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日本語学校の教育の質の担保を 留学生争奪戦 「金の卵」に群がる産業界と大学――機能不全の日本語教育 - 佐藤由利子 (東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系准教授)

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教育の質を担保する制度設計を

このような状態を改善するためには、日本語学校の教育機関としての位置付けを明確にし、大学のように、国が認証する評価機関によって、教育の質や実施体制を定期的に評価・点検する制度の導入が必要である。

また、学生の卒業時の日本語能力など、教育成果の公表を義務付け、良い学校が評価され、悪い学校が淘汰(とうた)される仕組み作りを検討すべきである。教育の成果を競うようになれば、能力の高い日本語教師を、よりよい待遇で確保しようとする動きも加速するだろう。

2年間の学習で日本語能力がN2レベルに達しない非漢字圏出身者が少なくない現状に鑑み、その原因が、本人の学習態度、言語習得能力、学校の教育体制のいずれにあるのかを解明するとともに、海外と国内の日本語学校が連携した形で、来日前からの日本語学習や適格者の選抜を促進する必要がある。

先日、「改正出入国管理法」が成立し、来年4月から「特定技能」の在留資格での労働者の受け入れが始まる。新制度の下での2国間協定に基づく送り出し国として、ベトナムやミャンマーなどの名が挙がり、留学生同様、非漢字圏出身者が多数を占めると予測される。

特に介護、宿泊など、高い日本語能力が求められる職種では、来日後も日本語学習の継続が必要となると見込まれ、日本語学校の役割はますます重要となる。教育の質を担保する制度設計は喫緊の課題である。

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■留学生争奪戦「金の卵」に群がる産業界と大学

PART 1 日本企業が縋る〝金の卵〟留学生

PART 2 ニッポンで働く「壁」を取り除き留学生と企業をマッチング

COLUMN 外国人を活かすも殺すも企業次第

PART 3 ”偽装留学生”はなぜ日本をめざすのか?(出井康博)

PART 4 日本語学校の教育の質の担保を(佐藤由利子)

PART 5 定員割れ大学の延命を図る留学生30万人計画(小川 洋)

INTERVIEW 留学生を〝金の卵〟とするために大学と社会に求められる覚悟

出口治明(立命館アジア太平洋大学学長)

◆Wedge2018年12月号より

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