- 2018年12月08日 19:41
国産戦闘機F-3が上手くいかない3つの理由
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文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・世界一の国産戦闘機製造の構想。
・純国産開発にはF9エンジン・ES探知器材が不可欠。
・予想される高コストにどう取り組むのか。
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国産戦闘機F-3を作る話がある。空自は新戦闘機導入を検討している。それを純国産で開発する構想だ。従来の国産戦闘機F-1、F-2に続く機体となるため巷間ではF-3と通称されている。
構想は世界一流を目指すとされている。純国産エンジン、レーダを装備した世界一のステルス戦闘機を作りだす。そのように夢想されている。
だが、国産戦闘機の見込みはうすい。なぜならエンジン選定、ステルス戦対応、そしてコスト面に課題を抱えているからだ。
■ エンジンがコケればF-3もコケる
純国産開発には3つの課題がある。
その第1は国産エンジン依存である。
構想は国産エンジンF9を前提としている。これは小直径ながらハイパワーを売りとしたジェットエンジンだ。サイズは米F-18戦闘機で使用する中規模エンジンF414と同等やや大きい程度である。それでいながらパワーは1.5倍、15トンの推力を出す計画だ。これはF-35戦闘機用に肉薄する数字だ。それにより「新戦闘機は高性能を発揮できる」と主張されている。重量や空気抵抗、ステルス性で有利な小型機体にハイパワーを与えられるからだ。だが、このF9エンジンがコケたらどうなるだろうか?
計画は行き詰まる。代替品がないからだ。
F-3戦闘機に入る大きさの代替エンジンではパワー不足となる。機体は小直径のF9エンジン合わせだ。だから代替としても小直径エンジンしかはいらない。そして、そのようなエンジンではF9の推力15トンは達成できない。前述のF414では最大出力は10トンと2/3である。逆に推力15トン級以上のエンジンはF-3に入らない。F-35戦闘機用のF135エンジンやF-15戦闘機用のF110エンジンは直径でだいたい20センチ大きいのだ。

■ 実物がない
そしてF9エンジンがうまくいく確証もない。
そもそも開発中であり実物はない。試作型のXF9が1基あるだけだ。しかも実物の戦闘機に取り付けてもいない。海山つかない段階である。F9エンジンが空中で確実動作するかの確証もない。陸上試験台の上では順調に回っただけだからだ。
だがF-3構想では見切り発車で搭載を決めた。唯一の選択肢とした。その点で危うい。
旧日本軍隊の誉エンジン採用機のハライタを繰り返すかもしれない。「小直径でありながら大出力を出せる」と全く同じ触れ込みで大規模導入が決まった。だが実物は性能未達成かつ信頼性不十分となった。搭載機はエンジン不調で悩まされたのだ。
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