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外国人材法案、衆議院で与党が強行採決 問題山積 ひどい状況になるのは目に見えている

外国人を労働力として使い捨てるための法案、「外国人材」法案が衆議院でろくに審議もしていないのに与党が強行採決してしまいました。

 野党のみならず、マスコミなどからも当然といえば当然すぎる疑問点が指摘されていながら、詳細は省令に白紙委任する形で法案をごり押しているのです。

 昨日、NHKの討論番組でしたが、すべて聞けたわけではないのですが、非常に参考になりました。

 多くの問題が山積です。

 外国人労働者を受け入れるというのであれば、日本国民と同等にしなければなりません。この同等とは、同じ環境にするという意味で外国人であれば、日本語の習得のための補助のみならず、その子に対する母国語での教育の保障です。社会保障も同様に処遇されなければなりません。

問題点山積 日本国民の雇用に影響? 就業状況を見て調整では外国人労働者は雇用の調整弁 韓国の徴用工問題と根は同じ

 今回の法案での特徴は、外国人労働者に転職の自由を認めたことです。

 技能実習生には転職の自由がなく、それが劣悪な労働環境での奴隷労働を強いてきたことを考えれば、当然の内容です。

「中絶か強制帰国、どちらか選べ」妊娠の実習生は逃げた」(朝日新聞2018年12月1日)
「西日本のある研修施設の規則には「異性との恋愛行為は一切禁止」「外出は2人以上の行動とし、単独行動はこれを一切禁止する」とあり、実習生に署名させている。「男性と女性はお互いの部屋を行き来しないこと」とも書かれている。研修施設での順守事項だが「企業実習に於(お)いてもほぼ同様の規則となるので今から三年間は気を緩めず厳守すること」とある。」
 よくもこれだけ非人道的なことができたものです。一体、いつの時代なんだと思ってしまいます。外国人労働者を物扱いしかしていないということの表れですが、問題なのは、こうした違法状態が野放しにされているということです。技能実習生を受け入れながら日本政府は全く責任を果たそうとはしていないという点です。

 今後は入国管理庁を法務省に設置するということですが、これでは入国管理だけが所管であって、これではその後の労働条件の監督については技能実習生と同様、野放しになることが目に見えています。
 NHKの討論番組でどなたが発言されたのかはわかりませんでしたが、外国人労働者に起きる問題はそのまま日本人でも起きている問題なのだから、企業の労働環境の問題であったり、都市、地方の格差の問題にすぎない、外国人受け入れの制度の中で何とかする問題ではないという指摘があり、なるほどと思いました。

 転職の自由を認めれば賃金の高い都市部に流れていくのも日本人と同じで労働環境が良い方に流れていくのは当たり前です。

 劣悪な労働環境に縛り付ける手段が転職禁止の技能実習生だったのですから、こうした手法が使えないのは当たり前の話です。これまで技能実習生によって成り立っていたところでは立ち行かなくなるでしょうが、日本人は自由に都市部に行き、外国人労働者を地方に縛り付けるなどということ自体がやってはならないことです。

 外国人労働者に社会保険を適用すれば悪用されるという「懸念」にも、日本人だって悪用しており、それは悪用の対策の問題に過ぎないという指摘もなるほどでした。

 現在、日本のブラック企業の労働環境も労働行政からは放置されたままです。全く足りない労働基準監督官を社会保険労務士という民間に丸投げしようなどという構想もあるくらい、この分野は今でさえ放置状態です。そこへ4万人もの外国人が日本で働く場合、行政が手が回らないのは明らかであり、これでは外国人労働者を受け入れる資格はありません。

 ところでどなながこの法案について反対というだけでなくて、どういう制度にしたらいいかという観点から議論してもらいたいという趣旨の発言がありました。与党側の立場でしょうか。しかし、実際には国会でも多くの疑問が指摘されながらも何らまともに答えようともせず、強行採決に踏み切ったのは与党側です。それもすべては安倍内閣がほとんど白紙状態で提案してきたことに原因があります。

 そもそも企業のニーズに合わせようとすれば、労働環境は劣悪になります。

 安倍政権は日本人労働者に対しても残業代ゼロ法によって労働環境を切り下げることを認める法案をごり押しした実績があり、そこで一貫しているのは企業のための改革でしかないということです。そこには労働者を守るという姿勢は皆無です。

労働者のための行政こそ実現されなければならない

ブローカー問題もしかりです。相手国の状況はわからいは済みません。
 
このまま外国人労働者を受け入れたら、さらに多くの被害を生み出します。こうした議論や批判に耳を傾けることなく、採決を強行した自民党、公明党のやっていることは国会軽視、議会制民主主義の否定にほかなりません。

 この自民党(下村博文氏)が憲法改正だ、憲法審の議論に参加しないのは職務放棄だなどと言って野党を冒涜していますが、筋違いであるというだけでなく、自民党が国会をどのように考えているのか、私物化を如実に示しています。

 外国人材法案の理念や理想ばかりが強調されることがありますが、決して欺されてはいけません。結局、その理念や理想を担保する制度はないし、安倍政権がそのために予算を使うことはないからです。

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