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家を売るなら“2022年がリミット”な理由

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■住宅を買うなら2022年まで待ったほうがいい

世田谷区や練馬区には三軒茶屋や二子玉川、光が丘など人気エリアも多く、今のところ地価は高止まりしている。住環境の良さには定評があり、マイホーム購入を考えている人も多いことだろう。

そうした人にとっては2022年以降が安く買えるチャンスといえる。2019年10月の消費税増税前の”駆け込み購入”は控えた方がいいかもしれない。しかし、中には出産や親との同居などで近々に家を購入したいと考えている人もいるだろう。その場合は、最寄り駅から離れていて交通の便の悪いエリアや、近くに農地の多いエリアなどは避けておきたいところだ。

一方で、都下の戸建て住宅に住む人の中には、「子供が成長するまでは庭付きの家でファミリーライフを楽しみ、子供が独立して夫婦2人きりになったら自宅を売ってそのお金で利便性の高い都心のマンションを購入する」といった生活設計を立てている人も少なくないのではないか。

しかし、2022年問題で地価が下がってしまったら、自宅の売却資金だけで都心のマンションを購入するのは難しく、老後の資金計画が大きく狂うことになる。生産緑地の多いエリアに戸建て住宅を購入している人は、プランを練り直すか、手放すつもりならばなるべく早く売ってしまうのが賢明かもしれない。

■埼玉県羽生市は「農地の宅地化」で大混乱

生産緑地の多いエリアで不動産投資をしている人はどうだろう。実は、農地の宅地化には悪しき先例がある。埼玉県羽生市の施策だ。

森田聡子『取られっぱなしでいいの? 節税のツボとドツボ』(日経BP社)

同市は2003年、市街化調整区域内の農地に住宅建設ができるという条例を策定した。市の狙いは戸建て住宅を増やして定住者を確保することだったが、建設業者などの介入もあり、実際には新築のアパートが150棟も乱立。同市の規模からすると150棟は明らかな供給過剰で、空室率は35%を超えた。結果として12年後の2015年、同市はやむなく住宅建設可能なエリアを元に戻したのだ。

土地の大量供給によって周辺に新築で安い物件が多数出てくれば、店子がそちらに流れてしまうのは防ぎようがない。ローンを利用していたら、返済計画にも支障を来す。いよいよ追い詰められて売却を決意した時は、売り物件があふれていて身動きが取れなくなっている危険性もある。影響を受けそうな物件は売れるうちに売っておき、2022年以降の様子を見るべきだろう。

■“100%ローン”の利用者は早めの対策を

2022年問題の影響を受けそうなエリアに自宅を購入し、ローンの返済を多く残している人も安閑としていられない。バブル経済が崩壊した後の1990年代には地価の急落により、不動産価格が負債を下回る“担保割れ”が続出した。

21世紀以降の住宅ローン金利は当時と比べて破格に低い水準にあり、担保割れですぐに返済が逼迫するような事態は考えづらいが、だとしても、“100%ローン”の利用者などは今から何かしらの手を打っておきたいところだ。特に変動金利のローンを利用している人は、金利上昇による返済額のアップとのダブルパンチを食らうリスクもある。今のうちに繰り上げ返済や借り換えなどを検討したい。

■「リバースモーゲージ」利用者も注意が必要

さて、2022年問題は別のところにも影響を及ぼす可能性がある。最近は自宅を担保に老後の生活費を借り、当事者が亡くなった時点で抵当に入った自宅を売却し、債務に回すという「リバースモーゲージ」を取り扱う金融機関が増えている。

例えば世田谷区や練馬区在住の親がこの制度を利用している場合、2022年問題で資産価値が契約時に比べて大幅にダウンすると厄介なことになりかねない。先の住宅ローン同様に担保割れが起こり、融資額が減らされたり、場合によっては契約終了前に融資自体を打ち切られたりする可能性があるからだ。

メガバンク3行を含めた60行前後が参入、米国並みの普及を目指すリバースモーゲージだが、2022年問題やその後の不動産価格の下落が思わぬネックとなるかもしれない。

<おさらい>

◆2022年以降には、生産緑地法の指定解除を機に大量の農地が宅地化され、都内の地価が暴落するリスクがある。

◆都下の八王子市、町田市、立川市、23区の練馬区と世田谷区は、「2022年問題」による地価変動リスクが高い。

◆地価変動リスクが高いエリアの物件を所有している人が売却を考えているのであれば、早めに売却を検討する方がいい。

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森田聡子(もりた・さとこ)
日経BP社 経営メディア企画編集センタープロデューサー

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。地方新聞社などで勤務した後に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。金融やライフスタイルを中心に、取材・執筆・編集活動を行う。『日経おとなのOFF』編集長、『日経ビジネス』副編集長、『日経マナー』編集委員などを経て現職。ファイナンシャル・プランナー。

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(日経BP社 経営メディア企画編集センタープロデューサー 森田 聡子 写真=iStock.com)

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