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「ネタバレの美学」が最高に面白い

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 ワークショップ「ネタバレの美学」が最高に面白かったので書く。ちなみに、togetterまとめは[ワークショップ「ネタバレの美学」2018年11月23日]にある。

「脚本・虚淵玄」でも観るか? だからこそ観るのか?

 いま読んでる推理小説の犯人、未見の映画のラストなど、楽しみにしている作品の肝心のところをバラされたら、どう感じるだろうか?

 気にしない人もいるけれど、ほとんどの人は腹を立て、バラした人に抗議するかもしれぬ。あるいは、誰かのつぶやきが目に入り、うっかりオチを知ってしまったら? いま読んでる本を落としてしまい、たまたま開いたページで犯人を知ってしまったら?

 もっと言うと、明らかにネタバレ(に見える)展開を、当の公式サイトで明かしているならば? 監督がノーランとか、脚本が虚淵と分かった時点で、「見えて」しまうから、一切の予備知識ゼロで作品に向かうことが「正しい」鑑賞なのか? でも完全に情報ゼロだと、そもそも観たい・読みたいとも思わない。

 ネタバレにまつわる意見は多々あれど、いまいち噛み合っていない。こうした対立を解きほぐす。そもそもネタバレとは何か、ネタバレの何が「悪」で、どのラインが許容されるのか(許容されないのか)、怒る人は何に起こっていて、擁護する人はどこを擁護しているのか、気鋭の哲学者たちが喧喧囂囂する。そんなワークショップが先日行われた。

 場所は大妻女子大学、わたしのようなオッサンにとっては完全にアウェイなところである。女子大という聖地におっさんが入り込む後ろめたさが半端なく、始まるまでは緊張しまくりでしたな。

「ネタバレの美学」の概要

 まず、ネタバレについて一家言持っている4人の哲学者が、それぞれの拠り所から、ネタバレの定義、ネタバレのアリ・ナシ、その根拠を30分で説明する。次に、会場から集めた質問をぶつけて、分析したりバトルする。教室が満員なのもすごいが、聴いている人からの反響もスゴかった。

質問を「紙」で集めたのと、sli.doのタイムライン化したのが良かった

 タイトルと発表者は次の通り

  1. 「謎の現象学: ミステリの鑑賞経験からネタバレを考える」高田敦史
  2. 「なぜネタバレに反応するのか」渡辺一暁
  3. 「観賞前にネタバレを読みに行くことの倫理的な悪さ、そしてネタバレ許容派の欺瞞」森功次
  4. 「ネタバレは悪くて悪くない:ネタバレ論争折衷派」松永伸司

 最初に配られた資料が充実しており、それに沿って話が進む。オープンリーチで議論しているようなものなので、むりやり理論武装を借りてくる綻びや、例示の偏差といった弱点が見えてて面白い。

ネタバレしないでネタバレを語る

 めっちゃハラハラしたのが、高田さんの具体例。クリスティ『オリエント急行殺人事件』を例に、ミステリの鑑賞において、どのような能動的鑑賞が働いているのかを説明しようとする。高田さんはネタバレ反対派なので、ネタバレに気を付けているものの、抜き書きされている箇所が適切すぎてて、未読の人も推察できそう。ネタバレについてネタバレ抜きで語ることの難しさを実感する。

 もしネタバレに倫理的な「悪」があるとするならば、それは何か? という問いから切り込んだのが渡辺さん。これは主張そのものよりも、むしろ議論の進め方が面白かった。前提と定義の整理は当然として、「ネタバレ=悪」に対する懐疑論の主張を想定し、それぞれの主張について問答をシミュレートする。仮説検証のバトルロワイヤルみたいで楽しい。ネタバレから「悪」を抽出できないかという思考実験だ。

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