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なぜ総務省は「分離プラン」の導入に強くこだわるのか

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総務省が携帯料金の「分離プラン」導入を強く提言

実は10年前にも分離プランは議論、導入されていた

再び「官製不況」の悪夢? 同じ轍を踏む可能性も

総務省の有識者会議で、携帯電話のキャリア各社に分離プランの導入を求めることなどを盛り込んだ緊急提言案が公表された。菅義偉官房長官の発言に端を発した、料金値下げの切り札とされる分離プランの導入だが、なぜ行政はこれほどまで熱心なのだろうか。

総務省が緊急提言案で分離プラン導入を要請

2018年8月に、菅官房長官が携帯電話料金の値下げに言及して以降、料金に関する大きな動きが相次いでいる携帯電話業界。その発言を受けて新たに実施されたと見られる総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」で、2018年11月26日に「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言」という緊急提言案が公表された。

この緊急提言案で言及している要素はいくつかあるのだが、中でも注目されているのは通信料金と端末代金の完全分離、俗にいう「分離プラン」の導入をキャリアに要求していることにある。

総務省が2018年10月より実施している「モバイル市場の競争環境に関する研究会」。11月には分離プランの導入などを求める緊急提言案を打ち出している

これまで携帯電話の料金は、通信料金と端末代を一体にし、毎月の通信料金に端末代の値引き分を上乗せすることで、「実質0円」など端末価格を大幅に値引いて販売してきた。この仕組みによって日本では高性能の携帯電話やスマートフォンがいち早く普及し、多くの人たちが最先端のネットワークやサービスを利用できるというメリットをもたらしたのだが、一方でいくつかの問題点も生み出していた。

その1つは、端末を頻繁に買い替える人は大幅値引きの恩恵を受けて得をするが、同じ端末を長く使う人は値引きの恩恵が受けられず損をするという、不公平感があること。そしてもう1つは、端末の割賦や長期契約を前提とした割引が複雑に絡み合っているため、料金の仕組みが分かりづらく、解約や他社への乗り換えがしづらいことである。

そこで通信料金と端末代を完全に分離し、通信料金への端末代の上乗せを禁止することで、毎月の通信料金を安くし、シンプルで公平な料金を実現したいというのが、緊急提言案の背景にある総務省の考えだ。分離プランの導入だけでなく、KDDI(au)の「アップグレードプログラムEX」に代表される、4年間の割賦を前提とした買い方プログラムに関しても、機種変更が値引きの条件となることで契約を強く縛るとして、抜本的な改善を求めている。

分離プラン自体は既にauとソフトバンクが導入しており、NTTドコモが2019年春の導入を発表している。だがこの提言案が通れば、キャリアは通信料金を原資とした端末の値引きが一切できなくなるため、最新のネットワークやサービスを利用できる高性能な端末を、自ら安価に販売して広める手段を完全に失うこととなる。ビジネスの大幅な転換を迫られるのは必至だろう。

NTTドコモは分離プランを軸とした新しい料金プランを2019年春に導入すると発表している

しかしなぜ、総務省はそれほどまでに分離プランの導入を強く要求しているのだろうか。その理由は、分離プランの導入が総務省、ひいては行政にとって“10年越しの悲願”だからである。

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