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映画『来る』黒木華インタビュー「下手くそ!」と怒鳴られた現場で得た気づき

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BLOGOS編集部

国内外を席巻した大ヒット映画『告白』などで知られる中島哲也監督が、第22回日本ホラー小説大賞受賞作『ぼぎわんが、来る』を実写化した最恐エンタテインメント『来る』が12月7日から公開されている。

今作で育児に悩みを抱える主婦・田原香奈を演じる女優の黒木華に、作品の魅力や中島流の演出術について伺った。【取材:島村優 撮影:研壁秀俊】

STORY

オカルトライター・野崎(岡田准一)のもとに相談に訪れた人物・田原(妻夫木聡)。最近身の回りで超常現象としか言いようのない怪異な出来事が起き、妻・香奈(黒木華)と幼い一人娘に危害が及ぶことを恐れていた。野崎は、霊媒師の血をひくキャバ嬢・真琴(小松菜奈)とともに調査を始めるのだが、田原家に憑いている「何か」は想像をはるかに超えて強力なモノだった…。

監督の「下手くそ」から得た気づき

©2018「来る」製作委員会

—まず、この映画の見どころについて教えてください。

「最恐エンタテインメント」というキャッチコピーの通り、登場人物みんなの物語がそれぞれ展開していくので、様々な楽しみ方ができる作品だと思います。人間関係もすごく細かく丁寧に描かれていて、物語の前半と後半で違った人物に見えてくるところにも注目してほしいです。

私が演じた香奈という役は、妻夫木さん演じる秀樹と最初は良い夫婦に見えるんですけど、物語が進むにつれてその関係性がどんどん歪んでいき、恐怖に飲み込まれていくという役でした。今までいただいてきた役とはまた違う一面を見せられた映画かなと思っています。

—完成した映画を見て、どのような感想を持ちましたか?

自分が出ていないシーンは「こういう風になっていたのか」といった驚きも多く、中島監督らしい映像の面白さを感じられました。

—元々中島監督の映像のファンだったと聞きました。

中島監督作品がすごく好きで。映像の切り取り方、アングル、音楽、そういった監督らしさが好きなんです。すごくカッコ良いんですよね。

脚本を初めて読んだ時はすごく面白くて、絶対にやりたいと思いました。ホラーというジャンルも初めてで、しかも中島監督の作品ということで。

—黒木さん自身は、ホラー映画はよく見るんですか?

ジャパニーズホラーは苦手なんですけど、最近はよく見ています。今作は、人間関係が面白くて、岡田さん演じる野崎をはじめそれぞれのキャラクターにどんどん引き込まれていきました。

そういう要素もふんだんに含まれている映画なので、私のようにホラーがあまり得意じゃない人にも楽しんで観ていただくことができると思います。

—厳しいと噂の中島監督のディレクションはどうでしたか?

なかなか大変でした。「下手くそ」「舞台っぽい」など、厳しいことをたくさん言われましたが、自分でも気付かぬうちにそういう芝居をしていたのかもしれませんし、すごく悩みながら挑んだ現場でした。

ただ現場にはすごくいい緊張感が流れており、中島監督は細かいところまで見てくださいました。

—かなり手厳しいことを言われるんですね。

はい。すごく丁寧に演出してくださり、少しでも芝居をしようとしているとすかさず「作らないで」と言われました。真摯に向き合っていただき、本当に感謝しています。でも終わってみるとすごく楽しくて、刺激的な現場でした。

なんちゃってイクメンの夫役に思うこと

—現場は充実していたんですね。

はい。たくさん悩んで苦しかったですが、やりがいのある役をいただき、素敵な役者さん達とご一緒できてとても幸せでした。

—撮影に入る前は、「自身にとって大きな挑戦だ」とコメントされていましたが、振り返ってみてどうでしたか。

私にとって大きな経験になったと思います。自分に足りないもの、役として自然体でいることを考えた現場でした。私は割とハキハキ話すタイプなので、台詞が聞き取りやすいらしいのですが、それを「芝居っぽい」と言われたのかなと。

そう言われた時は、中島監督作品に多数出演されている妻夫木さんに相談したこともありました。「リアリティを持った芝居とはなんだろう」ということを考えた数ヶ月でした。今出演しているドラマの現場でも「素直な反応ができているかな」と考えながらやらせてもらっています。

—作中で香奈は、自称イクメンで外面の良い夫・秀樹に苛立ちを募らせていく様子が描かれています。

母親の大変さを改めて感じました。子どもはわがままを言えば、部屋も散らかす。夫はイクメンのふりして子どものことを全然見てくれないし、香奈にかかる負担が大きくて。これまでに出演した作品で、支えるお母さんをやらせてもらった経験はありますけど、こういうストレスのかかる部分にフォーカスした母親役は初めてだったので毎日辛かったです。

©2018「来る」製作委員会

—ご自分が香奈の立場だったらどう感じますか?

夫に腹立ちますね。でも、香奈にも弱い部分があるとは思うんです。

子育てをし、結婚生活の中で夫と新しい関係性を築きながら生活をしていくのは本当に大変ですよね。会話をすることの大切さを思い知りました。

—映画の中の秀樹のように、日本では少し育児を手伝うと「イクメン」ともてはやされることがあります。

海外では子育ては夫婦や家族全員が関わるものだから、端的な言い方になりますが「夫が偉い」という風習ではないと聞いたことがあります。日本だと男性がちょっと手伝っただけで「すごくいい旦那さん!」などと言われるので、女性からするとどうなんだろうと思ってしまいますよね。

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