【コンセッション方式を導入しようとした自治体も断念】
現在の法律の下でコンセッション方式を導入しようとした地方自治体もあります。しかし、それぞれの地方議会で審議の結果、導入には至りませんでした。
運営会社が経営破たんした場合、すぐに代わりとなる会社はないこと、全職員が転籍するため、運営ノウハウが自治体に残らず公営に戻せないこと、現時点でも赤字であるのにこの方式で経営が安定化するか不明なこと、長期契約のため、自治体はノウハウを失い、運営会社に問題があっても迅速な対応ができないこと、民間の運営会社に任せた場合の料金値上げや水質低下が心配であること、といった具体的な意見が反映された結果導入見送りとなったのです。
【他の国は「再公営化」】
他の国においては、民営化したりコンセッション方式を導入した水道事業を再び公営に戻す事例が近年増加しています。今回の国会審議では、こうした最新の事例が全く考慮されていないことも残念ながら明らかになりました。十分な他国事例の調査もなく、多くの水道事業者が不要と考えるコンセッション方式を推し進める意味はどこにあるのか。
【水道にコンセッション方式は合わない】
コンセッション方式を導入すれば民間の効率的経営が必ず導入できるというのは思いこみに過ぎません。空港のように、観光客が増えて乗降客が増加する中であれば民間事業者の活用も可能性があるでしょう。代わりの事業者も見つけやすいとも考えられます。しかし、人口減少という社会の構造上の問題を我が国は抱えています。水の需要も減っていきます。
「水道でコンセッション方式」はうまくいく状況にありません。
利益が見込める人口集中地域に限られるか、料金を値上げするか、海外の巨大水メジャー企業に
乗っ取られてしまうかというのが予測できる未来の水道の姿です。
我が国が築き上げてきた世界に誇る水道事業が世界に売り飛ばされるに等しい扱いとなってしまうのです。
そんな状況を招くこの法律案は認められません。
【いのちと生活を支える基盤を守るために】
いのちと生活の基盤を守るために、水道の公営は維持すべきです。同時に水道の老朽化対策も待ったなしの課題となっています。
広域的運営の推進などによって水道事業の経営基盤を少しでも強化しながら特に地方の水道の老朽化対策に知恵を出していきたいと思います。