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仏、留学生受け入れ拡大戦略

パリ第2パンテオン・アサス大学 出典:大学ホームページ

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・仏が外国人留学生増大計画発表。自国に理解ある人材拡散に期待。

・裕福な留学生の学費を増やし、学費免除や奨学金拡充で門戸拡大。

日本と世界を繋ぐ人材育成に日本も危機感持ち注力する必要あり。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43080でお読みください。】

フランスで、エドゥアール・フィリップ首相により、高等教育への外国人留学生数を2027年までに現在の約32万人から50万人へ大幅に増加させる計画が発表されました。フランスにくる外国人留学生数は2011年から2016年の間に8.5%減少し、その結果、世界のランキングが3位から4位へ転落しています。

そこでこれ以上の後退をなんとか避けるための積極的な改革である「ようこそフランスへ」と名付けた戦略をうちだし、「国際競争の勝利」を呼びかけたのです。フランスへの留学生を積極的に呼び込む目的は、海外の優秀な人材を引きつけ、フランスに関連ある人材を増やすことに他なりません。

▲写真 エドゥアール・フィリップ首相 出典:エドゥアール・フィリップ首相facebook

多くの外国人留学生がフランスで学び、フランスの事を知ることは、その後帰国した彼らがフランスの「大使」の役割を果たす上、フランスを媒介したネットワークを産むことにつながります。また、フランスをはじめとする欧米では、特にコネクションが重要な役割を果たしており、何かあった時に情報を聞けたり、発信してくれる存在は非常に重要で、複数国とつながっていることは多くのことで有利に働きます。そのためにもフランスは長年、多くの留学生を受け入れ、世界にフランスを理解している人物を増やし、ネットワークが広がることに努力し続けてきました。

2013年には、フランスにおける教育はフランス語でなければいけないとする規定を緩和するフィオラゾ法を通し、より多くの留学生がフランスに来やすくなるようにフランス国内でも英語で授業を受けられる環境も整えました。特にグランドゼコールでは1300の英語のコースが開設されました。

今回の改革では、海外でのフランスのキャンパスの開設やビザ取得の容易化、英語の使用コースをさらに増加させる予定とし、大学の質の向上、留学生のための奨学金および免除プログラムを強化することも計画。その財源としてEU外からの外国人の学費負担は増やすとしています。

しかしながら、外国人の留学生を増やす計画には問題ないとしても、この学費負担の増加は、国内外から反対の声があがっています。フランスの学生組合も「フランスの高等教育の扉を閉めるだろう」と非難し、フランス大使館議長は、「このフランスの制度が必ずしも良いイメージを与えるわけではない」との見解を示しました。

現在フランスの学費(年間)は、学士で170ユーロ、修士243ユーロ、博士が380ユーロとなっていますが、この計画が実施されれば、EU以外の外国人が留学で入学する場合は、学士で2770ユーロ 修士・博士で3770ユーロ払わなければならなくなるのです。

この点に関しては、フィリップ首相は、学費値上げの趣旨をこう説明しています。

ほとんど無料だからフランスの大学に来るのではなく、素晴らしい大学だからこそ、本当に選択し、希望して来るよう改革したい。そのためにも受け入れ側の質を向上させることは必須であり、フランスに来る裕福な留学生が、フランスの低所得の家庭の学生と同じ金額しか支払わない不公平さも是正したい。 

確かに一見、学費の増額は、海外からの留学生を足踏みさせるような政策と感じますが、裕福層の外国人にとってはそれほど高額な学費ではないことも事実でしょう。しかも、学費を負担することになったと言っても全額ではありません。この金額は必要経費の3分の1にしかすぎず、残りの3分の2はフランス側が負担することには変わりはないのです。

また裕福な留学生から学費を受け取るのと並行して、経済的に余裕がない学生に対する奨学金や免除の対象者数を3倍にするとし、これにより外国人の4人に1人が奨学金か免除の対象になる計画であり、低所得者の門戸を狭めることなく受け入れ人数の増加も実現できるとしています。(参照:フランス国民教育・高等教育・研究省

フランスはヨーロッパの中心にある、世界第6位の経済大国であり、この発展を継続するために、留学生が多くやってくることを望み行われる改革なのです。

留学生が果たす役割とは何かということを、わかりやすい例をあげるとすれば、フランスに留学したことがある元東京都知事の舛添要一氏ではないでしょうか。1970年代に行ったフランスでの留学時代のお話しを今現在もことあることに日本で披露されており、フランスに関するニュースについて頻繁に解説を行っています。まさに、フランスの事を知った元留学生がフランス国の代わりに説明すると共に、フランスと日本をつなげる存在となっているのです。

▲写真 舛添要一氏 出典:東京都庁ホームページ

こういった事例からも、多くの国から留学生を迎えることの重要性が分かると思いますが、この視点で日本の留学生の状況はどうなのかと見てみると、留学生数は年々伸びているものの、その出身地域の構成が93.3%がアジアであり、受け入れている地域に大きなかたよりがあることが気になりました。(参照:独立行政法人・日本学生支援機構

それでは、反対に日本人が海外に行く留学数はと言うと、2004年をピークに減少している現状(※参照)。それだけではなく、日本の論文数が減少し、3位だった順位が6位に転落したと言う話題も上っていたのは記憶に新しいところではないでしょうか(参照:エナゴ学術英語アカデミー)。これでは、世界にネットワークを広げているどころか、日本の世界への発信範囲がどんどん狭まってきていると言っても過言ではないでしょう。

長年の不景気の中で難しい状況が続いている事も大きな影響を与えていることは明白です。ですが、少ない資金でも知恵を使い、もっと世界に食い込んでいくことは重要なことであり、それにはフランスと同様に戦略が必要なのです。日本はアジアの中心にこそ位置していませんが、第3位の経済大国であり、今後もできる限り維持したいところ。そのためには日本と世界とつながりを持つ人材を育てることにも、危機感をもって注力していく必要があるのは間違いないのです。

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