記事

「私の考え」―日本財団について―

1/2
2018年10月1日は日本財団の創立56回目の記念日です。特別な行事はございませんが、この機会に職員が集まり、私の日本財団に対する思いを即興で語らせていただきました。

乞うご批判!!

**************

 私は創立記念日自体にはあまり意義は感じておらず、未来志向で仕事をしていかなければと思っています。このような組織ができたのは多くの先人たちの努力の賜物です。興味のある人は、書籍や資料を読んでみてください。

 皆さん自身、自覚を持っているかわかりませんが、日本財団は、世界で唯一の組織です。世界中には日本財団よりも歴史の古い財団が数多くあります。それら財団には多くの資金があり、その資金を必要とする社会活動をしている方々に分配することが仕事です。

 しかし私は、25年ほど前に、日本の社会にない組織もつくらなければならないと考えました。当時は大変な批判を受けましたが、今はどうでしょうか。世界中の財団は、日本財団のように自らも仕事をする必要がある時代になっています。

 少子高齢化については今から30年も前に既にわかっていました。例えばなぜ笹川スポーツ財団をつくったかというと、競技スポーツ一辺倒のスポーツ界の中で、少子高齢化を迎えるにあたって、老人の健康のために生涯スポーツが重要だと考えたからです。

 地方自治体はそれぞれ国家から7割の補助を受けて成り立っています。地方は7割も国からお金を受けておきながら、それでもなお、無い無い尽くしで、疲弊しています。このような状態になっていることについても皆さん方に考えていただきたいです。

 財団というのは大体どこに行っても皆50歳以上の人たちが集まっています。世界で最も若い人たちが働いてる財団は日本財団です。皆さん方は、助成を申請される人への対応と同時に、色々な社会課題を見つけ出し、解決するために自らも汗をかいています。また、人様からお預かりしたお金を扱っているという強い責任感を持ち、経理と総務が中核となってしっかりと管理をして、裏から支えてくれています。そして、監査部が仕事をした後の監査をしてくれます。そこまで徹底した組織というのは世界で日本財団だけです。世界のトップランナーの財団として走っているのです。

 皆さんには、このことを誇りに思い、そのような組織がこれからどのように変わっていかなければいけないのかを考えてほしいと思います。私は常に皆さん方に、未来志向で変化、変化、また変化してもらいたいと考えています。世の中の変化に対応していかないと、頭が良くても生き残れないし、強い組織であっても、いずれ滅びていきます。人であれ組織であれ、社会の変化に対応したもの以外は残れないということを常々申し上げておりますから、私たちは組織を変えることをちっとも恐れる必要はありません。組織あっての人ではなく、人の働きやすい組織にしたいのです。

 我々は自由闊達に、それぞれの人の才能を十分に生かすような、風通しのいい柔軟な組織にしたいという思いから、オフィスや人事のあり方も変えています。決してすべてが良いとは思っていませんが、考えられる最善を尽くす姿勢を皆さん方に見てもらいたいと思っています。

 皆、今まで習い性となってたことを続けることが一番やりやすく、変化は好みません。しかし、それでは組織の存在意義がありませんから、私たちはあらゆることにチャレンジをしようではありませんか。

 何遍も申し上げていますように、リスクは私がとります。ですから、無謀なことはだめですが、遠慮なく大胆に、よく議論をし練り上げ、そして、上司に報告・連絡・相談をするという、そういう前提に立った上で、自由で闊達な組織でなければいけないと思います。

 そういう中で、今や戦後73年になりますが、私たちは戦争に敗れた結果、日本の伝統・文化を忘れて、新しい民主主義という名のもとに、民主主義を少し履き違えして権利の主張ばかりを繰り返してきて、今日にあります。国民の権利の主張に応ずることが政治家の役割であり、当選するためには、国民の願いをかなえることが良いことだという結論の結果が1,100兆円の国の借金となったわけです。それで本当に良いのでしょうか。

私たちは、民主主義の、自由・平等・基本的人権を学生時代に学びました。権利の裏には義務があるということも習ったはずですが、国民として一体どのような義務を果たせるのかということについては、私たち個人で考えてきませんでした。

 しかし、ここにきて、本当に政府や行政だけに任せていいのか、私たち自身が社会のためにも仕事をしなくてはいけないのではないかということで、NPOが生まれ、そして、社会的な活動をする人たちが生まれてきたわけです。今やこのような成熟した民主主義の日本においては、社会課題というものが益々細分化されていますから、政府や行政だけでは対応できない時代になってきています。

 そうは言うものの、日本に今5万とも言われるNPO、あるいは6万とも言われる一般法人が、どれだけ信頼を得てきちんと仕事をしているかと言われれば、1割あるかないかという状況ですから、ここに、社会も変わろうとしている中で矛盾があるわけです。マッチングがうまくいっていないんです。そこに、日本財団は存在価値があるわけですし、これから日本財団の目指すのは、ソーシャルイノベーションからソーシャルチェンジを生み出すことだと考えています。

 戦後73年の社会の仕組みの中で、様々な課題が生まれてきています。犯罪被害者、犯罪者の再チャレンジの問題、また、子どもの貧困、自殺対策、難病の子どもたちへの支援とその家族へのレスパイトの施設の支援など、すでに取り組んでいただいているものもあります。今、ソーシャルイノベーションという言葉で表現していますが、これからはソーシャルチェンジ、社会を変えていくためのリーダーシップを日本財団が発揮していきたい、そして、それができる職員がここに揃っていると私は思っています。

 私は日本財団という方法という言葉で何遍も皆さんにお話をしていますが、皆さん方の長い実績によって、今やどこの役所に行っても、日本財団と言うと一目を置いてくださいます。再犯防止については、歴代の法務大臣も財団に関心を寄せてくださっています。そして、社会課題をここで提起して、政治家、行政の専門家、学者、そしてメディア、あるいは、その道を極め活動しているNPOの皆さんなどに集まっていただき、問題点をたたいてもらって、ある程度の道筋がついたら日本財団がそれを実行するというわけです。そして、成功のモデルケースをつくることによって、行政が正しく効果的に、その問題の処理に当たっていくと、そういう問題提起とトップランナーとしての成功例をつくっていくというのが私たちの役目です。日本全国、全ての問題を日本財団が解決できる訳もないですが、確かな成功例をつくることによって、国土交通省は当然のこと、外務省、環境省、厚生労働省、文科省を含め、色々な役所が既に日本財団のやり方というものに注目をしてくれてますし、それだけでなく、国家の貴重なお金まで任せていただける立場になってきました。

 だからといって、私たちは政治家や行政の、お役所の皆さんに魂を売るようなことを決してしてはいけません。私たちの目指す方向に自信を持って進める協力者としての政府であり、国会議員であり、行政官であり、NPOの皆さんであって、私たちは毅然とするべきです。しかし、私たちは同時に、腰を低くして、人の話をよく聞き届ける心も持つ必要があります。

 私たちは決して傲慢な態度ではないですが、日本財団は資金を持ってるから傲慢だと受け取られることがかつてありました。羊羹を欲しい人が10人いれば、10人に薄く切ってあげれば、皆満足して、「日本財団って良い組織だな」と言ってくださいます。ところが、日本財団は10等分しないで、今社会に何が必要かということで、3等分しかしなかった。羊羹にありつけない残りの7人の人は、「日本財団なんて偉そうなこと言ったって、私のこんな良い仕事にお金を出さなかった。あそこは恣意的にお金を扱っている組織だ」と、そのように思われた時代もあります。

あわせて読みたい

「日本社会」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「大規模会場予約 67% 空き」はお役所仕事の想像力欠如 ~ なぜ「高齢者」に拘り続けるのか

    近藤駿介

    06月14日 14:19

  2. 2

    オリジナルを常に超越してくる 愛すべきガーナの手描き映画ポスターの世界

    木下拓海

    06月14日 11:34

  3. 3

    歳を取ると「厄介な人」になりがちな理由

    内藤忍

    06月14日 10:57

  4. 4

    チュートリアル、友近…ギャラ100万円芸人がリストラ危機なワケ

    女性自身

    06月14日 12:27

  5. 5

    「ディズニーランドのついでに予約」女性向け風俗の利用者が爆増しているワケ

    PRESIDENT Online

    06月14日 15:30

  6. 6

    東大・京大も志願者減で止まらぬ「国公立離れ」 その最大の要因は何か

    NEWSポストセブン

    06月14日 08:38

  7. 7

    LGBT、夫婦別姓…“憲法改正”は令和に必要か? 憲法学者「最高裁や国民がしっかりしないといけない」

    ABEMA TIMES

    06月14日 09:28

  8. 8

    私がDHC吉田会長の在日コリアンに関する妄想は相手にしなくていいと思う理由

    宇佐美典也

    06月14日 12:00

  9. 9

    東芝報告書で思い知った調査の破壊力の大きさ

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    06月14日 09:07

  10. 10

    小池百合子「女帝」の最後の切り札 五輪中止に動くタイミングはあるのか? - 石井 妙子

    文春オンライン

    06月14日 08:32

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。