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公平とはなんぞや

低所得高齢者の医療費軽減廃止へ 75歳以上740万人が負担増(共同通信)

 政府は7日、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、低所得者を対象に保険料を最大9割軽減している特例措置を、来年10月にも廃止する方向で検討に入った。年金収入が年168万円以下の高齢者約740万人が対象になる。法令で定める軽減幅は7割だが、現在は税金を使ってさらに安くしている。

 現役世代と負担をより公平にする観点から特例を廃止して本来の規則通りの運用を目指し、増大する社会保障費の圧縮にもつなげたい考え。

 来年10月は消費税率10%への引き上げも予定されており、実施時期や方法について慎重に検討していく。来年度以降、段階的に実施する案も浮上している。

 まぁ高齢者叩きは万人受けしますし、とりわけ医療費ともなれば偏見も根深いですので、この辺はあまり争点になることもなさそうですが、どうなのでしょうね。曰く「公平にする」ために特例を廃止するとのことです。往々にして「公平」という言葉が使われた場合、9割方は一方の「引き下げ」によって計られるものという印象があります。正規と非正規を「公平にするため」正規職員の賃金水準を引き下げる等々、我々の社会における「公平」の用例とは、そういうものです。

 中高年社員を追い出して、若年層の雇用機会を創出する――これはいわゆる「ブラック企業」であれば長年やっていることですが、皆様の評価はいかがなものでしょうか。若い内しか働けない、年を取ったらやっていけない、そういう企業や業界は少なくありません。その分だけ若い人にはチャンスが多い、どんなに不況でも若年層の失業率は世界最低水準をキープしていたのが日本という国でもあります。

 ところが当然ながら若者もいずれは中高年になるわけです。中高年を追い出して若年層に道を譲らせようとする社会とは、すなわち若くなくなった先に暗闇が待ち構える社会です。定年まで雇用が保障される会社ならば、なかなか若者に椅子は回ってきません。逆に中高年になったらリストラされる会社ならば、速やかに若者へチャンスが与えられます。しかし「いずれは中高年となる若者」が希望を持つのは?

 日本の新卒一括採用は、世界的には珍しいのだそうです。まぁ、なんの経験もない学生のために採用の特別枠が設けられ、業界経験者と競うことなく採用機会が与えられる、という点において日本は世界で最も新卒に優しい国であると言えるでしょうか。しかし物事には裏と表があり、我が国では中途採用が少ない、とりわけ一流の企業ほど新卒に偏りがちです。要するに「既卒に冷たい」、ゆえに「新卒の機会を失ったら終わり」という機運すらあるわけです。

 そして今回の「高齢者」と「現役世代」もまた同じところがありまして、とかく高齢者と現役世代の対立に物事を落とし込んで解釈させたがる人が多い、若者のためと称して高齢者を叩いて票を稼ぎたがる人も多いのですが、忘れてはならないのは「現役世代も30年後には高齢者」であり、何よりも「現役世代の親は高齢者」でもあることです。

 高齢者と現役世代では、当然ながら所得にも健康状況にも格差があります。所得が少なく健康面でも悪化しがちな年代と、所得面で安定し健康面で大きな問題がない世代、この両者の間の「公平」とはなんなのか、そこは問われるべきものでしょう。医者の世話になりやすい年代の社会保障費を削れば財務省は喜ぶのかも知れませんけれど、それが国民の利益に繋がるかは別問題です。

 もし10人近い兄弟のいるビッグダディの子供達であるなら、「親世代」の社会保障費削減は私的な利益があるのかも知れません。高齢者となった親の世話は「兄弟の中の誰か」が担ってくれることでしょう。老親の世話が他人事である限り、高齢者の社会保障にはお金を掛けない方が良い、むしろ現役世代の負担を減らした方が(自分に)得だと、そう判断することはできます。

 しかし「自分が」高齢者となった親の面倒を見ると想定した場合はどうでしょうか。寄る年波には勝てないもの、自分ではなく「親が」大病を患い、医者の世話になることは当然ながらあるわけです。そんな時、高齢者の医療費負担はどうした方が「現役世代のため」なのか、この辺りは考慮されなければなりません。

 一般的には年齢が上である「親」の方が若い世代よりも医者の世話になることは多いわけです。そんな「親」が負担する医療費は、安くあるべきなのか高くあるべきなのか、「現役世代と公平な」医療費を高齢の「親」に求められれば、「親子」が負担する医療費は当然ながら高くなります。「親の面倒なんて絶対に見ない」人ならともかく、親と子の資産に繋がりがあるとするなら――親世代の医療費削減は必ずしも現役世代の負担削減とはなりません。

 まぁ今回の話は「低所得者」を狙い撃ちにするものですから、無関係な人も多いでしょうか。いずれは、より幅広い所得層に向けた高齢者向け社会保障の削減へと話は進むと思われますが、今はまだ「他人事」なのが世間一般の感覚なのかも知れません。しかし年金収入が年168万円以下の高齢者に取って受難であることには変わりがなく、それは低所得の高齢者の面倒を見ているところの「貧乏な家に生まれた子供」にとっても同じと言えます。

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