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欧州でサマータイム廃止か、市民の84%が制度に反対 - 宮下洋一 (ジャーナリスト)

 10月28日未明、ヨーロッパでサマータイムが終わり、冬時間が訪れた。欧州連合(EU)加盟国からは、近々この制度を廃止すべきとの声が上がっている。今年7月から約6週間、欧州委員会がEU市民を対象に行ったインターネット調査によると、参加した約460万人のうちの84%がサマータイム制度に反対しているという結果が出た。

 これを受け、ユンケルEU委員長は、2019年内にサマータイム制度を廃止すべきとの考えを示した。

 そもそも何のためにこのシステムが導入されたのか。そしてなぜ、それを廃止する動きが出てきたのか。

 同制度の導入は1916年に遡るが、加速化が進んだのは第一次石油危機が勃発した73年以降のこと。石油輸入国が電気消費を減らし、日照時間を増やそうとしたからだ。

 ヨーロッパでは、96年に夏・冬両時間変更の日付を統一し、2001年には変更を義務化した。しかし、年2回の時間切り替えに対し、具体的な節電効果を見出せず、廃止を訴えてきた国も多い。

 調査で反対支持が最も高かったフィンランドは、夏場には白夜、冬場には極夜になるため、時間変更の必要性が低い。体内時計だけが狂うと危惧する専門家もいて、今年1月、約7万人の市民が反対に同意した。

 経度がイギリスやポルトガルに近いスペインは、独裁政権時代の1940年、ナチス政権下のドイツに時間を合わせた。従って、日昇日没時刻がドイツと大きく違い、労働や学校生活に影響が出ることを危惧したスペインは、サマータイム廃止を訴えてきた。

 電力問題を分析するスペインのフランシスコ・バルベルデ氏は、「時間の変更は、表面的で電力節約にはならない」と指摘。「廃止した国や、導入さえしなかった国もある中で、年2回も時間を変えたがらない人たちがいるのは当然だ」と主張する。

 国際エネルギー経済学会(IAEE)もサマータイム適用による1日の節電効果は0・34%にすぎないと公表している。ロシアやアルゼンチンは同制度を一度は導入したが、後に廃止を決めている。

 EU加盟国には今回の調査を問題視する声もある。アンケートに答えた3人に2人がドイツ人だったからだ。EUは28加盟国で構成され、北欧や地中海諸国は異なる生活や労働スタイルを持つ。ドイツ人の割合が高い調査では、必ずしもEU全体の意向が反映されることにはならない。

 10月29日、EU議長国・オーストリアで開かれた加盟国非公式閣僚会合では、サマータイム廃止を来年に急ぐのではなく、2021年まで延期すべきとの提案が出された。同国のホーファー運輸・技術革新相は「EU域内で調和の取れた解決策が重要。各国バラバラの時間帯になることだけは避けたい」と強調した。

 ちなみに、07年には、世界自然保護基金(WWF)が「地球時間」を発案。178カ国7000都市それぞれが、節電対策として、午後8時半になると1時間電気を消す、というもの。エネルギー消費削減に固執するならば、この仕組みの方が、実は効率が良さそうな気もする。

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