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男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

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世界最悪の人権侵害国家と呼ばれる北朝鮮の中でも最たる暗部と言えるのが管理所、つまり政治犯収容所だ。収容者は8万人とも12万人とも(韓国の統一研究院の推測)とも言われるが、北朝鮮当局はその存在すら認めていない。

1990年代に起きた大粛清「フルンゼ軍事大学留学組事件」と「第6軍団軍事クーデター未遂事件」、そして「深化組事件」に際しては、一度に千人単位の人々が収容所に送られたという。

(参考記事:同窓会を襲った「血の粛清」…北朝鮮の「フルンゼ軍事大学留学組」事件

通常、管理所への連行は夜中に密かに行われ、近所の人達が気づいたころには家はもぬけの殻になっているというが、咸鏡南道(ハムギョンナムド)で先月、連行の噂が広がった事例があった。

事件が起きたのは、咸鏡南道の炭鉱地帯、端川(タンチョン)市の剣徳(コムドク)地区でのことだ。現地のデイリーNK内部情報筋は、次のように事の顛末を伝えた。

先月15日の午前2時ごろ、国家保衛省(秘密警察)や炭鉱付属の保衛部の要員ら6人が地区のある民家を急襲した。この家には、炭鉱で信号手(トロッコの運行や坑道の発破などを伝える職種)として勤める女性、美術員(プロパガンダ用の絵を描く職種)として働く弟、そして年老いた父母の4人が暮らしていた。

この一家は首都・平壌の出身だが、7年前にこの地に追放され、保衛部の厳しい監視のもとに置かれてきた。女性には夫がいたが、追放時に離婚し、弟は未婚だ。

家に踏み込んだ保衛員らは、家族にすぐに外に出られるように服を着替え、胸に付けられた肖像徽章(金日成主席、金正日総書記のバッジ)を外すよう命じた。そして、一列に正座させ、国家保衛省の逮捕命令書を読み上げた。

ところが、女性の行動が大騒ぎへと発展した。

女性は、早々に服を着替えてバッジを外し、寝室から3つの額縁を持ち出した。「将軍様は家族」「将軍様に従い千万里」「忠誠の一本道へ」という毛筆の書が収められたもので、女性はそれらを持っていくと言い出したのだ。

通常、管理所に連行する場合にはある程度の日常品の携帯が許されるが、この家族にはどういうわけか少量の塩を除いて一切の荷物携帯が許されなかった。保衛員との間でもみ合いとなり、その過程で紙は破れてしまった。

北朝鮮は、最高指導者の肖像画を事故や災害から守るために命を投げ出すことを美談として取り上げるようなお国柄だ。逆に言うと、それらを毀損することは重大な政治的犯罪だ。

(参考記事:北朝鮮「指導者の肖像画」を守って死んだ人々にあり得ない仕打ち

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