうかにかかっている。

写真)デモの様子 提供)筆者

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