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外国人受入れ(総論賛成・各論反対)

【以下はFBに書いたものを纏めて、加筆修正したものです。】

 外国人労働者受け入れに関する出入国管理法等改正案が、衆議院本会議を通過しました。あの法案の中身は、政令等に委ねている部分が多過ぎて、「これから何が起こるのか。」の細部が分かりにくいです。手続き的にも、さすがにちょっとやり過ぎの感があります。ただ、政府与党側にはそんな配慮は全くありませんでした。

 理由は単純でして、官邸が「今国会に入って内閣支持率は上がっている。少々内容が荒くても、手続きが手荒くても、今の野党の状況では支持率に影響はない。全部蹴飛ばせ。」と判断したという事です。このまま行くと、法案自体は参議院でも会期内に通過していくでしょう。マスコミは昨晩の国会を「大荒れ」と表現していましたが、少し広角ズームで見て行けば、「ト書き通り」だったはずです。オリンピック担当大臣や地方創生担当大臣の様々な問題があっても支持率が下がらないのですから、今後、更に官邸は呑んで掛かって来るでしょう。今後も同様の事例が出てくると思います。

 ところで、国会での議論を聞きながら、何処か「隔靴掻痒なんだよな。」と思いました。私なりに「何故かな」と考えてみた結果、以下のような幅広く顕著な傾向があるのではないかと思い始めました。

 大体、議論を聞いていると、まず、ほぼすべての方が最初に「私は受入れ反対ではない」という意見表明をします。「労働力不足」への対応が分かってないと言われないようにするという事だけでなく、外国人嫌いっぽく思われるのはpolitically correctではないからです(一般論として、このpolitical correctnessへの強迫観念は左派系の方に強いです。)。

 しかし、その後を注意深く聞いていると、一旦「受入れ反対でない」という総論的枕詞を言った後は、どんどん各論でネガティブ・コメントを加えていきます。勿論、法案の問題点の指摘ではあるのですが、その中には「つまりは受入れ反対なんでしょ?」、突き詰めると「実は外国人が入って来る事そのものが嫌なんでしょ?」と思いたくなるようなものが散見されました。つまりは「『総論賛成、各論反対』の体裁を取った『総論反対』」であり、「タテマエとホンネの乖離」とも言えるかもしれません。

 「外国人嫌いなんて狭量な人間ではない」という甘い飴でコーティングしているけど、真ん中には実は「外国人嫌い」、あるいは、そこまで行かなくても「受入れ反対」がある、そんな印象を幾度となく受けました。ただ、それを口に出来ないので、「政令事項が多過ぎ」、「法律としてスカスカ」、「生煮えだ」という理屈で攻め立てるわけです。論理的に考えれば、「対案なき総論賛成、各論反対」は問題点の指摘だけで終わってしまいます。  

 聞いている側からすると、「問題点はよく分かりました。で、どうすればいいのですか?」となります。そこでの対案が「法案の作り直しと国会再提出(を政府に要求)」というのは、如何にも逃げた感じを国民に与えますよね。ただ、一昔前ならいざ知らず、現代のように情報があふれている時代には、ここは完全に見透かされてしまいます。「本当に総論賛成なら、各論でおかしな所は対案を出せ。逆に、本心で総論反対ならばそう言うべし。」と国民から迫られてしまいます。

 法案の中身の話は稿を改めますが、本当に「総論賛成」の立場から本当に徹底抗戦するのであれば、問題点を全部洗いだして修正案を世に示し、それで国会論戦をした方が遥かに良い徹底抗戦になるはずです。ましてや、冒頭のように官邸が呑んで掛かってくる事が分かっていているのであれば、世論に最もよくアピールする方法はこれしかないはずです。賃金未払いや失踪を防ぐ修正案を出して、山下法相に「これが必要だと思わないか。」と質問すれば世論は首肯するでしょう。  

 この手の総論賛成、各論反対の地雷はあちこちに落ちています。「自由貿易」、「安全保障」、「財政再建」、「社会保障改革」、これらすべてに地雷があります。「自由貿易は賛成だけど、〇〇は反対。」、「財政再建の必要性は分かっているが、〇〇は反対。」、「今の医療体制はこのままでは維持できないと思うが、〇〇は反対。」という論調が世には溢れていますが、そこに対案が付かないのであれば「単なる問題点の指摘」、又は「実は総論も反対」だと見られるはずです。

 どうも、この辺りの違和感が拭えない衆議院での国会論戦でした。

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