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外国人労働者受け入れ拡大も「移民」ではない? 安倍政権のジレンマ(吉田啓志)

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首相官邸。(撮影/編集部)

外国人労働者の受け入れ拡大に向け、在留資格を新設する入国管理法改正案の行方が今国会最大の焦点となっている。単純労働者は受け入れないことを原則としてきた入管政策の大転換だ。にもかかわらず、政府は受け入れ業種や人数さえ示さず、不可欠となる共生社会の将来像も描いていない。

就労目的での外国人の在留は、医者や弁護士など「高度な専門人材」に限られている。ただし、現実は日本で働く外国人(約128万人)の8割強がそうではない。建設、コンビニ、介護など人手不足にあえぐ業種は、約55万人に及ぶ留学生のアルバイトや技能実習生に頼っているのが実情だ。

技能実習生の受け入れ目的について、政府は「母国への技術移転」との説明に終始してきた。が、深刻な人手不足はそんな建前を吹き飛ばし、海外から十数業種の「就労目的者」を受け入れる方針に転じざるを得なかった。主導したのは菅義偉官房長官だ。来夏に参院選を控えており、対策を強く求める業界団体に応えた。

改正法案には「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ「特定技能1号」と、「熟練した技能」の「特定技能2号」という二つの在留資格新設が盛り込まれた。1号の在留期間は最長5年で、母国の家族を呼び寄せることはできない。かたや2号は在留期間を更新でき、家族も帯同できる。

ただ「来年4月スタート」ありきの拙速で、法案の中身は「がらんどう」(長妻昭立憲民主党代表代行)だ。5日の参院予算委員会で立民の蓮舫氏が1号に求められる「相当程度」の水準を問うと、山下貴司法相は「所管省庁と緊密に連携し今後決めていく」とかわした。1、2号の指定業種や受け入れ数も後に省令で決める。国会内の会合では、急ぐ理由を問われた官僚が「首相官邸が……」と口を滑らせる一幕もあった。

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