
18歳のベリタ
イラク北部の「男子禁制」の地に女性カメラマンが足を踏み入れたーー。
PKK(クルディスタン労働者党)がキャンプを張るのは、イラク北部の国境地帯。トルコと武装闘争を繰り広げ、欧米からテロ組織と認定されている。
だが、2014年にはクルド人居住地域で600の部隊を動員し、「イスラム国」と戦っている。テロ組織の暮らしとは、女性戦闘員たちの素顔とは――。
「戦う相手はトルコ政府だけではない。同胞が困っていたら手を貸す。それがPKKだ」
ある女性兵士はこう話す。クルド人国家の樹立を掲げ、トルコ政府及び同国治安部隊からの解放を求め、彼女らは戦う。しかし、理由はそれだけではない。トルコ、シリアをはじめ、中東の各国にまたがり生活するクルド人には、民族差別など迫害の歴史がある。
クルド人の大半がイスラム教徒であるため、PKKのキャンプ地は女性と男性で分けられている。女性である私は、カメラを片手にPKKの女性ゲリラキャンプへと向かった。男性ジャーナリストが入ることのできない地で見た光景は、「テロ組織」というイメージとはかけ離れたものだった。
山奥で暮らすゲリラは日の出とともに起床し、日の入りとともに眠る。山から流れる水を飲み、食料は畑で野菜を育て、主食のパンは自分たちで作る自給自足の生活だ。
そんな彼女たちも女性である。髪の毛を伸ばし、おしゃれをする。私の髪も毎朝ブラッシングしてくれ、きれいに三つ編みにしてくれた。その一方で、彼女たちの瞳には強い意志と覚悟が感じられた。けっして人殺しの目などではない。
「戦争はよくないよね」と平和な国に住む私たちは口にするが、戦争とはなんなのか。彼女たちの覚悟ある澄んだ瞳に、なんのために戦うのかを考えさせられる。