記事

買収で小売4位に躍進するドンキホーテ、「安さの殿堂」の収益構造に迫る

 おもちゃ箱をひっくり返したかのような品ぞろえの店内。見ているだけで楽しいと人気のドンキホーテは今、コンビニ、スーパー業界でも台風の目になろうとしている。今回は、「安さの殿堂」の儲けの構造に迫る。

■スーパー・コンビニ業界の風雲児

 ドンキホーテホールディングス(HD、7532)は、ユニー・ファミリーマートHD(8028)のスーパーマーケット事業を買収し、2019年2月には社名をパン・パシフィック・インターナショナルHDに変更する。ドンキは2007年に買収した中堅スーパー長崎屋の経営再建を進めてきた実績がある。販売低迷など厳しい環境にあるスーパー事業への取り組みに注目が集まっている。

羽田空港国際線旅客ターミナルにある「ソラドンキ羽田空港店」、著者撮影

 東海地区を中心に「アピタ」や「ピアゴ」などの総合スーパーを運営しているユニー(18年8月末現在198店舗)は、2016年9月にコンビニのファミリーマートと経営統合した旧ユニーグループHDの中核企業だ。ドンキホーテHDは2017年11月、ユニーに資本参加。すでに40%の株式を保有しているが、残りの60%を282億円で取得し、2019年1月までに100%子会社にする。

 ドンキは同時に、ユニー・ファミリーマートHDの関連会社に入る。2018年8月にユニー・ファミリーマートを子会社にしたばかりの伊藤忠商事(8001)、ユニー・ファミリーマートHDを実質的に主導するファミリーマートを含め、相乗効果の早期具現化が重要なテーマになる。コンビニ事業のファミリーマートは、旧ユニー側のサークルKサンクスを吸収するなど店舗網を拡大している。

 ドンキとユニーの動きに合わせるように、イオン(8267)も株式を上場しているスーパーのマックスバリュ各社などを、6つの地域ごとに再編・経営統合を進める方針を打ち出した。スーパー業界に新風が吹くことを期待したいものだ。

■小売4位の売上規模に

 ドンキは、ユニーの5813億円(18年度予想)を加えることで、単純計算で売上規模を1兆5000億円規模に拡大する。これは、イオン、セブン&アイ・HD(3382)、ファーストリテイリング(9983)に次ぐ小売4位。アマゾン・ドット・コムの日本での売上高119億ドル(17年、1ドル110円換算で1兆3097億円)も上回る。

 ユニーとはすでに共同で「MEGAドン・キホーテUNY」を6店舗運営。2018年3月から8月までの半年間ながら、6店舗合計売上高を68億円から132億円に伸長。前年同期間との比較では2倍に迫る販売増である。6店舗累計の1日当たりの平均客数も約2万人から3.2万人に増加した。こうした実績が、今回のドンキとユニーの合体につながったといえよう。

 ドンキは、単なるディスカウントショップではない。「便利で安くて楽しい」を追求しているように特異の存在である。

 深夜ビジネスの開拓者であり、リーズナブルでバラエティに富んだ商品構成や雑然としたレイアウトで買物点数を1点で終わらせない戦略など、ライバル店舗はどこかと見渡しても直ちに思い浮かばないほどだ。集客を増やしリピート化に注力してきたことで、全店での年間集客は3億人を超す。

有利子負債は増加傾向

 ドンキの経営数字を確認しておこう。売上高や各種利益が伸びるにしたがい、内部留保ともいわれる利益剰余金も積み上げていることは明らかだ。一方、利子をつけて返済しなければならない有利子負債は増加傾向を示している。


 「売上高なくして利益なし!」というように、ドンキ最大の特長は攻めの経営。それは有利子負債だけでなく、キャッシュの流れを示す、営業キャッシュフロー(CF)、投資CF、財務CFの数値にも示されている。

 3期累計の営業CFは1316億円。営業活動でそれだけのキャッシュを創出してきたわけだ。ただし、店舗の新設や株式取得といった投資活動に積極的に取り組んだことで、営業活動で獲得したキャッシュを上回る2572億円を社外に流失。それを補うために、財務活動として新規借入など1508億円の資金手当てをしているわけだ。有利子負債が増えているのはそのためである。

 商品別売上内訳は、食品がおよそ35%、日用雑貨品が25%弱、時計・ファッション用品が20%弱、家電製品が10%弱である。

 ドンキが運営する店舗は、「MEGAドン・キホーテ」や「ドイトプロ」「ピカソ」など、国内外を含めて400店舗を突破(2018年6月末418店舗)。国内はこの3年間で、327店舗→354店舗→379店舗での推移である。

 ドンキ店の特長は、訪日観光客に人気があること。関西の「道頓堀店」「道頓堀御堂筋店」「なんば千日前店」「京都アバンティ店」、九州沖縄の「中洲店」「国際通り店」「福岡天神店」、東京の「銀座本館」「新宿歌舞伎町店」などは、免税売上高比率が4割を超す。国内店舗全体でも、免税売上構成比は10%に迫っている。

 大型店もあれば羽田空港国際線ターミナルには比較的小型の店舗を出店しているように、店舗によって売上高は異なることはいうまでもないが、多くの店舗が売上高を伸ばしているのだろう。

 大型店となれば1000万円を超えているいると推定されるが、国内店舗の1店舗1日平均の売上高は右肩上がりの、581万円→592万円→613万円である。

従業員の平均給与は600万円台

 収支も確認しておこう。グループ全体の「売上原価」「販売費及び一般管理費」「営業利益」の数値を1000円の商品にたとえてみると、原価は740円前後、販管費は200円強、営業利益は54円から56円についている計算になる。

 原価が1000円の商品で740円前後についているのは、小売としてはやや高いといっていいだろう。同じように1000円の商品にたとえた原価は、SPA(製造小売)の強みを生かす、「ユニクロ」のファーストリテイリングは500円前後、家具販売のニトリHD(9843)は450円である。逆に言えば、ドンキは「驚安の殿堂」と安値販売をアピールしているだけに、仕入値に対して販売価格を低く設定しているということだろう。

 営業利益は55円前後。1000円の商品を販売するごとに約55円稼いでいることになる。原価がやや高くついているため驚くほど高い水準とはいかないが、確実に利益を確保しているといえるだろう。

 販管費として計上しているグループ従業員の給与手当の総額は、売上高のおよそ8%で推移。1000円の商品にたとえれば約80円に相当する。グループを統括している持株会社従業員の平均給与は600万円台(18年6月期は641万円、平均年齢39歳)での推移だ。10人の社内取締役の平均年俸は4660万円(経営トップは2億5800万円)である。

 ドンキは1989年3月、平成元年に東京・府中市にオープンした1号店で出発。以来、連続増収を続けてきた。平成の勝ち組企業の代表だ。新しい年号に入っても快進撃を継続できるのか、手腕が問われる。

あわせて読みたい

「ドン・キホーテ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    宮崎美子の才色兼備ビキニに脱帽

    片岡 英彦

  2. 2

    見直し当然?野党ヒアリング紛糾

    BLOGOS しらべる部

  3. 3

    「官邸TV監視」赤旗スクープ称賛

    BLOGOS しらべる部

  4. 4

    社民党分裂 背景に立民の左傾化

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  5. 5

    ブラタモリに失望 忘れられた志

    メディアゴン

  6. 6

    田原氏 野党は安易な反対やめよ

    たかまつなな

  7. 7

    小沢一郎氏は共産党の用心棒役か

    赤松正雄

  8. 8

    岡村隆史が結婚「素敵な方です」

    ABEMA TIMES

  9. 9

    安倍前首相の嫉妬が菅首相脅威に

    文春オンライン

  10. 10

    ほんこん 政治的発言をする理由

    マイナビニュース

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。