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「東京会議」プレ企画「代表制民主主義は信頼を回復できるのか」 オープニングフォーラム 報告

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⇒ 設立17周年記念パーティー 報告
⇒ 第1セッション「代議制民主主義の危機をどう見るか」報告
⇒ 第2セッション「民主主義への信頼をどう取り戻すのか」報告


 11月21日、言論NPOが設立17周年を迎えるにあたり、記念フォーラム(「東京会議」プレ企画)「代議制民主主義は信頼を回復できるか」が開催されました。



 冒頭、言論NPO代表の工藤泰志は開会のあいさつとして、この3年間、民主主義に関して世界の400人近くの論者と議論を行い、その結果、日本や欧米が抱える最も大きな問題は「代表制民主主義が信頼を失った」ことにあると強調。そうした中で、「世界の民主主義が信頼を取り戻し、より強靭なものにするために改革が必要な局面にある。私たち言論NPOもそのための作業を始めることを考えていて、今日がそのスタートだ」と語り、今回のフォーラムの開催の意義を語りました。

日本・EUの世論調査結果から明らかになったのは、国民の民主主義への信頼低下

 続いて、2018年9月に実施した「日本の民主主義に関する世論・有識者調査結果」から(11月21日公表)、工藤は、日本には民主主義に対し強い信頼がまだ残っている一方、政党に問題解決を期待できないという人が59%いるなど、政治に対する期待が低下していることを指摘。さらに、「国会」、「政府」、「メディア」には信頼を寄せておらず、自衛隊や警察、司法を信頼しているという結果に触れ、「私たちが選挙で参加し、政治家に課題解決を託しているという代表制民主主義の仕組みが、軒並み信頼を失っている」と分析しました。

 こうした調査結果も踏まえながら工藤は、「市民が政治から退出しており、世界の民主主義は危機に直面していると判断した。ぜひ、みなさんにも一緒にこの問題を考えていただきたい」と呼びかけました。


 工藤の発言を受け、ドミニック・レニエ氏(仏政治刷新研究基金代表、パリ政治学院教授)は、ヨーロッパで実施した世論調査の結果の説明を行いました。レニエ氏は、工藤の発言に賛同するとともに、EUにおける世論の政党への信頼が18%しかないことを紹介。さらに日本の調査結果と同様に、EUでも「軍」や「警察」への信頼が高く、議会への信頼があまりないこと、さらに伝統的メディアへの信頼も危機的で、「25カ国のうちの4カ国でしか、メディアに対する信頼が50%を超えていない」との現状を説明しました。

 加えて、国民の大部分は、政治家が腐敗していると考えていること、権力者によって国を率いてほしいと考える国民が一定数存在することに言及し、「ヨーロッパの民主主義国家はかなり深い問題を抱えている」と断じました。また、こうした問題は調査結果からだけではなく、イギリスのブレグジットでの国民投票や選挙の投票結果でも現れているとし、問題が様々な場面で表面化していることを強調しました。

国会や政党と国民の間にある溝を、どのように埋めればいいのか

 レニエ氏の発言を受け工藤は、世論調査の中で、「日本に強い政治リーダーを求めるか」という設問で、国民の20.4%が「自国の経済や社会がより発展するのであれば、多少非民主的でも強いリーダーシップを持っても構わない」と回答したことに言及し、国内でも強力なリーダーシップをより求めていることは、民主主義を考えていく上での重要な課題だと補足しました。

 さらに工藤は、政党と国民の代表であるべき国会が、市民の支持を得ていないことについてどのように考えればよいのか、と問いかけました。


 衆議院議員の石破茂氏は、「政党が信頼されていない」という調査分析結果に同調。世論調査の設問について、「政治家は有権者を信頼しているか」という逆の問いも有り得るのではないかと指摘し、「どうせ難しいことを言っても国民は理解してくれないのだから、この程度の国民に対してこの程度の政治家でよいだろう、というのは絶対に言ってはならない。国民は忙しいのだから、わかりやすく様々なことを表現することが仕事だ」と、政治家の持つ説明責任の重要性を訴えました。他方、国民にも自らが為政者という自覚がなければ主権国家とはならないと、国民に対しても当事者意識を持つことの必要性を説きました。さらに石破氏は、自衛隊への信頼が高まっている現状についても「極めて信頼が高いことはよいが、これまで自衛隊に対する文民統制の議論が突き詰められたことはない。民主主義と実力組織の関係はよく考えないと、もう一度(第二次世界大戦と)同じことが起こる可能性がある」と、手放しの自衛隊への信頼への問題点も指摘しました。


 ギデオン・ラックマン氏(フィナンシャル・タイムズ・チーフ・フォーリン・コメンテーター)も、ジャーナリストの立場から政党への信頼の失墜について話します。「西洋やアジアの民主主義国をみると、伝統的な政治家ではない人々やアウトサイダーに訴えかける人に票がいくことが多くなった。政党はやはりそれなりの規律の中で動かなければならず、そうした規律に縛られて動いていることが、国民からみると不誠実に見られることがあるのではないか」と、フランスのマクロン大統領やアメリカのトランプ大統領を例示しながら語りました。

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