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賛否両論 東海テレビ「さよならテレビ」プロデューサーが語った「さよならの本当の意味」 東海テレビ・阿武野勝彦さんインタビュー #1 - 「文春オンライン」編集部

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9月に東海地方でローカル放送された「東海テレビ開局60周年記念番組」が業界内外で大反響を呼んでいる。その番組の名は『さよならテレビ』。自らの報道局にカメラを向け、いわば報道のあり方や働き方に“自己批判”の目を向けた衝撃の問題作だ。なぜ、テレビ局がテレビに「さよなら」なのか? 阿武野勝彦プロデューサーにお話を伺いました。(全2回の1回目/#2へ続く)

阿武野勝彦プロデューサー

『さよならテレビ』は当初、2か月間取材ができなくなった

――番組の衝撃度はもちろん、東海エリア限定なので「観たいけど観られない」という声も多く、放送後さらに『さよならテレビ』の余波が止まりません。阿武野さんの元に届く反響はどんなものですか?

阿武野 報道現場のありのままを映し出したのですから、それは賛否両論です。よかったという方もいれば、モヤモヤしたとか、ざわざわしたとか、釈然としなかったとか。この番組で東海テレビのイメージが悪くなったんじゃないかとまで仰る方もいます。

――まさに東海テレビの報道局が抱える労働環境や報道と視聴率の問題点などもストレートに画面に出しています。さらには7年前に起きた「セシウムさん事件」(情報番組の放送中に「怪しいお米 セシウムさん」などと書かれたテロップが出てしまった放送事故)についても多く取り上げています。改めて自己検証するような企画がどうして通ったのでしょう。

阿武野 取り上げる対象が自分たち東海テレビであった、ということに尽きるわけで、他のドキュメンタリーとの違いは特にないと思うんです。例えば私たちの番組でいえば、これまでに名古屋大学病院の中にカメラを入れた『理想のかたち 名古屋大学病院 改革300日』や、名古屋地方裁判所にカメラを入れた『裁判長のお弁当』、ヤクザの事務所に密着取材した『ヤクザと憲法』など、組織の内部を取材したものはたくさんあります。取材対象が自分たちだから企画として不適当、ダメという話にはならないと思っています。

――冒頭のシーンで、報道局デスクの一人が「勝手に取材対象にされても……」って思わず言ってしまうシーンがありますよね。こうした取材する側とされる側の矛盾が見えてしまうような場面もありますし、放送後は社内で相当なハレーションがあったと想像するのですが……。

阿武野 いえ、取材中からそれはありましたよ。番組の中で出てきますが、報道部のデスクと、すでに撮影してしまったものをボツにするか、しないかというやりとりが長く続きました。「2か月後」ってテロップで明示して次のシーンに移りますが、つまり取材を一度開始したものの、そのすぐあと2か月間、取材ができなくなった。カメラを回せない事態になったということです。

映像を見て泣き出すスタッフもいたくらいです

――その2か月間、取材陣はどうしていたんですか?

阿武野 土方宏史ディレクターと中根芳樹カメラマンは、同じ会社の同じ報道の仲間に取材拒否されたわけですから、それはぐじゅぐじゅしてました。「取材してこい」といつもスタッフに命令してる人たちが、自分たちが取材されることになるとなぜ途端にこんな反応なんだろうという思いもあったでしょうし。

――そのとき、阿武野さんはどうアドバイスされたんですか。

阿武野 基本的に私はスタッフに「相談はするな」といつも言っていて、取材中は放置しています。ただ今回は、とにかく当初の企画は「テレビの今」を撮ることなんだから、原点を忘れないで、いつもと同じでねばるしかないなとアドバイスはしました。

――ちなみにドキュメンタリーのチームと報道部のニューススタッフは同じフロアだったりするんですか?

阿武野 そうです。ドキュメンタリー専属でやっているのは私だけで、他は報道局の記者やカメラマンとして大部屋にいます。

――同じフロアであればこそ、取材中はもちろん、放送後も居心地の悪さはあるんじゃないですか。あれだけ報道部そのものを批判的に映し出したわけですから。

阿武野 批判的ねぇ……。いろんな声があるのは確かですし、第1稿といって2時間半ぐらいの長さになった映像を制作チームで見たときは「ここまで、取材している自分をさらけ出さなくてもいいのに……」と泣き出すスタッフもいたくらいです。

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