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  • ヒロ
  • 2018年12月11日 11:56

どうする、土壇場のメイ首相

英国のドラマがいよいよクライマックスになってきました。EU離脱の3月29日まであと3か月ちょっととなり、EUとメイ首相が合意した離脱案を英国議会下院で11日に採決をとる予定でした。しかし、とても通過しそうにもないという票読みからその採決を延期しました。今のところ、いつまで延期するか決まっていません。

そんな中、EUの司法裁判所が「英国が離脱するのを撤回する」と3月29日まで言えば英国単独でそれを決定できると判断しました。つまり、離脱をやめる選択肢のハードルが下がったのです。

メイ首相は13日から再びEU首脳と離脱問題について会談をする予定でその際に英国国内の状況を説明したうえで既に合意済みの離脱案の修正を迫るのではないか、とされています。

これらの状況から11月16日の本稿、「英国のEU離脱は本当にあり得るのか」をもう少しアップデートしてみたいと思います。

まず、英国議会では630議席のうち与党の保守党が315議席を占めますが、離脱については様々な議論とアイディアがあり、与党内でもまとまっていません。特に離脱強硬派にしてみればメイ首相がEUと交わした離脱協定は英国の本来の自由を担保していないという点において「甘っちょろい」としています。

一方、野党第一党の労働党は正直、何を意見しているのかよくわからず、とにかく、打倒メイ首相を前面に掲げ、政権への協力はしないスタンスになっています。とすれば労働党は何が何でも反対ですからメイ首相が思う形にするには現状、与党と閣外協力する民主統一党が一枚岩にならない限りほぼ不可能であります。

メイ首相が13日からのEUとの会議で何か引き出せるとは思っていません。EU側は多数の国の合議であり、その場でどうこうできるものではなく、ホリディシーズンに差し掛かった今、ついこの前合意に至った内容を今更変えるのは理不尽とするでしょう。

とすればメイ首相の作戦は時間稼ぎで採決を来年まで引き延ばしてしまうという手段が考えられます。

では、EUの裁判所が判断した3月29日前の離脱撤回なら英国単独でも可能、とする点についてはどうでしょうか?なるほど、ハードルは低そうです。ただし、いったん国民投票で決まったことだけに議会だけで「離脱、やめます」とは言えません。

要は再度国民投票を行い、その結果、離脱しないという判断が下される必要があります。ならば、実務的に3月29日までに再度、国民投票は可能か、という検討をしなくてはいけません。私の認識する限り、メイ首相がもっともこの再投票を嫌がっており、ご本人が昨日のEU司法の判断で考えが変わったかどうか、これがポイントとなります。

こうなるとメイ首相の作戦は二つ。時間引き延ばしをして与野党に「合意なき離脱」になり英国を大混乱させる責任をとれるのか、と迫る方法と、EUの司法判断に基づき、再度国民投票を行い、その結果を見て離脱反対なら元のさやに戻る、離脱賛成ならEUとの合意案に基づく採決を議会で承認させるという方法です。

個人的にはどちらの案もメイ首相の立場は悪くないと思いますが、後者の方が将来のため、および民主的という点からは賢い選択ではないかと思います。

一部にはいまだに総選挙という案もありますが、私としてはほぼ意味をなさない選択になりつつあると思います。今、首相を変えても何もまとまらないはずで、メイ首相がすべてだと思っています。

EUも英国の状況分析は十分できているはずで、あまりにもまとまりのない英国議会はEUが譲歩してどうなるわけでもないと結論付けるのではないでしょうか?

メイ首相にとっては人生でもっとも楽しくないホリディシーズンとなりそうですが、与野党の遠吠えにカツを入れ、歴史に残る首相になれるか、汚名のまま終わるのか、いよいよクライマックスになってきたようです。

では今日はこのぐらいで。

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