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ゴーン事件、問われる日本のグローバリズム

ゴーン事件の発生から1週間。事件は複雑化する一方です。解決は容易ではありません。

三菱自動車は昨日、臨時取締役会を開き、カルロス・ゴーン氏の会長職を解任し、代表権を外すことを全会一致で決定しました。暫定的な会長職には、現在三菱自動車の代表取締役兼社長を務める益子修さんが就きます。

※カルロス・ゴーン氏(左)と益子さん(2016年5月撮影)

益子さんは昨夕、取締役会の決定について説明を行い、ゴーン氏解任の提案について、
「今回の提案をすることは苦渋の決断でしたが、会社を守るために何をすべきか、社員とその家族を守るためには何をすべきかを優先して判断せざるを得ませんでした」
と、語りました。

益子さんの「苦渋の決断」という言葉は、日産社長の西川廣人さんが語った、「強い憤りと落胆」という言葉とは、対照的に聞こえましたよね。

三菱自動車は、2016年の不正問題の直後、日産からの出資を受け入れ、事実上の傘下に入りました。同年12月にゴーン氏は三菱自動車会長に就きましたが、その際、辞任しようとした益子さんを、ゴーン氏が、社長兼CEOの座に慰留した経緯があります。

益子さんは、ゴーン氏について「会長とCEOという立場でともに当社の再生に力を尽くしてきました」と話しました。日産に比べて、ゴーン氏による「会社の私物化」の被害がないこともありますが、益子さんにとってゴーン氏は、三菱自動車を救ってくれた救世主であり、信頼できるパートナーだったはずですから、「苦渋の決断」というのは頷けますよね。

さて、今後の焦点を、いくつかあげたいと思います。①ゴーン氏をめぐる捜査の進捗、つまり起訴されるのかどうか。②ゴーン氏はルノーでも不正をしているのかどうか。③空席になっている日産の会長職を誰が務めるのか。そして何より、④ルノー・日産・三菱自動車連合(ルノー・日産BV)のCEOを、誰が務めるのか。

①については、立件が成立するのかどうかを含めて、さまざまな憶測が飛び交っています。日産と三菱自動車は、すでにゴーン氏の解任を決めましたが、ルノーはCEO兼会長の解任を見送っている。もし立件されず、②ゴーン氏がルノーで不正をしていない、となった場合はどうなるのか。

③日産会長職については、これもさまざまな憶測があります。日産は、3人の社外取締役によって構成される委員会を設置し、「現取締役の中から取締役会長候補を提案する」としていますが、表現は「候補」を「提案する」と、曖昧です。ルノー、日産、どちらサイドの人を就けるのか、駆け引きが行われています。

そして④三社連合のCEOです。こちらは、ルノーCEOが務めるという規定があるとされますが、ゴーン氏が不在、ルノーCEOは暫定的というなかで、やはり、どうなるか見えにくい状況です。

私はここで、益子さんの役割に注目しています。

というのは、益子さんは、ゴーン氏解任を「苦渋の決断」と話すほど、ゴーン氏には近い存在です。かつ、ルノーサイドでも、日産サイドでもない絶妙な立ち位置なんですよね。彼の役割は、意外に大きいのではないかとみています。

三菱自動車は、日産の事実上の傘下とはいえ、後ろには大株主として、三菱財閥という後ろ盾があるのも事実です。ウラ側には、さまざまな知恵者がいるのは間違いありませんからね。

もっとも、何度も主張していることですが、ここまでこじれてしまったからには、もはやゴーン事件は、日仏国家間の外交問題なのは間違いありません。

フランスのマクロン大統領は、支持率低迷に苦しみ、国内景気回復のためにルノーと日産を経営統合したいのは、事実でしょう。

一方、日本政府だって、日産をやすやすと手放すわけにはいかない。ただ、日本政府はフランス政府と違って、日産の株主ではありませんから、一民間企業の経営にどこまで介入できるのか、という問題はあります。

今朝のテレ朝「ワイド!スクランブル」でも話題にのぼりましたが、今回のゴーン事件は、ナショナリズムでは解決できない。「フランス・ファースト」「日本・ファースト」を主張し、パワーゲームに陥ってしまえば、暗礁に乗り上げてしまうでしょう。

いまや世界中が、日本やフランスという国、あるいは、ルノー、日産、三菱自動車という企業が、ゴーン氏をどう扱い、いかにしてこの事件の落としどころを導き出すか、じっと目を凝らしています。結果がどうなるにせよ、この事件は、国際的な事件の一つの例として、以後、長く残ることになるのは間違いありません。

日本、そして日本企業のグローバリズムが問われています。

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