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感染症との戦い

今日、東京はインフルエンザの流行が始まったという。

2009年には、メキシコに端を発した新型インフルエンザが、世界的な大流行となったが、当時私は厚生労働大臣であった。日本でも患者が出て、全力で対応した。

水際作戦から始まって、各地の自治体との連携、国民に対する情報提供と注意喚起、医療関係者との協力、さらには国際協力など、幅広い対応が必要であった。そのときの経験から、以下のようなことを肝に銘じたいと思う。

 まずは、正確な情報を国民と共有することの大切さである。地震などの災害やパンデミックなどのときは、流言飛語ほど社会心理学的に怖いものはない。関東大震災時でも、そのようなことが起こってしまった。

このようなことを避けるためには、責任者がきちんと国民に説明することが重要である。説明するリーダーはトップであるほど、その発言の信頼性が高まることになる。

 新型インフルエンザ流行の際には、トップの厚労大臣である私が、直接国民に情報提供することを心がけた。それも迅速にである。朝は6時以降、夜は深夜1時まで、新しい重要事態が発生すれば、必ず私自ら会見し、テレビを通じて直接国民に伝えた。その結果、流言飛語のようなことは起こらなかった。

 まさに、正確な情報を提供することが危機管理の基本である。また、メディアの協力も大事で、うがいの仕方、手の洗い方など、繰り返しテレビのワイドショーなどで説明することによって、幼稚園児から高齢者まで正しい方法で予防法を実行することができたのである。

 次に大事なことは、現場第一主義ということである。神戸や大阪で患者が出ているときに、霞ヶ関では実態がつかめない。野戦病院状態で奮闘している医師や看護師から現場の様子を知らせてもらい、大幅な自由裁量を与えたのである。霞ヶ関の「大本営」は現場ではないので、そこからの指示は間違う可能性が大きい。現場で患者に対応している医療関係者の判断を尊重すべきなのである。

 2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会には、世界中から人々がやってくる。大会を成功させるためにも、エボラ出血熱をはじめとする感染症に対して、万全の対策を講じておく必要がある。

 テロ対策には注意を払っても、感染症は忘れられている。政府、東京都、組織委員会には十分の準備をお願いしたい。

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