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節制する皇室 政府は身を正せ

秋篠宮殿下が53歳の誕生日を迎えるにあたって記者会見に臨んだ際、来年の皇位継承に伴う伝統儀式「大嘗祭(だいじょうさい)」の費用を、政府見解と異なり、公的予算ではなく天皇の生活費にあたる予算を用いるべきとのお考えを述べたそうだ。

秋篠宮さま きょう53歳に 大嘗祭めぐり政府決定と異なる意見(NHK)

その理由として「政教分離」を挙げられ、その点からの有識者の意見が述べられている。しかし、どれも私にとってピンと来なかったので私見を述べてみたい。

そもそも、なぜ皇族がこのように「節制」を心掛けられるのか。当然、現在の日本の危機的財政状況を念頭におかれている事は容易に想像できる。しかし、財政問題について言及する事は現政府に対して物申す事になり「政治的発言」となってしまう。

そこで議論になる事はわかった上で、皇位継承順位が第一位になる前のギリギリのタイミングで皇室と政府のハレーションが最小限となる形での意思表明をされたのではなかろうか。

すなわち、この発言は、政府の放漫財政に対するメッセージと捉えるべきであり、仮に皇室を敬う心があるのであれば、皇室までもが身を切る姿勢を示しておられる中で、本当に不必要な支出がないか、政府関係者や自治体関係者は、もう一度身を正してみるべきだろう(そして政府支出に群がるタックスイーター諸氏も一旦立ち止まってその姿勢を省みるべきだ)。

もっと言えば、秋篠宮殿下のお母上である美智子皇后陛下は「自由民権史観」について深い造詣をお持ちであるようで、それは平成25年の皇后陛下お誕生日に際した文書ご回答に現れている。以下抜粋する。

かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。(皇后陛下お誕生日に際し(平成25年)宮内庁ホームページより)

皇后陛下が言及されている「五日市憲法草案」等の私擬憲法は自由民権運動の一環として全国各地で起草されていた。

この自由民権運動が始まるきっかけを作った板垣退助が、明治憲法が施行された年(1890年)に政治結社設立に際して一つの宣言文を発表していた事はあまり知られていない。

この宣言文を読めば、今回の殿下の会見や、皇后陛下のお話の意味するところが見えてくると思う。

タイトルは仰々しいが、中身は非常に示唆に富んでいるので、ぜひご一読願いたい。

その名も『愛国公党宣言』である。

国立国会図書館デジタルコレクションでも読めるが、現代語訳はユースデモクラシー推進機構のサイトに掲載している(ついでに英訳もある)。

最後にその一部を抜粋し本稿を終える。読者の皆さまの思考の一助になれば幸いである。

第五条 財政は節制を基本とし、経費は民力に適応すべきこと。
財政は民の暮らしの苦楽に関わるものであり、最も重大と位置づける。これを整理するためには、各種の税法を改正し、なるべく人民の負担を軽くし、そして納税者に対し偏りなく均一な重さにする必要がある。また、国家経費の必要な者に対してはもとより支出すべきであるが、民力を考慮せずに政府の機能を肥大化させるようなことは、わが党は決して行わない。わが党は大いに支出を節約し、民力を養うことを目指す。(「愛国公党宣言(1890年)」より)

※本記事の内容は所属機関とは関係なく仁木個人の見識に基づくものです。

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