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プロ経営者を雇う難しさ 経営再建したら辞めるのが正しい姿

孫正義氏は1億3700万円(AFP=時事)

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 2017年度(2017年4月期~2018年3月期決算)の有価証券報告書を基に東京商工リサーチが行なった最新の集計によると、1億円以上の役員報酬を得ていたのは704人。前年度と比べ、「1億円超プレーヤー」は、98人も激増した。

“超高給取り”のトップ100を表にまとめたところ、そこには、カリスマ経営者や名物社長の顔ぶれが並んだ。

 堂々のトップは、ソニーの平井一夫・会長(57)。今年4月に社長を退任したことに伴う退職金が11億8000万円含まれているが、それを除いても約15億円の報酬を得ている。

 平井氏に続くのは、海外から招聘された“外国人プロ経営者”たち。特にソフトバンクグループは、ロナルド・フィッシャー副会長(71)、マルセロ・クラウレ副社長(47)、ラジーブ・ミスラ副社長(69)の3人合わせて46億3100万円。同社はトップ100に5人、全体で6人の「1億円超プレーヤー」が名を連ねるが、唯一100位圏外(402位)なのが孫正義・会長兼社長(61)で1億3700万円だった。

 逮捕劇に揺れる日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)は、8年間で計80億円もの過少記載を行なった疑いが浮上している。ただ、昨年度の有報に記載された分だけでゴーン容疑者の報酬は7億3500万円(18位)にのぼる。

 日産はゴーン容疑者と、37位の西川廣人・社長(65)の2人がランクイン。同社では1億超えもこの2人のみだ。会見でゴーン容疑者の不正疑惑を詳らかにした西川社長の報酬は4億9900万円だった。

 ランキングを分析すると、企業トップは3種類に分けられることがわかる。1つ目は、平井氏や西川氏のように、長年その会社に属し、出世を重ねてきた「叩き上げ」タイプだ。

 国際基督教大学卒業後にCBS・ソニー(後のソニー・ミュージックエンタテインメント)に入社した平井氏は、北米でのゲーム機発売の業務に従事したこともある。西川氏も東京大学卒業後に日産に入社し、原材料や部品を調達する部署でキャリアを積み、それぞれ出世の階段をあがった。

 2つ目は、外部から招聘される「プロ経営者」。様々な会社で経営を担った経験があり、不振に陥る会社の再建を託される場合もある。まさにゴーン氏のような存在だ。

 そして3つ目が、孫氏や豊田章男・トヨタ自動車社長(62)のように、会社を立ち上げたり、創業一族であったりするケースだ。

 日産では、ゴーン容疑者と、同時に逮捕されたグレッグ・ケリー容疑者(62)を含め、9人の取締役がいた。西川氏ら叩き上げが3人に対し、仏ルノーからのプロ経営者はゴーン氏含め2人。北米日産出身ながら、ケリー容疑者はゴーン容疑者の右腕を担っていた。残り3人は、社外取締役という構成だ。

“異分子”は複雑な感情を抱かれやすい

 旧第一勧銀で支店長まで務め、2010年に経営破綻した旧日本振興銀行で「プロ経営者」の社長として破綻処理に当たった経験を持つ作家の江上剛氏は、複雑さを増す取締役の人員構成の難しさをこう指摘する。

「前提として、経営をリードし、幹部の人選にも権限を持つ“代表取締役”という肩書きのトップの力は圧倒的です。それは、叩き上げでもプロ経営者であっても、創業者であっても変わりません。

 ただ、プロ経営者が外部からの“異分子”である実態は否定できません。しがらみがないので、大胆な改革やリストラといった決断も容易です。得てしてマスコミにもて囃されがちなので、叩き上げ組からは、複雑な感情を抱かれやすい」

 豪腕で日産を復活させたゴーン容疑者は、早々に役割を終え、次の“戦地”に向かうべきだったのかもしれない。

「プロ経営者は短期で会社の経営を立て直したり、伸ばしたりした後は、さっさと辞めるというのが正しい姿といえます。ゴーン氏は日産に長く居過ぎたんでしょう。

 また、特に外国人のプロ経営者は報酬をグローバルスタンダードに合わせたがる。結果と責任が直結している以上、報酬にこだわるのは仕方ないことですが、社内外にマイナスの印象を与えてしまうこともある」(同前)

 ゴーン容疑者は、日産に加え、三菱自動車とルノーからも報酬を受け取っていた。総額は19億円ほどになる。

※週刊ポスト2018年12月14日号

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