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【読書感想】ルポ 中年フリーター―「働けない働き盛り」の貧困

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ルポ 中年フリーター―「働けない働き盛り」の貧困 (NHK出版新書 566)
作者: 小林美希
出版社/メーカー: NHK出版
発売日: 2018/11/10
メディア: 新書
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Kindle版もあります。

ルポ 中年フリーター 「働けない働き盛り」の貧困 NHK出版新書
作者: 小林美希
出版社/メーカー: NHK出版
発売日: 2018/11/30
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
バイト3つを掛け持ちして休みゼロの43歳男性、「妊娠解雇」で虐待に走った41歳女性、手取り17万円で地方医療を支える臨時公務員37歳男性―。非正規雇用で働く35~54歳の「中年フリーター」が、この国では増加の一途を辿っている。なぜ彼らは好景気にも見放されてしまったのか?フリーターを救う企業はあるのか?豊富な当事者取材から「見えざる貧困」の実態を描きだす。

 いまの世の中の景気は良いのか悪いのか?
 飲食・サービス業では「人手不足」が深刻化しており、新卒者は引く手あまたになっているのです。

 現在、新卒者は売り手市場だ。2019年3月に卒業する大学生の内定率は、2018年9月1日現在で91.6%となり、前年同月の88.4%と比べて3.2ポイントの上昇を見せた(株式会社リクルートキャリアによる調査)。また、就職率(卒業生に占める就職者数の割合)を見ても、2017年3月の大学学部卒は76.1%、2018年3月は同77.1%と、バブル崩壊前の水準近くに上昇している(文部科学省「学校基本調査」)。

 就職の「中身」を見ても、正社員が増えていることが分かる。

 このように、新卒採用の状況が良くなっている一方で、就職氷河期に社会に出て、現在「中年フリーター」と呼ばれている人たちは、取り残されています。  

 この言葉にスポットライトがあたるようになったのは、2015年のことだ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員の試算によれば、中年フリーターは増加の一途にあり、2015年時点でおよそ273万人いるという。

 いうまでもなく、彼らは正社員に比べて貯蓄が少なく、社会保険の加入率も低い。そのまま年金を受給する世代になると、月7万円に満たない国民年金しか受け取れない。となれば、生活は立ち行かなくなり、生活保護が視野に入ってくるだろう。ところが、日本の財政はそれだけのボリュームを支える状況にない。生活保護という制度そのものが破綻しかねない状況だ。

 そもそも、中年フリーターはなぜここまで増えてしまったのだろうか。

 その理由は明らかだ。日本において、新卒時に青少年になれなかった者は、そのまま非正規の職に就くことが多い。労働政策研究。研修機構の「壮年非正規雇用労働者の仕事を生活に関する研究」(2015年)では、男性で25歳時に非正規雇用の場合、5年後の30歳時に正規雇用になっているのは41.7%、10年後の35歳時で49.1%と約半数に留まるとしている。30歳時に非正規雇用の場合、35歳時に正規雇用になるのは28.0%でしかない。

 そして、かつて新卒時に就職氷河期を経験した世代は、今や中年(35~54歳)にカテゴライズされる年齢になった。つまり「就職氷河期世代」や「ロスジェネ世代」などと呼ばれた層が、正社員の職を得ることなく、そのまま移行してしまったわけだ。

 日本の企業の採用は「新卒重視」が続いており、新卒時に厳しい状況であった「ロスジェネ世代」は、その影響をずっと引き受け続けている、ということなんですね。

「アベノミクスはテレビで見る大企業の話。僕ら”下々の者”に恩恵はない」

 藤田信也さん(43歳)の状況も切実だ。数年前に失業してから、北関東でバイト三つを掛け持ちするトリプルワークで家計を何とか維持していた。連日連夜働き詰めで、妻と幼い子とはほぼすれ違いの生活だ。

 妻は介護職だったが、過酷な労働で退職した。介護の現場に嫌気がさして、もう戻りたくないと感じていたが、家計が厳しく一時は職場復帰した。しかし、その収入はすべて保育料に消えてしまって意味がないと感じた。

 勤務先からは「働くなら夜勤をやってもらわなければ」と言われた。夜間、信也さんが仕事で家にいないなか、子どもを置いて妻が夜勤をすることはできない。他の介護施設でも、「夜勤をしてフルに働けないなら雇わない」というところが多く、結局は共働きをあきらめた。妻は他の業界での再就職も考えたが、子どもが小さく、なかなか難しい。

 信也さんの勤務先は三つだ。全てアルバイト採用で、量販店では時給800円、飲食店で時給750円、公共施設で750円という条件だった。実働は一日10~12時間、ほぼ毎日休みなしでバイトを入れて、働けるだけ働く。

 それぞれの移動時間がかかるため、朝家を出て帰宅すれば寝るだけの生活だ。昼食は車での移動中、赤信号のうちに慌てておにぎりを頬張る。そうして稼ぎ出すトータルの月収は約20万円。そこから国民年金保険や国民健康保険の保険料が引かれると、手元に残るお金はわずか。そこへ、食料の物価上昇だけでなく、公共料金の値上げがじわじわと効いている。家賃が公営住宅で月1万円を切るからこそ、やっていける。

 量販店の自転車コーナーでは、客は皆「乗れればいい。安いものを」と言って買っていく。「10万円もする電動自転車を買えるような人は、パチンコか何かで一発当たった人くらい」と信也さんは話す。

 飲食店でも、客の注文する品で本当の景気が分かるという。高級車に乗っている営業マン風の男性でも、盛りそば600円を注文する。決して、1200円する天ざるそばは頼まない。50~60代の管理職風のサラリーマンも同じ。「地域の飲食店や流通関係で働くと、景気の実態が分かる気がする」と、信也さんは身震いする。

 政府は「景気は悪くない」と言い、街の人々の声では「景気がよくなっているとは思えない」というのが目立つ。

 実際のところはどうなのか、と僕は考え込んでしまうのです。

 僕が実際にみている範囲では、「みんな生活が苦しいと言いながらも、食べ物に困るというレベルには至っていない」という印象。

 価格が高い飲食店でもにぎわっているところはたくさんあるし、「品質は良いけど値が張る商品」もちゃんと売れている。

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