「官から民の流れ」を否定するものではないが、その大前提は「官民の役割分担」だ。自ずから官の適する分野、民の適する分野がある。
水道事業はどうだろうか? 日本の水道水は、世界では珍しく水質も「飲料」できるほどだし、水道管の「漏水率」も3%と世界一低い。うまくいっている事業になぜ民間を入れるのか?
公的分野に民間活力を入れるのも必要だろう。しかし、この分野は世界的にみても寡占体制で、民営化した時の「競争原理」が働きにくい。日本に先駆けて民営化をした国々では、結果的に水質が悪化し、料金も急騰、実に37か国、235事業で「公営」に戻したという。
こうした事例に学ばず、「公営」に戻す流れに逆行して、これまた拙速に法案を強行採決する。邪推したくはないが、政府の担当部署に「水メジャー」の仏会社の職員が出向し、英仏を視察した職員がその「水メジャー」から飲食の接待を受けたと聞くと、その背景に何やらうさんくさいものを感じるのは私一人だけだろうか。