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入管法改正案

 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法(入管法)改正案が、11月27日、自民や公明などの賛成多数で可決、衆院を通過しました。今国会の最重要法案が、拙速かつ強引に採決されてしまいました。残念至極です。

 深刻な人手不足を解決し活力ある日本社会を実現するために、一定の外国人労働者を受け入れることの必要性は多くの人が理解を示しています。従って、本来は、与野党が尖鋭的に対立するテーマではありません。

 一方、外国人受け入れは単なる在留資格の問題にとどまらず、わが国の経済、社会、雇用、文化などにも関わり、ひいてはこの国がどうあるべきかという国柄にもつながります。だから、国民的議論を尽くし、丁寧に合意形成を図るべきでした。

 しかし、来年4月施行ありきで急ごしらえでつくった法案であるため、中身がすかすかでした。外国人労働者受け入れ拡大の制度設計の具体は、法案成立後に政府が決めるという立て付けになっています。その結果、野党議員が制度の根幹や本質に触れる質問をしても、法務大臣をはじめ政府は「検討中」という答弁を連発しました。

 政府は農業や建設業など14業種で、5年間に最大34万5千人の受け入れ見込みを公表しました。しかし、受け入れ業種と人数は、法案成立後に定める分野別運用方針で決定し、法務省令で最終決定することになっています。即ち、業種は増えるかもしれませんし、受け入れ人数の上限も流動的です。少なくても、法案段階では青天井です。

 現行の技能実習制度を巡っては、残業代の未払いや最低賃金割れ、長時間労働やハラスメントなど、深刻な問題が浮き彫りになってきました。その実態把握と徹底的な検証は、審議の核心でした。しかし、法務省による失踪した技能実習生への調査結果に、重大な誤りが数多くあることが発覚しました。この誤った調査を基に、法務大臣は度々誤った答弁を行いました。

 外国人労働者の賃金水準や悪質なブローカーの締め出し等のトラブル防止策についても、法案成立後に法務省令で決定することになっています。技能実習制度の実態を把握せずに解決策を見いだせるでしょうか。

 外国人労働者の社会保障や生活支援などの受け入れ態勢づくりも、どんな日本語教育を行っていくかについても、法案成立後に決定されることになっています。要は、中身のない「空っぽ法案」で国会審議を形骸化し、実質は後から政府が決める「白紙委任法案」なのでした。

 加えて、総理が11月29日にG20へ出発するまでに参院で審議入りし、12月10日の会期末までに法案を成立させる日程ありきの国会運営でした。生煮えどころか、煮込む素材が出そろう前の衆院における採決と言わざるをえません。

 人間を国家が受け入れるということは、バナナやパイナップルの輸入とは次元が違います。ひとたび門戸を開いたら、簡単に閉じることはできません。取り返しのつかないことにならぬよう、しっかりとした制度設計を政府が提案し、国会が熟議するのが筋です。

 安倍総理は国を開くという国家百年の計ともいうべき展望と覚悟が完全に欠落しています。

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