- 2018年12月09日 13:37
大富豪達のお節介から生まれた「グローバリズム」
■「グローバリズム」が齎した「中産階級の没落」
20世紀末から世界の潮流として叫ばれた「グローバリズム」とは、平たく言えば、「世界の貧富の差を無くす」という思想だった。
地球上には先進国と言われる比較的裕福な人々が暮らす国と、そうでない人々が暮らす国があり、その貧富の差を無くすことを善とする思想でもある。
「貧富の差を無くす」と言えば、誰もが正しいものと思いがちで、その美辞麗句を否定することは殊の外、難しい。日本でも「格差は悪」とする思想が主流になっているので、グローバリズムは無条件に正しいものと思われがちだ。
「グローバリズム」の発生時期は、インターネット社会の誕生と軌を一にしているが、その言葉が人工的に作られた思想であるなら、それを提唱した人物、またはグループがいたはずである。
それが誰であるかは判らないまでも、その人物(グループ)が意図したことは容易に想像することができる。
例えば、あなたが世界有数の大富豪だとすると、何不自由の無い生活を送る中で、ある日、こう考えるかもしれない。
「世界の貧富の差を無くしたい」
一見すると、至極まともな発想と思うかもしれない。
しかし、人工的に世界の貧富の差を無くすことが意味するものは、富者の富を貧者に分け与えるという考えに他ならない。
働かずに生きていくことができる大富豪のような人々であれば、一生で使い切れない富の一部を分け与えることはさほど難しいことではないが、働くことで生業をたてている人々は、そうはいかない。
先進国の富を途上国に分け与えるといっても、先進国の中にも貧富の差があるので、その全ての階層の人々から富を与える(富を奪う)ということになると大きな問題が生じることになってしまう。それが、現代で言うところの「中産階級の没落」である。
■「グローバリズム」の行き着く先は「ディストピア」
一部の大富豪達の善意(偽善)によって、途上国の富は急速に増加したものの、先進国の富は急速に目減りすることに繋がった。それが、現代における「グローバリズム」の最大の問題点でもある。
無論、世界経済が平準化することは望ましい。しかし、それは自然発生的にそうなっていくことが望ましいという意味であり、人工的に短時間で行うことを意味しない。
人工的に格差の無い社会を創造するという意味で、「グローバリズム」とは共産主義と非常に酷似した思想だと言える。人工的な平等社会の構築を目指すことによってユートピアという名のディストピアを作り出すという意味では、まさしく共産主義そのものと言ってもよいかもしれない。
ロシア革命からちょうど100年後にトランプ政権が誕生し、「グローバリズム」を否定する姿を観ていると、何か偶然とは思えない運命的なものを感じてしまう。
「グローバリズム」を押し進める米国のリベラル勢力が、トランプ大統領を失脚させることに必死になっている姿を観ていると、その思想が透けて見えるかのようだ。
例えば、全世界に1億人のフォロワーを持つ歌手のテイラー・スウィフト氏が民主党の支持を表明したことで、有権者登録が昨年よりも5万人も増加したというような報道が大々的に行われたが、実はその5万人の多くは、トランプ支持者だった。
テイラー・スウィフトからトランプを守るために有権者登録を行った人の方が多かったという皮肉な現象が生じた。それは、選挙結果を見ても明らかだったが、リベラルメディアは、都合の悪いことは一切、報道しない。この辺はアメリカも日本も変わらない。
現在、蒸し返されているトランプ大統領の「ロシア疑惑」も、日本で言うところの「モリカケ疑惑」のようなものなのだろうと思われる。