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「ゴーン・ショック」仏国内の反応

カルロス・ゴーン容疑者 出典:Norsk Elbilforening(flickr)

【まとめ】

・仏メディアは日本の「厳しいこう留」、「陰謀説」報じる。

・仏では社会階層や立場でゴーン元会長への評価はまちまち。

・日仏で認識に違いも。仏メディアは日産社員の実情報じず。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43044でお読みください。】

フランスでも、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長が東京地検特捜部に逮捕されたことがセンセーショナルに報じられた。26日で逮捕から1週間が経つ。そこで、これまでのフランスでのゴーン前会長に対する報道についてまとめてみた。

19日、羽田空港。ビジネスジェット機で着陸したゴーン前会長はそのまま東京地検特捜部に逮捕された。この衝撃的なニュースが流れた最初の頃は、本当にそのように説明されたのか、日本への反発の意味合いもあるのか、「暖房もない狭い部屋に、床に敷かれた布団と、(食事としては)1日3杯のお米のご飯」「日本の法律では、無罪の推定はないので、別段の証明がない限り、有罪とみなされる」「面会時間は15分のみ。その時は家族も日本語を話さなければいけない」(Franceinfo)という、あまりよくない状況下で拘束されていることが盛んに伝えられるようになった。そして、ネットでもいろいろなメディアで、日本の厳しい逮捕・こう留の環境が紹介されたのだ。

しかし、ゴーン元会長の逮捕を受け、ローラン・ピック駐日フランス大使が東京・小菅の東京拘置所に出向いて拘置中のゴーン元会長と面会し、そのことが21日に発表されたあたりから極端に非人道的であるという報道は少なくなっていく。外国人が日本国内で勾留された場合、その国の大使館が希望すれば外交上の特権を定めた「ウィーン条約」に基づいて面会が認められるケースが多く、フランスではフランス人が外国で逮捕された時は、保護の目的で領事か大使が面会することが通例とされている。その結果、フランスメディアも実際の待遇はそれほど悪くないことが確認できたのかもしれない。

ゴーン元会長の拘束待遇についての報道が収まると、次は「日本側の陰謀説」でにぎわうようになった。日本のメディアがこぞって陰謀説を記事にしたこともあり、「ゴーン元会長に近いフランス人の間に『日本人の陰謀』という見方がある」(フランス経済紙レゼコー)、「ゴーン氏を追放するための陰謀の薫りがする」(ルモンド紙)とする報道が出始めたのだ。

しかしながら、フランスのルメール経済・財務相は、事件の背景に日産の権力闘争があるとの陰謀論が出ていることについて、はっきりと「陰謀とは思っていない」と否定し、フランス政府としてはそうは考えてないことがうかがえる。

▲写真 ルメール仏経済・財務相 出典:ルメール氏のツイッターより

■フランス人のゴーン氏への意見はまちまち

一言フランス人と言っても、各社会階層や立ち場によってフランス人のゴーン元会長への意見は大きく変わってくる。現在、フランスで増税に反対する労働者による黄色いベストのデモをしている人の中には、低い賃金で生きていくのにも大変な労働者も多く、多額の収入を得ている階層の人々に対して辛辣な意見をもっている人々も存在する。そのため、多額の給料を受けていたゴーン元会長に対しても否定的な発言をする人も多い。

黄色いベストのスト参加者のツイートでは、デモが行われているシャンゼリゼで日本人観光客を見かけて「カルロス・ゴーンの件、ありがとうございます」と言ったという書き込み見られた。

しかし、特に大会社の社員や、会社の上層に属する人の多くはまた意見が違う場合が多い。

25日のBFMTVのテレビ出演でルメール経済・財務相も述べていたが、

「日本では、カルロス・ゴーンは、何千万ものユーロを受け取ったと非難されているだけでなく、日産の豪華な別荘を購入したこと、さらには姉に給与が支払われていたと言われているが、フランスは現時点では、日本でのこれらの行動を証明する証拠や書類は受け取ってない」

このことを理由に、これらの日本側の主張は何かの間違いなのではないかと疑っており、現在「一日3杯のお米のご飯」しか与えられない生活を送っていることに対して、心配する声と、日産に対する不満の声がささやかれている。

■ 日本とフランスでの認識にも違い

フランスでは、ゴーン元会長は「神」ほどの存在であり、マンガになるほど人気があったという報道もあり、フランスではゴーン元会長は日本人の中で英雄と扱われているとの位置づけであった。それゆえに今回のニュースは思いもよらない衝撃であった。フランス政府からも多すぎるのではないかと指摘されるほどの多額の給料を得ていたのは、とても有能であるからこそ日産からの熱い感謝の気持ちの表れだ、ぐらいに理解されていたかもしれない。確かにフランスでは、以前からゴーン元会長が日本で華々しく活躍していることを伝える報道が多い。最近では、ルノー・日産自動車・三菱自動車が、フランスでバンの生産を拡大し、フランスに仕事をもたらし雇用を増加させると大きな期待が寄せられていたところだ。

日本側は、持ち株の割合の不平等さに不満をもっていたとする報道は現在もある。しかし、日本のNHKが報じたような、日産の社員が語る労働者側の苦しみなどはフランスで紹介されたことはほとんどない。それは、現在フランスの労働者が行っている黄色いベストを着たデモで「政府は労働者のことを何もわかっていない」と主張していることとどこか共通点があるかのようだ。

いずれにしろ、現在フランスでは黄色いベストのストの報道に大きく時間が割かれており、ゴーン元会長のニュースを伝える時間はさほど長くない。今のところ、日本の報道からの引用が一日遅れてやってくるだけのことも多いのが現状だ。

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