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日本国債だけが暴落しないという保証はどこにもない

マイケル・ルイスの最新作「ブーメラン---欧州から恐慌が返ってくる」画像を見るを読了しました。金融の世界を題材に「物語」を書かせたら当代随一といっても良い彼の今回の著作には、どこにも統計的な数値は出てきませんが、非常に学びが多く、かつ、面白い内容に仕上がっています。

 今回の物語は、サブプライム後の欧州危機で国ごと事実上のデフォルト状態となったアイスランド、ギリシャ、アイルランドといった国々の「焼け野原ルポ」がその中心です。いずれの国も、ユーロ加盟以降、効率よく稼げた金融と不動産に資金と人材が集中し、伝統産業の雇用が失われたところに金融危機が直撃。不動産価格の暴落と海外投資家の資金逃避により主要銀行が破たんし、政府がその手当てに奔走するものの、その財政力の脆弱性ゆえに、政府そのものが実質破たんするというシナリオをたどっています。
 それぞれの国の破綻劇を見ていると、途中の道のりにいくつかの違いはあるにせよ、「給付はできるだけ多く、負担はできるだけ小さく」を地で行くような人々の目に余るモラルハザードと政府部門の際限なきバラマキの延長線上には、必ず経済破綻が待っているという現実をこれでもかというほど認識させられます。
 特にギリシャの徴税機能の破綻と公的部門の肥大化を見ていると、国民性や産業構造が国の在り方に強い影響を与えており、ちょっとやそっと借金を棒引きしたくらいでどうにかなる問題ではないことがよくわかります。株式市場は、年初来の上昇を続け、「欧州危機は一服」という印象が広がっているようですが、この著作を読む限り、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの予備軍にいつ波及してもおかしくない状況は続いています。

 最終章は、「あなたの中の内なるギリシャ」というタイトルで、自治体財政が破たんし、警察・消防・教育などの最低限の行政サービスすらまともに維持できなくなった米国カリフォルニア州の自治体の話で締めくくられていますが、これなどは日本でもそのうち現実化する事例なのではないでしょうか。

 公務員が自らの待遇維持ばかりを求め、土建屋が公共工事を求め、中小企業は公的資金支援を求め、住民は医療や公共サービスの負担を極力避けようとする。関係当事者は皆「いずれこのままではまずい」と分かっていはいても、思考停止状態が続く。
 これは私達の身の回りでも現実に起こっていることでしょう。

 欧州危機が起こる以前から、これらの国々の国債をショートして荒稼ぎしたヘッジファンドのいくつかがが、日本国債のCDSを買っている(売りのポジションをとっている)ことの意味を私達はもっと深刻にとらえるべきなのかもしれません。スペインやイタリアでさえ、突然、国債価格が下がり金利が急騰している現実がある中で、日本の国債だけが値を保ち、超低金利が今後も維持されるという保証はどこにもありません。それが起こるか否か、起こるとすればいつか、それは誰にもわかりませんが、庶民としてでき得る以下の備えくらいはしておくべきではないでしょうか。

●復興国債という名前に惑わされて、個人向け国債などは購入しない。
●円以外の通貨をバランスよく保有する。
●資産は預金に集中させず、最低でも配当利回りの高いディフェンシブ株等に分散する。
●もし住宅を購入する場合には、なるべく売却可能性の高い立地の物件を購入し、現在の超低金利を利用して長期固定のローンを組む。

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