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日露平和条約締結交渉と北方領土

 安倍首相とプーチン大統領との間で、北方領土・平和条約について決着させる必要があるという認識が共有され、これから交渉が始まる。

 平和条約締結後に歯舞・色丹二島が日本に引き渡され、国後・択捉については協議を進め、共同で開発を進めたり、日本人の自由往来を可能にしたりするという。

 これが、いわゆる「二島プラスα」論であるが、交渉は容易ではない。注意すべき三つの点を述べておく。

①  日露間の北方領土・平和条約交渉の影の主役はアメリカである。軍事戦略上重要な意味を持つ北方領土には、すでにロシア軍が展開しており、返還された北方領土に米軍基地を置くことをプーチン大統領は絶対に認めないであろう。

 安倍首相は、トランプ大統領から「米軍の展開はない」という確約を得ることができるのであろうか。結局は、アメリカがゴーサインを出さないかぎり、領土問題の進展はありえないのである。

②領土の持つ意味をどう考えるかということである。大航海時代にスペインやポルトガルが世界征服に乗り出し、帝国主義の時代には、列強が領土獲得競争を繰り広げた。

 領土は、そこにある資源が獲得できるなどのメリットもあるが、管理にコストもかかる。プラスとマイナスを比較考量したときに、領土は広い方が良いとは単純に断言することはできないのである。帝国主義の時代と異なり、現代のIoTの時代には、領土の広さは決定的な意味を持たなくなっている。

③「二島プラスα」論は、従来の安倍首相の支持基盤、つまり保守勢力からの強い反発が予想される政策である。彼らは、「四島一括返還→平和条約締結」という路線を堅持しているからである。

 入管法改正法は今国会で成立したが、外国人労働者の受入拡大策も、外国人嫌いのナショナリスト右派の政策と大きく乖離している。

 今日発表されたNHKの世論調査で、安倍内閣支持率が5%下がり41%になったが、それには以上のような事情も与っているのだろう。

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