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武田薬局のシャイアー買収は決定するか?製薬企業が積極買収に挑む理由


武田薬品工業がアイルランドの大手製薬企業シャイアーを買収する話で、創業家が反対を表明。この話で浮き彫りになるのは、会社は誰のものかという側面です。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

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武田薬品7兆円買収が示す「会社は誰のもの」?


武田薬品工業、7兆円でシャイアー買収へ

武田薬品工業がアイルランドの大手製薬企業、シャイアーを7兆円で買収することで話が進んでいます。

あす12月5日の臨時株主総会でこの買収が決まろうとしていますが、武田創業家は借り入れの規模が大きすぎるとして反対を表明しています。会社のこの先を案じているのでしょう。

この買収は、武田薬品が7兆円でシャイアーを事実上、対等に「吸収する」パターン。買収完了後には、規模で世界10位以内に入ることになります。

世界の製薬業界はロシュ(スイス)や、ファイザー(米国)、ノバルティス(スイス)、メルク(米国)など巨大企業が「君臨」しています。

日本で存在感がある武田薬品も、世界では10位以内にはまったく届かない規模でした。

新薬の開発に伴う研究開発費が巨額になってきているため、規模が大きくないと厳しい状態になってきているわけです。

武田薬品工業のトップは、GSK出身のウェバー氏

武田薬品のCEOは、グラクソ・スミスクライン(GSK)出身のクリストフ・ウェーバー氏です。GSKは、英国の製薬大手で世界のトップ10に入っています。

武田薬品はトップが外国人で、見た目以上に国際化が進んでいるのです。

そして、今回の買収の相手のシャイアーはアイルランドの企業ですが、もとは1986年に設立された英国のベンチャー企業です。希少疾患のいわゆるニッチ市場で次々と関連企業を買収し、大きくなってきました。現在は規模で、武田とほぼ同じです。

シャイアーは2016年に米国のバクスアルタを買収して規模が大きくなり、現在に至っています。

GSK出身のウェーバー社長にすれば、シャイアーは英国にゆかりのある企業であり、大きな失敗は考えにくいのでしょう。

製薬企業の買収の必然性は?

なぜ製薬企業がどんどん買収するかですが、これは新薬の開発と絡んでいます。

つまり新薬がヒットすれば巨大な収益が上がり、それが特許切れになると収益が一挙にダウン。開発期間は10年ほどもかかるのが普通で、次々と次の新薬がなければ経営が悪化します。

それで、次が上手く開発できていない時は企業を買収して丸ごと次の新薬を手に入れる、というわけです。

これを「パイプライン」と言っていて、次々と何が出てくるかが重要というわけです。

日本的な感覚では、「ベルトコンベア」のようなイメージですね。

武田薬品の場合、今回のチャンスを逃せばこうした新薬を豊富に手に入れることは難しくなります。ですから、ウェーバーCEOは勝負に出たわけです。

武田創業家の心配もわかる…

武田創業家が心配するのもよくわかります。しかし、武田薬品工業はグローバル企業と化していて、もう後戻りはできないのです(=武田創業家の、持ち株比率は小さい)。

こうした側面をみますと、会社は誰のものなのか?という点が、非常に微妙になってきていることがわかります。

このシャイアーも、米国のバクスアルタを買収して中身はアメリカの部分が大きくなっています。今回、武田薬品がさらにシャイアーを買収すると、名前は「武田」でも、中身は多国籍ということになります。

これは中々、悩ましい側面も含んでいると言えるでしょうね。

これで、いいのかもしれませんが。

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