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55年ぶりの大阪万博

 去る11月23日、博覧会国際事務局(BIE)のあるパリで、日本のデレゲーションに歓喜の声が湧き上がった。55年ぶりの大阪・関西万博が決まった瞬間である。5年前の東京オリ・パラ決定ほどの派手さはないものの、じわじわと喜びが高まってくる。官民挙げての誘致活動に、iPS細胞の山中伸弥教授までが加わった組織的な活動が功を奏したようだ。

 旧ソ連だったアゼルバイジャンの首都バクーと、ロシア・ウラル地方の中心都市であるエカテリンブルクを抑えての、堂々たる当選である。現場から帰国した大阪選出の同僚議員に聞くと、たとえ1回目でトップになっても、決選投票ではロシアチームに2、3位連合をやられてしまうのではと、戦々恐々だったようだ。結果は2、3位連合もなく、さらにクリミア半島でのロシアの強硬姿勢に、多くの国が嫌気を指していたことも、勝利に影響したようだ。

 48年前の大阪万博の頃、私は高校2年で受験勉強に没頭する中だったが、夏休み中に3日間通ったことを思い出す。期間中6400万人超が入場したというが、とにかく暑く、どこに行っても長蛇の列だった。しかしアメリカ館の月の石には痛く感動し、日本の大手メーカーが最先端の技術で凌ぎを削っていたことは、鮮明に覚えている。当時は夢だったリニアモーターカーや無線電話は、既に実現しているが、「自動人間洗濯機」はローテクにもかかわらず実現しなかった。

 当時の大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」は、当初村田英雄さんが歌ったが、のちに三波春夫さんのカバーの方が売れてしまい、今はその印象しか残っていない。「こんにちは」の連唱や「1970年」が歌詞に入り、当時は変な歌だなと思ったが、いつの間にか耳に馴染んでしまった。

 あの頃の日本は高度経済成長の真っ只中であり、一方で公害が多発していた時代である。環境庁が翌年の1971年にスタートしている。『人類の進歩と調和』のテーマはその当時の世相をよく反映していた。今回は『いのち輝く未来社会のデザイン』であり、高齢化や人口減少社会を迎え、先端医療やAI、IOTなどの新技術をどう活用して行くかを模索するテーマとなった。

 開催のための直接費用は1250億円と言われるが、鉄道新線建設などの周辺整備も含めると、数千億円に膨らむことは必至だ。また入場者見込み2800万人を想定するが、確保できるかどうかは未知数だ。心配は尽きないが、経済効果2兆円ともいわれる影響により、地盤沈下と言われ続けて来た関西の経済にインパクト与えることは間違いないだろう。また東京オリ・パラの後の景気の冷え込みにカンフル剤を打つ効果も期待出来る。

 関西財界の大御所だった松下幸之助翁の名言集に、「あんさん、ごちゃごちゃ言わんと、まずはやってみなはれ」というのがある。社員が新しいアイデア商品を持ち込んだ時、翁が必ず口にした言葉だという。折角35億円の招致費用を費やして獲得した万博だから、「やってみなはれ」の精神で力強く前進してほしい。

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