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焦点:ゴーン会長解任劇で注目、「敏腕」西川日産社長の横顔


Norihiko Shirouzu and Maki Shiraki

[東京 22日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>の西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)は、長年「指導役」であったカルロス・ゴーン容疑者を会長職から解任したことで、大義のためなら周りを敵に回すことも辞さないタフなリーダーとしてその名を轟かせることとなった。

自動車業界で最も著名なリーダーの1人であるゴーン容疑者が金融商品取引法違反で19日に逮捕されたことを受け、日産は22日の臨時取締役会で同容疑者の会長職と代表取締役の解任を決めた。

日産関係者は、西川社長について、頭が切れ、厳しく、結果重視だと語る。

今回の逮捕はゴーン容疑者や仏ルノー<RENA.PA>とのアライアンス(提携)に不満を抱く取締役会メンバーによるクーデターだとの疑惑や、失われた評判、司法上や規制上の問題に対処する上で、西川社長はこうした資質を総動員する必要があるだろう。

ある日産幹部は同社長について、とても強くてアグレッシブだと語り、もし業績が彼が求める水準を下回った場合、会議の場で担当者に恥をかかせることもいとわないと付け加えた。

社内では、西川氏のことを慕う人がいる一方、嫌っている人もおり、同氏が非常に厳格であることが嫌われている理由だとこの幹部は語った。

日産は、ゴーン容疑者が会社の資金を私的流用し、報酬を過少申告していたと主張している。東京地検によると、5年間で得た報酬99億9800万円の半分程度しか申告しなかった疑いが持たれている。

ロイターは、東京地検によって勾留されているゴーン容疑者、あるいは同容疑者の弁護士に接触することができなかった。

西川氏は長年ゴーン容疑者の後任として育てられ、昨年社長に就任したばかりだ。

また別の日産幹部は、西川社長が物事を徹底的に追及する性格だと説明。こうした性格が、社内でゴーン容疑者に関する疑惑が浮上した際に取った対応にも反映されたことは確かだろうと語る。

西川社長は非常に規則を重んじる人であり、私用と社用の電話2つを持っているが、家族にかけるときは絶対に社用電話は使わないとこの幹部は言う。

また、日産が国内で無資格者に完成検査を行わせていたことが昨年発覚してから、西川社長は一段と慎重になり、コンプライアンス上の問題は見過ごすことはできないと考えるようになっていたと同幹部は話す。

日産はこの幹部による西川氏の評価についてコメントするのを控えた。また、西川社長からコメントを得ることはできなかった。

<今や反ゴーン派>

普段は早口な西川社長だが、ゴーン容疑者逮捕を受けて19日夜に開いた記者会見では、弁護士や他の幹部を同席させず、急がず冷静な態度で90分近く質問に答えた。その姿にはソーシャルメディアで称賛の声が上がった。

西川社長が頭を下げて謝罪しなかったこともかなり効果的だったと、日産の元幹部は指摘。まるで自身は個人的に悪くないと示しているかのようだったとこの元幹部は付け加えた。

西川社長はまた、「ゴーン統治の負の側面」を率直に認め、前会長に権力が集中し過ぎていたと説明。ゴーン容疑者は金銭的不正に加え、必要な意見を求めることなしに独断で物事を決定していた時期もあったと明らかにした。

一方、20日開かれた幹部会議では、西川社長はいつもの冷静さを欠いていたと、同会議に出席した2人が明かした。そのうち1人は、社長の目は潤んでいるように見えたと述べ、もう1人は声を震わせる場面もあったと語った。

日産とルノーの他の社員同様、西川氏のキャリアもゴーン容疑者の影に隠れてきた。カリスマ的で、「コストカッター」と呼ばれた同容疑者は、日産の5工場を閉鎖して2万1000人をリストラすることにより、負債に苦しむ同社を再生させ、高い評価を得て日本で新境地を開いた。当時、このような大なたを振るえるのは外国人だけだと広く思われていた。

しかし今度は、西川社長が未知の領域に踏み出す番である。

日産、ルノー、三菱自動車工業<7211.T>の3社連合をうまく率いていくことができるのはゴーン容疑者だけだと、多くの専門家はみていた。

自動車産業コンサルティング会社カノラマのマネジングディレクター、宮尾健氏は、3社連合を率いることは西川社長にとって非常に困難であり、日産の株式43.4%を保有する筆頭株主のルノーが支持するか定かではないとの見方を示した。

西川社長はルノーの取締役を10年務めているが、フランス政府と交渉したり、ルノーを率いたり、仏タイヤメーカー、ミシュランの上級幹部を務めたりといったゴーン容疑者のような多岐にわたる経験はない。

だが、西川氏はやり手の交渉人であり、それでなければゴーン容疑者は同氏を社長に選ばなかっただろうと宮尾氏は指摘する。

ゴーン容疑者より数カ月年上で現在65歳の西川氏は40年以上前、東京大学から日産に入社。目立つことは嫌いといわれ、既婚者であるという以外、私生活はあまり知られていない。

キャリアの大半を調達とサプライチェーンの管理に費やし、ゴーン容疑者がコスト削減のため部品供給網を解体するのに貢献した。

2013─16年はチーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)として、原材料調達費や調整費、企画開発費の節約により、製造費を削減する仕事を任された。西川氏はまた、三菱自動車との資本業務提携交渉でも大きな役割を果たした。

西川氏は数字が全てで、結果を出さない人には厳しいが、自分にも厳しいと、前出の日産元幹部は言う。優しさに欠けるという人がいるかもしれないと、この元幹部は付け加えた。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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