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なぜ部下は打ち合わせの資料を忘れるのか

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取引先での打ち合わせ当日。現地で待ち合わせた部下から、「あのう、すみません、資料忘れちゃって」と言われた。あなたは前日に「資料忘れないでね」と念を押したはずだった。なぜ忘れてしまうのか。この怒りをどうすればいいのか。スポーツメンタルコーチの鈴木颯人氏は「怒る相手がいるとすれば、それはあなた(上司)自身」という。どういうことなのか――。

※本稿は、鈴木颯人『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/LightFieldStudios)

■メンタルコーチの仕事についての大きな誤解

「メンバーが思うように動いてくれない」。これは、多くのリーダーにとって普遍的な悩みでしょう。では、どうすれば部下自らモチベーションをもって動いてくれるようになるのでしょうか。実はこれは、あなたがメンバーに対し「どんなふうになってほしいと思っているか」によって大きく変わります。

スポーツメンタルコーチである私の仕事の目的はなんだと思いますか。「アスリートに成果を出してもらうこと」だと思っている人が多いと思います。実際、ご依頼くださるアスリートやその親御さんは、そのつもりでいると思います。

しかし私は、担当しているアスリートに結果を出してもらうことを目的にコーチングを行っているわけではありません。目的にしているのは、クライアントのみなさんに「幸せな人生を送ってもらうこと」です。「結果を出すこと」は、クライアントが幸せな人生を送ることの中に含まれる、と認識しているのです。

■「結果」に固執するリーダーは失敗する

アスリートの場合、まず「幸せになる」という人生の目的があって、それを達成するために「金メダルを取る」とか「アジア選手権で優勝する」といった目標を掲げます。「金メダルを取ること」そのものを人生の目的にしてしまうと、その目標を達成した瞬間に目的がなくなり、その人が“生ける屍”になってしまいます。

目標を達成できなかった場合も同様で、金メダルを取らないかぎり、その人は一生、幸せになれないことになってしまいます。

アスリートに幸せになってもらうのが目的であるため、コーチングを行う過程で、競技に集中することがそのアスリートの幸せにつながらないと気づいた場合、あえて引退後のプランにフォーカスするケースもあります。

リーダーが「結果」に固執していると、メンバーの幸せは大方度外視されます。私なら、コーチングの目的そのものが「自分の評価を上げること」となり、「どうすれば結果が出るか」ばかり考えるようになります。そのような、相手の幸せを考えない人のために、周りが頑張ろうと思えるでしょうか? 信頼関係を築くという観点から見ても明らかにNGでしょう。

■結果を求めないほうが、結果は出やすくなる

リーダーに求められることは、相手の変化を促し、幸せな人生を送ってもらうことです。結果的に成果や結果が出たとしても、それは最終的な目的ではありません。ただし、会社で働いているかぎり、しかもリーダーである以上、結果や評価にまったく無頓着というのはあまり現実的でないでしょう。「相手の幸せのためにコーチングや指導をするなんて荷が重い」と思う人もいるはずです。

そこで、「幸せ」に関するハーバード大学の研究を紹介します。ハーバード大学が1万2000人以上を対象に、30年以上にわたって追跡した「幸福」に関する研究によると、「日々接している周囲の人間が幸せを感じると、本人も幸せを感じる確率が15%高まる」ということです。さらに、「人の幸福度は本人から数えて3人目まで影響する。幸せだと感じている人の配偶者や同僚を通じて、さらにその人の友達や配偶者や同僚も幸せを感じる確率は6%高まる」とされています。

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