記事

新たな法案

遺族承諾なしで解剖可能に 民自公、死因究明法案提出へ(2012.3.16 中国新聞)


 警察が取り扱う遺体の解剖率が1割程度にとどまり、犯罪による死亡を見逃す恐れが指摘されてきた死因究明制度を抜本的に改善するため、民主、自民、公明3党は15日、今国会に議員立法で関連2法案を提出する方針を固めた。

 犯罪による死亡かどうか分からず、現状では遺族の承諾を得なければ解剖できないケースでも、警察が法医学者らの意見を聞いて必要と判断すれば、承諾なしで解剖できるようにするのが柱。成立すれば死因究明の在り方を明文化した初の法律となる。

 当初病死と見誤った2007年の大相撲力士暴行死事件などを契機に、政府や関係省庁、与野党が死因究明制度の見直しに向け検討を進めてきたが、ようやく法案提出にこぎ着けた形だ。

 2法案は、基本理念や国の責務を明記した「死因究明推進法案」(推進法案)と、実務的な事項を定めた「警察などが取り扱う死体の死因・身元調査に関する法案」(死因調査法案)。

 死因調査法案は、警察に届け出があった遺体の死因調査を警察署長の義務と明記。解剖する際には、遺族が所在不明の場合などを除き、解剖の必要性を遺族側に説明することを求めた。

 解剖しない場合も、警察が医師に血液や尿の薬毒物検査やコンピューター断層撮影(CT)を依頼でき、簡易検査は警察官も実施可能とした。

 警察が解剖を委託する大学の法医学教室などの認定制度も新設。国家公安委員会と厚生労働省が定める基準に適合する教室を、都道府県が「解剖受託機関」と認める。将来的には死因究明専門機関を全国に整備、国が一元管理することを目指す。

 死因が感染症と判明した場合などは、警察が保健所など関係機関に通報し、公衆衛生にも役立てる。

 医療事故など診療に関連して死亡したケースを対象とした制度は2法案とは別に検討する。


監察医制度の全国展開は、法医学会が相当以前から待ち望んでいたことだ。しかし、監察医制度自体は、警察が犯罪性がないとして手放したものを扱うので、捜査がかなりいい加減になってしまうことや、目的があいまいなことから、自治体が予算を削ってくるなどしたから実際には全国展開は不可能であった。

このたび、監察医制度と同様に、法医学的知見を持つものの意見を参考にしつつ、承諾なしで解剖できることを制度化する新たな法案が成立目前とのことで、成立すれば、理論的には改良型監察医制度が全国展開できる可能性が高くなるだろう。

現在の日本の運営では、警察がいい加減な初動捜査によって犯罪性がないと判断してしまうと、その後は遺族に解剖する意志がなければ、火葬場で遺体を焼いてしまってい、貴重な証拠を隠滅してしまっている。誰だって、親しい方の亡骸を、自分の意志で切り刻みたい方などいないし、だからこそ、ほかの国では、死因究明に関する責任者の責任の下で、遺族あるいは国民の安全安心のために、必要な解剖を、遺族判断に任せずに実施することが法的に決められている。新たな法律が成立すれば、遺族のために解剖しないなどという、行政側の遺族に対する責任のなすりつけともいえるこれまでの言い訳が通用しなくなるので、運営は今までよりよくなり、犯罪や事故の見逃しや予防につながる可能性が高くなる。

しかし、その成否は、解剖やほかの検査を実施できる設備や人をどれだけ整備できるかどうかにかかっている。刑事訴訟法で規定される司法解剖でさえ、解剖が多く実施できさえしていたら、今のような運営にはなっていなかったと考えられる。今後は、一見犯罪性がないものの、死因がわかっておらず、犯罪や事故死の可能性が残されるものも解剖できるような法律ができるのだから、法医学的な機関の整備もしっかりできるような仕組みづくりを政府が責任を持って並行して実施しなければならない。そのためにも、誰がそうした整備について責任を持つのかを明文化した法律も必要だろう。

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    大坂なおみの聖火最終点火に感じた「逆方向の政治的なバイアス」

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

    07月25日 08:28

  2. 2

    ファクターX 新型コロナワクチン副反応が日本で少し強いのはこのため? 日本のファクトを!

    中村ゆきつぐ

    07月25日 10:34

  3. 3

    中田敦彦氏、出版社抜きで電子書籍Kindle出版!著者印税は7倍に!出版社スルー時代の契機になる

    かさこ

    07月25日 08:41

  4. 4

    7月24日(土)ムネオ日記

    鈴木宗男

    07月24日 17:20

  5. 5

    五輪開催を巡り立民と国民民主の立場に差異 国民の共感を得られぬ立民の主張

    早川忠孝

    07月24日 18:37

  6. 6

    バッハ会長“長過ぎスピーチ”で…テレビが映さなかった「たまらずゴロ寝」選手続々

    SmartFLASH

    07月24日 09:20

  7. 7

    五輪開会式 深夜の子ども出演が波紋…橋本聖子が4日前に任命

    女性自身

    07月25日 08:51

  8. 8

    東京都心部の不動産を物色する中国人 入国できなくてもリモート投資を続けるワケ

    NEWSポストセブン

    07月25日 09:04

  9. 9

    五輪開会式でNHKアナが台湾として紹介したことに波紋 中国国政メディアは抗議せず

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    07月25日 14:40

  10. 10

    退職金や老後資金を吸い上げる「ラップ口座」の実態

    内藤忍

    07月24日 11:33

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。