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消費増税前の駆け込み購入は、本当にトクなのか?長い目で考えてわかること



来年10月から消費税が、8%から10%に引きあげられる予定です。そこで今回は、事前にどのような準備をしておけばよいのかについて考えてみたいと思います。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

2019年10月に行われる予定の消費増税に思うこと


値上がりする前に予告されているのと同じ?

この消費税の引き上げは、天候不良により生鮮食品が急騰するのではなく、事前に2%値上がりしますよと予告されているともいえます。

ならば値が上がる前に、生活に必要なものを買っておこう、機会があれば買おうかと思っていたものをこの際だから買ってしまおう、とお考えの方もみえるかもしれません。

しかし、安倍晋三首相は10月15日の臨時閣議で、2019年10月に消費税率を予定通り8%から10%へ引き上げると表明した時に、

「あらゆる政策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応する」

とも述べて、駆け込み需要と反動減を抑えるための経済対策をまとめるよう関係閣僚に指示したとのことです。

中小小売店での商品購入時に、クレジットカードなどキャッシュレス決済を使った消費者にポイントを還元する。

自動車などの大型耐久消費財の購入者の負担を減らすような税制を講じるなど、それにともなった具体案がここのところ報道されてもいます。

消費税は引き上げるが、値上げ分の2%が家計の負担にならない様な対応をしていただけるようではあります。

2%の増税は家計支出にどのくらいの負担があるのか

では、家計支出に2%の増税はどのくらいの負担になるのでしょう。

具体的に計算してみましょう。

1万円の物を買う時は、現在800円の消費税がかかっているので、10%になると1000円の消費税の負担になります。

つまり1万円の物を買う時は、200円の負担が増えることになります。

同じようにみていくと

10万円では2,000円
20万円では4,000円
30万円では6,000円

生活費が毎月30万円の家庭では、毎月6,000円支出が増えることになります。

1年にすると、6,000円×12カ月=7万2,000円

7万2,000円支出が増えます。

また、10%の消費税率が10年続いて生活費も30万円のままであれば、

7万2,000円×10年=72万円

72万円支出が増えることになります。

高額な住宅などを購入する時はどうなる

住宅などの高額なものの購入を検討している場合、建物が2,000万円の物件の購入を検討すると、住宅を購入する時には消費税は土地にはかからず建物にかかります。

消費税は、8%では160万円で、10%になると200万円に、その差は40万円です。

確かに、負担額は増えます。

消費税が上がった後に新居に新品の電化製品などを購入すれば、2%購入価格が高くなるでしょう。

また、現在、10年間の住宅ローン減税を10年以上何年か延長する案もあるようです。

年利1.0%の固定ローンで3,000万円の融資を受け、毎月8万4,868円ずつ35年間返済した場合、最初の年の年末残債額は2,900万円台です。住宅ローン減税では、住宅ローンの残債の1%が所得税からひかれますので、29万円台の節税することができるでしょう。

このまま返済を続けて行けば、5年目の残債は2,600万円台になりますので、住宅ローン減税の対象額は26万円台に、10年目の残債では2,200万円台になりますので、住宅ローン減税の対象額は22万円台になるでしょう。

つまり、住宅ローン減税の期間が現在の10年から延びれば、所得税が減税される期間も延びます

もし、現行の制度のままで15年間に延長された場合、15年目の残債は1,800万円台になりますので、住宅ローン減税の対象額は18万円台になるでしょう。

ただ、一般的に考えてみて、返済15年目のこの時期にと、毎年の所得税額の納付額が18万円より少ないと所得額から逆算して、所得税額が納付額の満額の収入では毎月の住宅ローンの返済も難しく、また生活すら出来ないと思います。従って、減税分を除いた所得税の負担はあるでしょう。

このように考えてみると、確かに消費税が8%の間に購入した方が、購入費の2%アップ分、家計に負担はかからないようです。

長期的にみるようにする

短期間に消費する物であれば、消費税が上がる前に買いだめをすれば、その分、家計からの支出は減るかもしれません。

住宅ローン控除が延長されるのであれば、制度を活かしていくことは大切です。

しかし延長する分に、例えば「高度な居住性」など住宅性能に条件がついたりするのであれば、かえって割高な住宅を購入しなくてはならなくなってしまうかもしれません。

また、住宅購入といった高価で、長期間住む、言い換えれば長期間使うものについては、上記では2,000万円の住宅でしたが、よく吟味をするために来年の10月を越えて(契約を来年3月までにすれば、引き渡しが10月以降でも8%の制度も処置も実施されるようです)、契約をしても、長い目で見ればたとえ40万円は余分にかかっても、それ以上の価値のある住宅が購入できるでしょう。

つまり、短期的には増税に伴う優遇制度が実施されるようで、利用できるところは使っていけばよいのですが、長期的に使う高価な買い物は、購入後2%以上の価値を考えて買い急ぐことはないのです。

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