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鈴木智彦が語るヤクザの今後 「タバコと同じく絶滅する」

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福島第一原発事故の4か月後に潜入を始めた

鈴木は東日本大震災から4か月後の2011年7月、原発事故が起きた東京電力福島第一原発に作業員として潜入。カメラ付き腕時計や首から提げた袋に入れたカメラを使って原発構内を記録し続け、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫) にまとめた。

――東日本大震災の4か月後には東京電力福島第一原発に潜入しています。どんな思いからですか?

新聞記者って普段、「事件起きないかな」って言ってますよね。そういう仕事ですから。だけど、あの震災を目の当たりにすると、違うんですよ。人が亡くなっているのを見て、津波に飲み込まれるのを見て、死体を生で見てしまったら。

けど、生業として事件を書きたいというのは自分の中にあるんです。大きな出来事ほど、一番前に行って見たいというのを本能で感じます。

ジャーナリズムは会社の支援無しではできなくなった

――フリーライターとメディアの記者は境遇も大きく異なります。

現状、会社のバックアップなしに、ジャーナリズムなんてできない時代ですよ。それこそ、シリアで捕まった安田純平がもし、戦場取材の準備を怠ったというなら、フリーの人間は誰もできないですよ。

安田純平はフリーでできる限界までやっていましたよ。お金に関しても、準備にしても。それで出来ないならもうダメです。フリーは誰が行っても文句言われる。


――自己責任の議論には何を感じていましたか。

「俺たち、そういうものじゃん」って。書き屋ってそういう人種だから。ジャーナリストも、フリーライターでもルポライターでも。どこまでも前に行きたい人種だから。もちろん自己責任は受け入れてて、だから死んでもかまわないと覚悟している。安田さんもそうだったはずです。けど、それとは別に、国が国民を助けるのは当たり前のことです。

どっちみち、何かあった時に一番危険な最前線まで行くのが仕事ですよ。俺も人の不幸を仕事にしているとか、そういう自問自答は何回も済ませてきた。実名報道へのリスクとメリットも何回も何回も、考えて考え抜いてきた。

「暴力団は楽しい仕事と書け」組員減る組織から依頼も

全国の暴力団構成員(準構成員を含む)の数は、2017年末時点で約3万4500人で、13年連続で減少。統計が残る1958年以降のピークだった約18万4100人(63年)の5分の1を下回る。「みかじめ料」など不当な金銭要求行為を禁じるなどした暴力団対策法や、全国で施行された暴力団排除条例の影響が大きい。

――構成員数の減少は、暴力団に魅力がなくなったからと考えてよいですか?

うま味がないんですよ。最近は暴力団から「お前らがさんざんうま味もないし、儲からないって書き過ぎるから人材が入ってこない。逆を書いてくれ」って言われて(笑)。

「もっと楽しい仕事で、お金もいっぱい儲かりますよって書いてくれないと、若い人が来ない」って(笑)。そう言う人はちゃんと儲かっている。

確かに全体的には儲かっていないし、役目と存在価値自体が古くなったんですよね。

――暴力団対策法や暴力団排除条例はかなり効果があった。

すごいありましたね。俺も何人もネタ元飛びましたよ(笑)。ネタ元が辞めすぎてノイローゼになりました(笑)。やっていけないんじゃないかって。こんな辞めちゃったら俺やばいなって。

暴排条例は人権に抵触しかねない

暴力団排除条例の問題点を指摘する鈴木氏

――大阪の指定暴力団二次団体の事務所内を定点観測したドキュメンタリー映画「ヤクザと憲法」(製作・東海テレビ放送)では暴力団が困窮している現状が浮かび上がりました。暴排条例は行き過ぎだという指摘もあります。

その辺は実はあいまいです。でも、適用次第では人権に抵触するということ、その可能性があるということをジャーナリズムは言わないといけない。

暴力団の利益になるので嫌でしょうけど、あの理念が人権というものを侵害する可能性が多々ある危険性は新聞が訴えるべきです。俺たちもやりますけど。

2012年1月には、田原総一朗氏や西部邁氏、宮崎学氏、佐高信氏ら様々な立場の文化人が、暴排条例の廃止と暴対法への反対を唱える声明を共同で発表した。暴排条例によって個人的な交際の範疇まで規制されることなどへの違和感を指摘。マスコミ出身の田原氏は、民放連が暴排条例に賛成したことを問題視し、「警察や検察に全面的に味方しているが、NOと言うべきなのがマスコミ。もっと強くなれ」と述べた。

――暴排条例への反対は、田原さんらが直後に発表したが、今はほとんど見られない。

ああいう動きは本当に必要。特定秘密保護法が成立したのだって、新聞がもっとちゃんとやっていればって思いもあります。あれは悔しかったですね。

いっそのこと、暴力団を違法にすべきだ

――暴排条例により生命保険や銀行口座を作れない現状は、普通の生活をするなと言っているに等しい。

暴力団だって生きる権利があるんでしょ?なのに、クレジットカードも銀行口座も作れないし、ローンは組めない。ならば、暴力団をもう違法にしたらいいって思うんですよ。それが一番早い。暴力団に入ったら違法だとしてしまう。

今のまま「暴力団は生きる権利と人権があります」って言いながら、あれもこれもできないという状況だからおかしな話になるわけです。

密漁品が並ぶ築地市場でも暴力団排除がうたわれていた

暴力団の社会復帰は「すっごく難しい」

――暴力団員の社会復帰は難しいテーマであり続けています。

すっごく難しいですね。今まで暴力で他人との差別化をしていたわけです。「おら!」って言えば、みんなが「へへえ」となっていたのに、あれが使えない。

――力で制せられる社会は暴力団ぐらい。

「お前死ね」なんて言ったら、普通は関係断絶しますよ(笑)。暴力団の世界ではそれが挨拶なんですから。その常識から変えていくんだから、すごく大変ですよ。

――朝8時に起きて9時に会社行くのも難しい。

そうしたことも難しいんですよ。本当は垣根無しで、刺青がある指の無い人を雇ってほしい。だけど、あなたが起業した時に雇うかって聞かれたら、僕は雇わないですよ(笑)。

絶対に「面倒くさい案件」でしょ。でも、暴力団を無くしたらそういう人が社会にどっとあふれてくる。どこかが不利益も覚悟で引き受けなくてはならない。そこはみんなでリスクを取るしかないと思います。社会復帰のことを熱心にやっている人もいますし。

「暴力団は国体レベルのサイコパス(笑)」

――犯罪や暴力団にいた過去を反省して、必死で頑張る姿は日本人は好きなはず。そんな美談が増えたら受け入れの土壌も増える、というのは甘いでしょうか。

みんな好きですね。でも美談だったけど途中でダメになるというのもいっぱいあると思います。暴力団はそうした例が多いかもしれない。

言ったら、彼らはサイコパスのすごい人たちですよ。国体レベルのサイコパス(笑)。それを受け入れるということを社会でもっとちゃんと考えないと、受け入れようとしている人が死んじゃいますよ。

最近は、暴力団から「鈴木さん、暴力団はいつになったら違法になるんですかね」って聞かれるんですよ。彼らもどうしようもなくなって辞めたいんだけど、国がとどめを刺してくれたら辞めやすいって思っている。

共同通信社

北海道警は本当にクソで、俺なんか相手にされない

――取り締まる側の都道府県警。鈴木さんは取材などで何を感じていますか。

都道府県ごとに本当に違う。北海道警なんか本当にクソですよ(笑)。道警のクソさは本当にすごくって(笑)。当然、フリーの人間なんか相手にしてくれないですし、記者クラブメディアのコントロールも露骨です。たとえば新任記者は道警に身上書を提出しなければならない。こんな警察他にないです。

でも、「取材はしました」というアリバイ作りで所轄の警察署にも行くけど、どうせ門前払い。「ガソリン代もったいないな」とか思いながらいつも行くんですけど。

とにかく、道警は広報がなにもかも仕切ってて取材にならないんです。本当にクソ(笑)。『サカナとヤクザ』の取材でも、海上保安庁の人も「あいつら絶対10トンしか押収していないのに、時々押収量を水増ししてるんだよ。そうとしか思えない」って言うぐらい。

――他府県警はどう映りますか。

(六代目山口組本部や神戸山口組本部がある)兵庫県警とか大阪府警とかは山口組取材の本場で、雑誌記者とも持ちつ持たれつです。福岡県警も一応対応してくれる。

情報に関していえば、警視庁が一番カスですね(笑)。デマの出元はいつも警視庁。関西の山口組でやっている喧嘩を警視庁が分かるわけないのに、記者にちやほやされて言うんですよ。それで見当違いなこと言う。

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